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建設業における人手不足の現状と外国人雇用の概要

日本のインフラ整備をする上で欠かせない建設業は、慢性的な人手不足に悩まされている業種です。この現状を打破するためには、2019年4月に新設された「特定技能」を利用し、外国人の受け入れを積極的に行う必要があるでしょう。とはいえ、建設に従事する業者の中には特定技能「建設業」について知らない人もいるかもしれません。

 

この記事では、建設業における人手不足の現状と課題を解説するとともに、特定技能の対象である建設業の外国人雇用の概要について紹介します。

建設業における人手不足の現状と課題

まずは、建設業における人手不足の現状と課題について見ていきます。

人手不足の現状

厚生労働省によると、令和3年1月時点の建設業(管理職)の有効求人倍率は5.75倍、技能労働者は4.9倍となっています。全職種の平均が1.14倍であることから、他産業に比べて人材確保が困難な状況にあることが分かるでしょう。また、技能労働者の約3割は55歳以上という統計結果も出ているため、業界内の高齢化が進んでいるのが実情です。

参考元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年2月分)」

 

さらに、建設業界は「2024年問題」に直面しています。「働き方改革関連法」が2019年4月に施行され「月45時間・年間360時間・毎週1回の休日」という時間外労働の上限が定められたことにより、建設業は常態化している長時間労働・休日労働を2024年までに改善する必要があるのです。

参考元:厚生労働省「令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されます」

 

このような建設業の人手不足の現状を打破するため、国土交通省と厚生労働省が連携し、建設業全体に対して「職場づくり」「人材確保」「人材育成」の支援を進めています。とはいえ、中長期的に支援を進める方向性であるため、人手不足を早急に改善する必要がある「2024年問題」に対しては、各建設会社が解決策を模索しなければなりません。

参考元:国土交通省・厚生労働省の令和4年度予算概算要求の概要

人手不足の課題

建設業における人手不足の課題の1つとして、労働環境が挙げられます。特に長時間労働が大きな課題といえるでしょう。

 

2016年度の厚生労働省の調査によると、建設業の年間実労働時間は2,056時間です。全産業平均が1,720時間となっているため、大幅に上回っていることが窺えます。また、建設業に従事する人全体の約6割が4週4休以下で就業しているため、休日が少ないのが実情です。

参考元:国土交通省「建設業界の現状とこれまでの取組」

 

このように、建設業はインフラ整備や災害時の対応など重要な役割を担っている一方で、長時間労働を強いられることから離職につながりやすいのが現状です。長時間労働を改善するためには、ICTの活用や就業規則の見直しなど多方面からアプローチしなければならないため、解決に時間のかかる大きな課題といえるでしょう。

建設業の外国人雇用における概要

ここからは、建設業の外国人雇用における概要について解説します。

建設業の外国人雇用が該当する特定技能の種類

建設業は、在留資格である「特定技能1号」「特定技能2号」どちらにも該当します。特に特定技能2号を取得した外国人は、特定技能1号よりも高い技能を有しているため、安心して業務を任せられるでしょう。

 

また、「特定技能2号」は在留期間の更新上限がありません。そのため、特定技能2号外国人は、人手不足で悩まされている建設業では有力な人材となるでしょう。

 

なお、特定技能の詳細については、こちらのページをご覧ください。

受け入れ予定人数

建設業における特定技能外国人の受け入れ予定人数は、2019年からの5年間で4万人です。出入国在留管理庁の調査によると、2021年12月時点で建設業に従事できる特定技能外国人を4,871人受け入れています。

参考元:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」

 

ただし、建設業の場合は、受入れ機関ごとに受け入れられる特定技能外国人の数に限りがあります。受入れ機関の常勤職員の総数が上限であるため、受け入れの際は注意が必要です。

業務内容

建設業に従事する特定技能外国人の業務内容は、下記の業務区分によって異なります。

 

・型枠施工

・左官

・コンクリート圧送

・トンネル推進工

・建設機械施工

・土光

・屋根ふき

・電通電信

・鉄筋施工

・鉄筋継手

・内装仕上げ

・表装

・とび

・建築大工

・配管

・建築板金

・保温保冷

・吹付ウレタン断熱

・海洋土木工

 

「型枠施工」を例に、主な業務内容と想定される関連業務を見ていきます。

 

主な業務内容

想定される関連業務

①基準墨出し、型枠組立用墨出し、躯体・仕上げ用墨出し

②型枠下ごしらえ・加工、型枠パネル製作

③特殊型枠、PC 型枠製作

④型枠・型枠パネル組立て、特殊型枠・鋼製型枠等組立て、PC 版取付、鋼製デッキ等取付

⑤型枠用足場・支保工足場組立て

⑥型枠締付け・固定、型枠支保工設置

⑦コンクリート打設合番

⑧型枠・型枠パネル解体、特殊型枠・鋼製型枠等解体

⑨型枠支保工解体、型枠用足場・支保工足場解体

①型枠数量積算

②躯体図(コンクリート図)、型枠施工計画図、型枠支保工計画図、型枠支保工計算書類等作成・

読図

③型枠加工図、加工帳作成・読図

④型枠資機材積算、発注

⑤鉄骨建方・構造用集成材建方精度管理

⑥資機材整理、小運搬、資機材楊重

⑦資機材運搬、不要材運搬

⑧その他、型枠施工業務の実施に必要となる安全衛生作業(点検、整理整頓、清掃等)

※2022年5月20時点

※引用元:国土交通省「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(別表6-2~別表6-19)」

 

なお、他の業務区分における業務内容について気になる人は、国土交通省が出している「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(別表6-2~別表6-19)」をご覧ください。

求められる人材

建設業で求められる人材は、「技能実習2号を良好に修了した人(技能実習3号を修了した人)」または「技能水準と日本語能力水準を満たした人」のうち、在留資格である「特定技能1号」を取得した外国人です。

 

また、「特定技能1号」を経て「特定技能2号」を取得した外国人が求められる人材として挙げられます。

 

ここでは、特定技能外国人が建築業で従事する場合に必要な「技能水準」と「日本語能力水準」について解説します。

 

技能水準

建設業における「特定技能1号」の場合「建設分野特定技能1号技能評価試験」に合格することで技能水準を満たしているとみなされます。本試験の概要は、以下の通りです。

 

実施団体

一般社団法人 建設技能人材機構

URL

https://jac-skill.or.jp/exam/index.php

試験内容

<学科試験>

全30問・試験時間60分

実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式

※試験内容は業務区分によって異なる

<実技試験>

試験時間・問題数・科目等は業務区分によって異なる

合格基準

<学科試験>合計点の65%以上

<実技試験>業務区分によって異なる

受験料

業務区分によって異なる

※2022年5月20日時点

※参照元:国土交通省「建設分野特定技能1号評価試験」

 

また、「特定技能2号」の技能水準は、下記の要件を満たした上で「建設分野特定技能2号技能評価試験」あるいは「技能検定1級」の合格が必要です。

 

建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験を要件とする。

引用元:国土交通省「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

 

日本語能力水準

建設業では、「国際交流基金日本語基礎テスト」あるいは「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかの試験に合格することで日本語能力水準を満たしているとみなされます。

 

それぞれの概要は、以下の通りです。

 

試験名

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

実施団体

国際交流基金

URL

https://www.jpf.go.jp/jft-basic/

試験内容

全50問程度、試験時間60分

実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式

<4セクション>

・文字と語彙(約12問)

・会話と表現(約12問)

・聴解(約12問)

・読解(約12問)

合格基準

200点以上

受験料(国内受験の場合)

7,000円

※受験する国によって料金は異なります。

※2022年5月20日時点

※参照元:「国際交流基金日本語基礎テスト」

 

試験名

日本語能力試験

実施団体

国際交流基金、日本国際教育支援協会

URL

https://www.jlpt.jp/

試験内容

認定の目安:N1~N5(数字が小さいほど、難度が高い設定)

※建設分野の場合は、N4以上必須

<N4の試験科目>

〇言語知識(文字・語彙)科目(25分)

項目:漢字読み・表記・文脈規定・言い換え類義・用法

〇言語知識(文法)・読解科目(55分)

項目:文の文法1(文法形式の判断)・文の文法2(文の組み立て)・文章の文法・内容理解(短文)・内容理解(中文)・情報検索

〇聴解(35分)

・課題理解・ポイント理解・発話表現・即時応答

合格基準

<N4の合格基準>

合格点:90点

得点区分別得点

・言語知識(文字・語彙・文法)・読解:38点(基準点)

・聴解:19点(基準点)

受験料(国内受験の場合)

6,500円

※受験する国によって料金は異なります。

※2022年5月20日時点

※参照元:日本語能力試験

 

なお、建設業以外の特定産業分野については、こちらのページをご覧ください。

まとめ

建設業は慢性的な人手不足に陥っています。特に労働環境が人手不足の大きな原因であると問題視されており、長時間労働や休日出勤などが他産業に比べて多いのが現状です。

 

建設業の人手不足を危惧した国土交通省と厚生労働省が多方面から支援を行っていますが、解消できるまでに時間がかかるでしょう。建設業は「2024年問題」にも直面しているため、早急な人材確保が可能である特定技能外国人を積極的に雇用する必要があります。

 

建設業に従事する特定技能外国人は、少なくとも特定技能1号を取得するために必要な「技能水準」と「日本語能力水準」を満たしているため、安心して業務を任せられます。

 

自社で雇用している技能実習生や留学生が、建設業における特定技能ビザの取得を検討している場合は、この記事を参考にしてください。

 

さむらい行政書士法人では、特定技能ビザ申請のサービスを提供しています。また、建設業だけではなく、特定産業分野ごとの特定技能を得るために必要な試験についてアドバイスを行っています。ぜひお問い合わせください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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