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外食・飲食業における人手不足の現状と外国人雇用の概要
人手不足に悩まされる飲食店の中には、外国人の雇用を考えている企業や店舗も多いでしょう。
この記事では、外食・飲食業における人手不足の現状と課題を解説するとともに、特定技能の対象職種である外食・飲食業の外国人雇用についての概要を紹介します。
飲食業における人手不足の現状と課題
まずは、外食・飲食業における人手不足の現状と課題について見ていきます。
人手不足の現状
生産年齢人口の大幅な減少と昨今のコロナウイルス感染拡大の影響により、外食・飲食業の人手不足は深刻化しています。
農林水産省が調査した2020年上半期までのデータによると、外食・飲食業全体における有効求人倍率の平均(飲食店主・店長、飲食物給仕係、調理人の加重平均値)は2.2倍です。全産業の平均が1.1倍であるため、全体の約2倍の水準となっています。加えて、外食・飲食業の欠員率は2.9%です。全産業の平均が1.8%であるため、全体の1.6倍以上の水準となっています。
参考元:農林水産省「外食・中食産業をめぐる状況について」2020年1月度
また、外食・飲食業の主となる調理や接客などの業務は、状況に応じて作業内容を変更する判断能力が問われるとともに、手作り感やホスピタリティといった価値を作り出すことも求められます。そのため、飲食業が人手不足の改善のために機械化を図ったとしても、他の産業に比べて省力化に限界があります。
人手不足の課題
外食・飲食業における人手不足の課題の1つとして、人材の幅が狭いことが挙げられます。
日本では高齢化や少子化の影響により生産年齢人口が大幅に減少しているため、日本人労働者だけでは人材確保が見込めません。そのため、外食・飲食業では、一定の専門性・技能を有した即戦力となる外国人を積極的に雇用する必要があります。
また、賃金が安いことや、人手不足によって既存の社員をさらに酷使するといった労働環境の悪循環も、飲食業の慢性的な人手不足の課題として挙げられます。
飲食業の外国人雇用における概要
ここからは、外食・飲食業の外国人雇用における概要について解説します。
飲食業の外国人雇用が該当する特定技能の種類
飲食業分野は、「特定技能1号」の在留資格が該当します。在留資格「特定技能1号」を有した外国人であれば、飲食業で働く上で必要な日本語能力や技能を一定水準満たしているため、即戦力となります。
なお、特定技能の詳細については、こちらのページをご覧ください。
受け入れ予定人数
国全体における特定技能「外食業」を有した外国人の受け入れ予定人数は、2019年~2023年の5年間で5万3,000人です。出入国在留管理庁の調査によると、2021年12月時点で1,985名の特定技能1号外国人が受け入れられているため、あと5万人程度の受け入れが可能です。
なお、企業単位の受け入れ人数の上限は、外食・飲食業では定められていません。そのため、外食・飲食業分野の受入れ機関は、国全体の上限内であれば人数を気にせずに特定技能1号外国人を雇用できます。
業務内容
外食業の特定技能ビザを取得した外国人は、外食・飲食業に関する業務全般に従事できます。例えば、レストランでの調理や店先での販売、飲食料品の原材料として使用する農林水産物の生産などが挙げられます。
ただし、皿洗いや床掃除だけで調理や接客の業務を行わない場合や、宅配料理専門店で宅配業務だけを行う場合などは、外食・飲食業の業務ではないとみなされます。
求められる人材
外食・飲食業で特に求められる人材は、「技能水準」と「日本語能力水準」を満たした上で在留資格である「特定技能1号」を取得した外国人です。ここからは、特定技能外国人が外食・飲食業に従事する際に必要な「技能水準」と「日本語能力水準」について解説します。
技能水準
外食・飲食業では「外食業特定技能1号技能測定試験」に合格することで技能水準を満たしているとみなされます。外食業特定技能1号技能測定試験の概要は、以下の通りです。
実施団体 |
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構 |
---|---|
URL |
https://otaff1.jp/gaisyoku/ |
試験内容 |
実施形式:ペーパーテスト方式(マークシート) <学科試験> 全30問、試験時間80分(実技試験含む) 〇衛生管理(10問) ・一般衛生管理に関する知識 ・HACCPに関する知識 ・食中毒に関する知識 など 〇飲食物調理(10問) ・調理に関する知識 ・食材に関する知識 ・調理機器に関する知識 〇接客全般(10問) ・接客サービスに関する知識 ・食の多様化に関する知識 ・クレーム対応に関する知識 <実技試験> 全15問、試験時間80分(学科試験含む) ・判断試験(図やイラストを見て、正しい行動の選択) ・計画立案(計算式を用いて、作業計画を作成) 〇衛生管理(5問) 〇飲食物調理(5問) 〇接客全般(5問) ※試験項目は、学科試験と同様。 |
合格基準 |
満点の65%以上 |
受験料 |
7,000円(税込み) |
※2022年4月15日時点
※参照元:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構
日本語能力水準
外食・飲食業では「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」に合格することで日本語能力水準を満たしているとみなされます。それぞれの概要は、以下の通りです。
試験名 |
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) |
---|---|
実施団体 |
国際交流基金 |
URL |
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/ |
試験内容 |
問題数約50問、試験時間60分 実施形式:CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 <4セクション> ・文字と語彙(約12問) ・会話と表現(約12問) ・聴解(約12問) ・読解(約12問) |
合格基準 |
200点以上 |
受験料 |
7,000円(税込み) |
※2022年4月15日時点
※参照元:国際交流基金日本語基礎テスト
試験名 |
日本語能力試験 |
---|---|
実施団体 |
国際交流基金、日本国際教育支援協会 |
URL |
https://www.jlpt.jp/ |
試験内容 |
認定の目安:N1~N5(数字が小さいほど、難度が高い設定) 外食・飲食業の場合は、N4以上必須 <N4の試験科目> 〇言語知識(文字・語彙)科目(25分) 項目:漢字読み・表記・文脈規定・言い換え類義・用法 〇言語知識(文法)・読解科目(55分) 項目:文の文法1(文法形式の判断)・文の文法2(文の組み立て)・文章の文法・内容理解(短文)・内容理解(中文)・情報検索 〇聴解(35分) ・課題理解・ポイント理解・発話表現・即時応答 |
合格基準 |
<N4の合格基準> 合格点:90点 得点区分別得点 ・言語知識(文字・語彙・文法)・読解:38点(基準点) ・聴解:19点(基準点) |
受験料 |
6,500円(税込み)※国内での受験料 |
※2022年4月15日時点
※参照元:日本語能力試験
なお、外食・飲食業以外の特定産業分野については、こちらのページをご覧ください。
まとめ
人手不足が深刻化している外食・飲食業界の課題として、雇用できる人材の幅が狭いことが挙げられます。特定技能1号を有した外国人の雇用は、人手不足を解消する手段の1つとなり得るでしょう。
ただし、外国人労働者が外食・飲食業における特定技能1号の在留資格を取得するためには「技能水準」と「日本語能力水準」を満たしている必要があります。
自社で雇用している技能実習生や留学生が、外食・飲食業における特定技能ビザの取得を検討している場合は、ぜひこの記事を参考にしてください。
なお、さむらい行政書士法人では、特定技能ビザ申請のサービスを提供しています。特定技能1号の取得に必要な試験について、外食・飲食業だけでなく、特定産業分野ごとのアドバイスができます。ぜひお問い合わせください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
無料相談
「さむらい行政書士法人」は特定技能ビザなどの入管申請を専門とする行政書士法人です。特定技能ビザ申請のアウトソーシングや、特定技能支援計画の作成支援と支援計画の運用サポートも行っております。
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