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技能実習から特定技能へ移行する場合の手続きについて解説

技能実習とは、外国人が日本で職業に関する技術を学べる制度であり、学んだ後は母国に帰って技術力を活かしていきます。

 

一方、特定技能は特定の職種に就きながら、日本に滞在するための在留資格です。

 

最終目標が異なる2つですが、技能実習生として日本に来た外国人は、要件を満たすと特定技能へ移行できます。

 

この記事では、技能実習から特定技能へ移行する場合の手続き方法や、必要書類などをまとめました。

 

日本で働こうと考えている技能実習生は、参考にしてください。

特定技能へ移行したい!技能実習との違いとは?

特定技能と技能実習は外国人を対象にする点や職業に関連する点は同じですが、内容は異なっています。

 

特定技能の基本情報や技能実習との違いについて、確認しましょう。

特定技能とは

特定技能とは、日本国内で人手不足とされる特定産業分野について、一定の知識や技能を持つ外国人に発行される在留資格です。

 

外国人にとっては、日本に滞在しつつ、日本人と同じ条件で働ける就業資格としても機能します。

 

一方、日本国内の企業にとっては即戦力の人材を確保できる点でメリットがあります。

特定技能には1号と2号があり、基本的に1号を申請する

特定技能は1号と2号の2種類があり、技能実習生から特定技能に移行する場合は基本的に特定技能1号を申請します。

 

特定技能2号は1号よりも、さらに専門的な知識や技能を持つ人が対象であり、日本国内の企業で一定の就業が必要です。

 

一方で、特定技能1号は対象産業分野の基本的な知識や技能を持つ人が対象であり、条件や試験に合格すれば取得できます。

特定技能1号の概要

特定技能1号の概要は、以下のとおりです。

在留期間(更新時期)

法務大臣が分野ごとに指定した期間

おおむね1年を超えない範囲(主に4か月・6か月・1年

在留期間の更新

通算5年まで

対象産業分野

12分野

対象産業分野の経験年数

問わない

日本語試験

あり

国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上)

技能試験

あり

産業分野ごとに試験内容が異なる

家族帯同

不可

※2025年6月時点

 

試験に合格した場合は、対象産業分野に外国人労働者として就職して、日本国内で最長5年までの滞在や労働が認められます。

技能実習と特定技能1号との比較

技能実習と特定技能1号は外国人向けの制度で、在留資格として機能する点は共通しています。

 

しかし、制度の目的や細かい部分で違いがあるため、比較しながら確認しましょう。

技能実習と特定技能の比較表

技能実習と特定技能の主な項目における比較は、以下のとおりです。

 

技能実習

特定技能1号

在留期間

1号:1年以内

2号・3号:2年間

おおむね1年を超えない範囲

在留期間の更新

1号から2号、2号から3号まで移行して通算5年

通算5年まで

対象の職種

技能実習法で定められた職種

12分野の特定産業分野

業務範囲

対象分野の一部の業務

基本は対象分野の業務全般

就業場所

帰国後の母国の企業

日本国内の企業

転職

原則不可

対象産業分野の範囲で可能

日本語試験

日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上

国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上)

技能試験

1号終了までに:基礎級技能検定(実技試験と学科試験)

2号終了までに:随時3級技能検定(実技試験)

3号終了までに:随時2級技能検定(実技試験)

対象分野ごとの技能測定試験(産業分野で内容が異なる)

支援機関

監理団体

特定技能支援機関

※2025年6月時点

 

技能実習は3号まで移行した場合は最長5年まで滞在できますが、1つ上の技能実習になるためには検定試験の合格が必要になります。

 

一方、特定技能1号は取得の際に試験の合格が必要ですが、在留期間の更新時は手続きのみで更新可能です。

 

対象の職種や業務範囲についても、技能実習生のほうが範囲が狭く設定されています。

業務の範囲が異なるため、従事できる職種が増える

技能実習では、母国に帰国して技能や知識を活かす前提があり、業務範囲は一部の業務に限られます。

 

一方、特定技能1号では、基本的に対象産業分野の業務全般を行えるため、従事できる業務範囲が大幅に増えます。

 

単に仕事量が増えるわけではなく、専門的な知識を身に付けたり、難易度の高い業務により給料が増えたりする点がメリットです。

支援機関があることや転職可能など、勤務の幅が広がる傾向にある

技能実習は管理団体を通して企業に採用されており、原則として転職はできません。

 

一方、特定技能1号では、対象産業分野の範囲内で新たな受け入れ企業が要件を満たしている場合は転職が可能です。

 

特定技能1号をサポートする特定技能支援機関では、転職支援も行っているため、職場が合わなかったときに転職が選択肢に入れられます。

2号がある業種なら、特定技能2号へのスキルアップも可能になる

特定技能1号で一定期間の経験を積んだ場合、特定技能2号に申請してスキルアップも狙えます。

 

特定技能2号の概要は、以下のとおりです。

在留期間(更新時期)

3年、1年または6ヶ月

在留期間の更新

上限なし

対象産業分野

11分野

対象産業分野の経験年数

分野ごとに日本国内の企業で一定年数の経験が必須

日本語試験

基本なし

分野によっては必要

技能試験

あり

1号よりも高度な試験になる

家族帯同

条件を満たした場合は可能

※2025年6月時点

 

在籍期間の更新上限がなくなり、母国から家族を連れて来る家族帯同も可能になるため、特定技能1号よりも良い条件で在留できます。

 

ただし、特定技能1号で対象だった介護分野は、特定技能2号には含まれていません

 

介護分野で上位の在留資格を目指す場合は、専用の在留資格「介護」が対象になります。

技能実習から特定技能への移行は可能?

技能実習は外国人が母国に帰国する前提の制度ですが、要件を満たしている場合は特定技能1号への移行が可能です。

 

特定技能について、技能実習から移行する際のルートや移行するメリットを紹介します。

特定技能への移行ルートは2つ

現在の在留資格から特定技能へ移行するには、試験ルートと技能実習ルートの2つがあります。

 

たとえ技能実習生でも、状況によっては、特定技能1号の試験を受けなければいけません。

1.試験ルート

試験ルートでは、以下の2つの試験に合格する必要があります。

 

  • 技能水準試験:産業分野ごとの1号技能測定試験の合格
  • 日本語能力試験:国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上)を合格

 

技能水準試験は産業分野ごとに設けられており、試験内容は産業分野によって異なっています。

 

日本語能力試験は2種類のどちらかの合格が必要であり、どちらの試験も難易度で大きな違いはありません。

2.技能実習ルート

技能実習ルートでは、以下の2つの基準を満たした場合、特定技能1号に必要な試験の合格が免除されます。

 

  • 技能水準試験:対象産業分野に関する技能実習2号を良好に修了した者
  • 日本語能力試験:職種を問わず技能実習2号を良好に修了した者

 

技能水準試験を免除するには、技能実習と特定技能1号で、同じ産業分野に該当する必要があります。

 

日本語能力は産業分野に左右されないため、技能実習と異なる産業分野を目指す場合でも試験の免除が可能です。

ただし、すべての移行希望者が移行できるわけではない

特定技能の取得はいつでも行えますが、すべての移行希望者が移行できるわけではありません。

 

対象産業分野を確かめたうえで、試験に合格できるように学んでいきましょう。

移行できる分野が決まっている

特定技能1号で移行できるのは、対象産業分野に決められた職業に限られます。

 

特定技能1号における対象産業分野は、以下のとおりです。

 

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械製造・電気・電子情報関連産業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

 

多くの職業が該当しているように見えますが、事務職や販売職外食業以外のサービス業が対象外になっています。

移行するための評価試験がある

特定技能1号を試験ルートで取得する場合、技能水準試験と日本語能力試験の両方に合格しなければいけません。

 

技能水準試験のみ合格して、日本語を多少話せたとしても、日本語能力試験が不合格だと対象外にされます。

 

一方で、試験免除できる技能実習ルートでも、技能実習2号は修了までに随時3級技能検定に合格する必要があります。

 

さらに、免除の条件として技能検定3級、または技能実習評価試験(専門級)の合格も必要です。

特定技能へ移行した場合のメリット

特定技能へ移行した場合の主なメリットは、以下のとおりです。

 

  • 特定技能1号のみで通算5年まで在留期間を更新できる
  • 対象産業分野における業務範囲が広がる
  • 対象産業分野内での転職が可能であり、特定技能支援機関の支援も受けられる
  • 経験を積めた後は特定技能2号へ移行できる

 

業務範囲が広がって知識や技能を高められた場合、特定技能2号へ移行してさらに好条件で日本国内に滞在できます。

特定技能へ移行した場合のデメリット

特定技能1号へ移行した場合のデメリットは、以下のとおりです。

 

  • 別の対象産業分野に転職する場合は、産業分野ごとの試験に合格する必要がある
  • 一時帰国は可能だが、母国で就職はできない
  • 一時帰国期間も在留期間に算入される
  • 一時帰国後で同じ企業で働く場合でも、再雇用申請が必要

 

業務において大きなデメリットはありませんが、一時帰国した場合は在留期間や再入国の際にデメリットが生じる場合があります。

技能実習から特定技能への移行手続きについて

特定技能1号へ移行する場合、要件を満たしつつ、在留資格を変更するための手続きが必要です。

 

技能実習から特定技能への移行手続きの要件や、必要書類について紹介します。

特定技能へ移行するための要件

技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合、基本的には試験の合格が要件になります。

 

類似する名称の試験があるため、自分が受けるべき試験名をしっかり覚えておきましょう。

移行するために必要な要件

特定技能1号に移行するために必要な要件は、以下のとおりです。

 

  • 技能水準試験:産業分野ごとの1号技能測定試験の合格
  • 日本語能力試験:国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上)を合格

 

上記の試験は特定技能2号を修了していない場合でも受けられます。

試験の免除になるケース

特定技能1号の技能水準試験と日本語能力試験は、技能実習2号を良好に修了した者について、試験を免除できます。

技能実習2号を良好に修了した者

技能実習と同じ産業分野の特定技能1号に移行する場合

技能実習と異なる産業分野の特定技能1号に移行する場合

技能水準試験

免除

技能測定試験を受ける必要あり

日本語能力試験

免除

免除

 

技能実習2号を良好に修了した者とは、以下の要件を満たす外国人です。

 

  • 技能実習2号を2年10ヶ月以上(技能実習1号からの通算)修了している
  • 技能検定3級、または技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格
  • 実習実施者等が作成した技能実習の実習状況を評価した文書(評価調書)等により、出勤状況や技能の修得状況等が良好であると確認できる

 

技能実習1号と2号は通算で3年まで在留できますが、特定技能1号への申請は通算2年10ヶ月以上になった時点で行えます。

 

技能実習2号が完全に修了した後に申請すると、在留資格や就業資格がなくなるため、早めに申請するのが良いでしょう。

 

試験については、随時3級技能検定と技能検定3級の名称が似ていますが、それぞれ内容や対象が異なる試験です。

 

  • 随時3級技能検:技能実習2号が修了までに受ける試験で、技能実習3号への移行に必要である
  • 技能検定3級:国内外問わず、一般的な初級技能労働者が対象になる試験

 

特定技能1号へ移行する要件としては、技能検定3級のほうが必要になります。

 

出勤状況や技能の修得状況なども評価されるため、試験に合格していても普段の勤務態度が悪い場合は要件を満たせません。

移行手続きの流れ

特定技能1号への変更申請の流れは、以下のとおりです。

 

  1. 申請する特定技能生本人が特定技能1号に関する試験に合格、もしくは技能実習2号を良好に修了する要件を満たす
  2. 申請する特定技能生本人が受け入れ企業を見つけて雇用契約を結ぶ
  3. 受け入れ企業側が日常生活や社会生活をサポートするための1号特定技能外国人支援計画を策定する
  4. 申請する特定技能生本人、もしくは代理人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局またはオンラインで特定技能1号の申請を行う
  5. 申請を許可された場合、在留資格変更許可申請書の交付や在留カードの内容が変更される
  6. 特定技能1号として申請する特定技能生本人が就労を開始できる

 

合格や要件を満たす以外にも、受け入れ企業側の準備が進まないと、特定技能1号の申請ができません。

移行手続きの必要書類

特定技能1号への移行手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

書類

備考

在留資格変更許可申請書:1通

出入国管理庁の公式ホームページからダウンロード可能

写真:1葉

以下の要件をすべて満たしたものを申請書に添付して提出

・サイズ:縦4cm×横3cm

・申請人本人のみが撮影されたもの

・上部から頭頂部までが5±3mm以内

・頭頂部からあご先まで25±3mm以内

・肩幅は左右それぞれ15±2mm以内

・無帽で正面を向いたもの

・背景 (影を含む)がないもの

・鮮明であるもの

・提出の日前6か月以内に撮影されたもの

・裏面に氏名が記載されたもの

パスポート及び在留カード

地方出入国在留管理局で提示

特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表

以下の中で必要な書類を提出

・申請人に関する必要書類

・所属機関に関する必要書類

・分野に関する必要書類

 

手続きとしては在留資格「技能実習」から在留資格「特定技能」に変更するため、変更手続きに必要な書類を集めていきます。

 

在留諸申請に係る提出書類については、就労状況や職業によって必要な書類が異なっています。

 

具体的な提出書類の例は、以下のとおりです。

申請人に関する必要書類

・特定技能外国人の報酬に関する説明書

・特定技能雇用契約書の写し

・雇用条件書の写し

・雇用の経緯に係る説明書

・徴収費用の説明書

・健康診断個人票

・受診者の申告書

所属機関に関する必要書類(法人)

・特定技能所属機関概要書

・登記事項証明書

・業務執行に関与する役員の住民票の写し

・特定技能所属機関の役員に関する誓約書

・労働保険料等納付証明書、労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し等

・社会保険料納入状況回答票又は健康保険、厚生年金保険料領収証書の写し

・税務署発行の納税証明書(その3)

・法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1~2年)

・公的義務履行に関する説明書

分野に関する必要書類

各分野の養成施設の卒業証明書や、契約書など

 

就職先の企業に用意してもらう書類もあるため、連絡を取り合いながら準備を進めましょう。

移行にかかる期間と費用

特定技能1号への移行にかかる期間は、在留資格変更の場合、2週間から1か月程度です。

 

しかし、申請した時期の受付人数によっては時間がかかるときもあるため、要件を満たした際は早めの申請が推奨されます。

 

在留資格変更にかかる費用は、2025年4月以降の基準で以下の手数料が必要です。

 

  • 窓口:6,000円
  • オンライン:5,500円

 

上記に加えて、書類等の印刷代が多少必要になります。

特例措置「特定活動」の申請の場合

特定技能1号への変更手続きをした際、申請するまでに就職先の都合などで書類の準備が間に合わない場合があります。

 

特定技能2号の在留期間の残りが少ない状態で書類の準備ができるまで待つと、在留資格や就労資格が失効して日本に滞在できません。

 

しかし、特定技能1号では移行が困難と認められる合理的な理由がある場合、特例措置を利用できます。

 

特定活動(6月・就労可)という在留資格であり、以下の流れで申請を行えます。

 

  1. 特定技能1号の申請前で、書類等の準備が間に合わないと確定する
  2. 申請する外国人本人、もしくは代理人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局またはオンラインで特定技能関係の特定活動への移行を申請する
  3. 申請を許可された場合、在留資格変更許可申請書が交付や在留カードの内容が変更されて、特定技能関係の特定活動として申請する外国人本人が就労を開始できる
  4. 労働しながら特定技能1号に必要な書類等の準備を進める
  5. 必要な書類がすべて用意できた場合、地方出入国在留管理局またはオンラインで特定技能1号の申請を行う

 

特例措置としての一時的な在留資格であるため、特定活動(6月・就労可)の取得後は速やかに書類の準備を進める必要があります。

 

特定活動(6月・就労可)の申請に必要な書類は、以下のとおりです。

書類

備考

在留資格変更許可申請書:1通

出入国管理庁の公式ホームページからダウンロード可能

写真:1葉

以下の要件をすべて満たしたものを申請書に添付して提出

・サイズ:縦4cm×横3cm

・申請人本人のみが撮影されたもの

・上部から頭頂部までが5±3mm以内

・頭頂部からあご先まで25±3mm以内

・肩幅は左右それぞれ15±2mm以内

・無帽で正面を向いたもの

・背景 (影を含む)がないもの

・鮮明であるもの

・提出の日前6か月以内に撮影されたもの

・裏面に氏名が記載されたもの

パスポート及び在留カード

地方出入国在留管理局で提示

受入れ機関が作成した説明書

雇用契約書及び雇用条件書等の写し

特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること、又は、技能実習2号良好修了者等の試験免除であることを証明する資料

【自動車運送業分野の場合は、以下の書類も追加で必要】

・トラック運転者の場合

日本の有効な運転免許証(第一種免許)の写し

・タクシー運転者及びバス運転者の場合〉

日本の有効な運転免許証(第二種免許)の写し

業界団体が作成した新任運転者研修の修了を証する書類

他の手続に時間を要しているため、在留期間更新許可申請を行う場合は、他の手続中であることを明らかにする書類

建設特定技能受入計画の申請者メニュー画面など

 

特定技能1号よりも書類の数は減って、比較的早く用意できる書類が多くなっています。

移行における注意点

技能実習から特定技能1号への移行は難しい手続きはありませんが、産業分野や申請者の状況によっては注意すべき点があります。

 

特定技能1号の移行における注意点として、以下の点を確認しましょう。

分野によって評価試験や技術審査の内容が異なる

特定技能1号の要件は試験の合格ですが、技能水準試験は産業分野ごとで試験内容が異なります。

 

評価する項目や技術審査など、産業分野によってはほかの分野よりも難易度が高い試験になる可能性があります。

 

技能実習2号の場合は試験免除がありますが、免除の要件を満たしていない場合は技能水準試験の対策をしっかり行いましょう。

移行中の一時帰国は可能だが、再入国が難しくなる場合も

技能実習から特定技能1号に移行中でも、申請者である外国人は母国への一時帰国が可能です。

 

しかし、一時帰国から再入国する際は審査が厳しくなる可能性があります。

 

特定技能1号の申請が通らなかった場合、外国人によっては技能実習の在留期間がなくなって日本国内に滞在できません。

 

帰国すべき事情がある場合は仕方ありませんが、基本は特定技能1号の申請が通るまで日本国内で待機したほうがよいでしょう。

【企業側】受け入れ企業の体制について

特定技能に限らず、外国人労働者を受け入れる場合、企業にも受け入れ要件や体制が求められます。

 

受け入れ企業側の体制について、技能実習と特定技能の違いや、外国人を採用する際の心構えを紹介します。

技能実習と特定技能の企業側の受け入れ方の違い

技能実習と特定技能の企業側の受け入れ方における主な違いは、以下のとおりです。

 

  • 受け入れ可能な人数
  • 外国人労働者の採用ルート
  • 対象分野における可能業務
  • 人員の選任や登録の必要性

 

どちらかが優れているかの比較ではなく、企業側が準備を進めるうえで必要な項目を示しています。

受け入れできる人数が異なる

技能実習と特定技能では、企業の受け入れ人数が異なっています。

 

技能実習生の受け入れ人数は、企業の規模に応じて以下のように基本人数枠が設定されています。

常勤職員数(企業全体の社会保険加入者など)

基本人数枠(技能実習生の受け入れ人数)

301人以上

常勤職員数の1/20人

201~300人

15人

101~200人

10人

51~100人

6人

41~50人

5人

31~40人

4人

30人以下

3人

 

受け入れ企業が優良認定された場合、基本人数枠は2倍に拡大されて、さらなる技能実習生の受け入れが可能です。

 

一方、特定技能外国人は、企業に対して受け入れ人数の制限がありません

 

人手不足の産業分野を助けるための制度であるため、即戦力の人材を必要な人数確保できるように定めています。

管理団体が違うため、採用ルートが異なる

技能実習と特定技能では、外国人労働者の採用ルートが異なります。

 

技能実習生の場合は管理団体経由で採用されるため、企業側が募集する必要はありません。

 

一方、特定技能の場合は企業の直接採用紹介会社を経由して採用する必要があります。

可能業務が異なる

技能実習と特定技能では、就労した外国人が行える業務が異なります。

 

農業を例にした場合、技能実習と特定技能1号、2号の可能業務は、以下のとおりです。

農業

技能実習

特定技能1号

特定技能2号

耕種農業

施設園芸

畑作・野菜

果樹

栽培管理

農産物の集出荷・選別等

栽培管理

農産物の集出荷・選別等

上記の業務に関する管理業務

畜産農業

養豚

養鶏

酪農

飼養管理

畜産物の集出荷・選別等

飼養管理

畜産物の集出荷・選別等

上記の業務に関する管理業務

※2025年6月時点

 

技能実習では具体的な業務が指定されているのに対して、特定技能では対象分野全般の業務であり、特定技能2号の場合は管理業務も行えます。

特定技能を採用する場合は、登録が必要な場合がある

技能実習生を受け入れる場合、企業側は以下の人員を専任する必要があります。

 

  • 技能実習責任者
  • 技能実習指導員
  • 生活指導員

 

技能実習生の人数が多い場合は、人数に応じて技能実習指導員も増やさなければいけません。

 

一方で、特定技能外国人を受け入れる場合、企業側は出入国在留管理庁への登録が必要です。

 

さらに、登録支援機関を利用する場合は、支援機関への登録も必要になります。

外国人を採用するにあたって

特定技能を始めとした外国人を採用する際は、日本人と変わらない労働環境や待遇にするのが重要です。

 

一方で、外国人だからこそ、日本人と違う視点やサポートを行う必要があります。

業務や在留年数に応じて採用を考えよう

外国人労働者を採用する際は、対応できる業務や在留年数を基準にして採用するか否かを考えましょう。

 

特定技能1号の場合は対象産業分野の業務全般を行えるため、業務範囲については問題ありません。

 

一方で、在留年数に関しては特定技能1号の場合、通算5年までです。

 

特定技能1号として日本国内に滞在歴がある場合は、採用しても働ける期間が限られる場合があります。

 

長く働いてもらいたい場合は、在留期間が残っている外国人か、特定技能2号へ移行する支援込みでの採用を検討しましょう。

 

特定技能2号に移行した場合は、在留期間の更新なしで長期採用できます。

採用後のフォローも大事

外国人労働者の採用後は、職場での業務やコミュニケーションに対してできるだけフォローしましょう。

 

特定技能1号の場合、技能水準試験や日本語能力試験に合格しているため、基本的な知識と日本語による会話は可能です。

 

しかし、本格的に現場で働く場合は、外国人が業務やコミュニケーションで難しく感じる部分も出てきます。

 

外国人労働者が快適に過ごせるように、特定技能支援機関に協力を仰ぎながらサポートしてください。

人材確保に外国人の採用がこれからも増える可能性がある

日本国内ではさまざまな制度で人材確保を目指していますが、それでも人手不足は解消されていません。

 

そのため、今後も人材確保のために外国人の採用が増える可能性は十分あります。

 

将来的な外国人の採用を見据えて、今の段階から外国人を採用する環境を整えておくのも1つの手です。

まとめ

技能実習から特定技能への移行についてまとめると、以下のとおりです。

 

  • 技能実習から特定技能に移行する場合、特定技能1号が申請対象になる
  • 特定技能1号は対象産業分野や業務範囲が拡大して、特定技能支援期間からの支援を受けられる
  • 特定技能1号で経験を積んだ後は、特定技能2号への移行も検討できる
  • 特定技能1号への移行は、技能水準試験と日本語能力試験の合格が要件になる
  • 技能実習2号を良好に修了した者に該当する場合、特定技能1号に必要な試験を免除できる
  • 移行する際は在留資格「技能実習」から在留資格「特定技能」に変更する手続きを行う
  • 移行中の書類などの準備が間に合わない場合は、特例措置で特定活動(6月・就労可)を利用できる
  • 受け入れ企業側も支援機関への登録やサポート体制を整える必要がある

 

特定技能1号の要件は2つの試験の合格であり、技能実習2号の場合は要件を満たすと試験免除できます。

 

現在の技能実習を良好に修了できるのを目指しつつ、特定技能1号へ移行する準備を進めましょう。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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「さむらい行政書士法人」は特定技能ビザなどの入管申請を専門とする行政書士法人です。特定技能ビザ申請のアウトソーシングや、特定技能支援計画の作成支援と支援計画の運用サポートも行っております。

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