農業分野の特定技能2号になるには?条件や仕事内容・試験について解説
出入国管理法の観点から、従来、日本では外国人材について高度な専門技術や実務経験、技術を持つ場合のみ、労働力として認め、受け入れる方針でした。
しかし、在留資格として「特定技能」が新設されたことにより、一定の技術を持っていれば、各産業やサービス業の現場で働くことができるよう、変化が起こっています。
農業分野で業務に従事できる、特定技能「農業」もこの在留資格のひとつです。
また、特定技能「農業」には基本的な技能をもつ外国人に認められる1号のほか、より高度な技能を持つ外国人に認められる2号とがあります。
新しい在留資格・特定技能「農業」とは
特定技能「農業」は、2019年4月に出入国管理法(入管法)の改正において、農業分野で外国人労働者の受け入れができるようになった、あらたな在留資格です。
この法改正は、現在農業の人手不足緩和対策として期待されていることから、積極的な受け入れの構えを示しています。
特定技能とは
そもそも「特定技能」とは、日本国内で人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定以上の専門性や技能を持つ外国人の受け入れを目的とした制度です。
この資格は事業ごとに分けられていることから、他の在留資格とは異なり、各分野の事業の範囲内においては就労可能な範囲が広くなっています。
日本で人手不足が深刻な分野で働いてくれる外国人のための就労在留資格
特定技能は学歴のほか、母国での従事経験も不要なため、技能実習などの就労可能な他の在留資格に比べ、取得しやすい傾向にあります。
これは、深刻化する日本の人手不足を受け、特に労働力が不足している特定産業分野で人材を確保することを目的に創設された在留資格だからです。
このため、単純労働を主として就労することはできないものの、他の在留資格よりも就労可能な範囲が広くなっています。
また、特定技能は1号と2号があり、それぞれ設けられている分野や制度としての違いがありますので、そちらもご紹介していきます。
1号の特定産業分野は12分野にわたる
特定技能1号は、以下の特定産業分野において、相当程度の知識ならびに経験を必要とする技能を持った外国人が対象となります。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
なお、在留期間の上限は通算5年となっており、更新期間は1年・6ヵ月・4ヵ月で、家族の帯同は認められていません。
2号の特定産業分野は11分野にわたる
特定技能2号は、特定産業分野において、熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格です。
基本的には、特定技能1号を修了した外国人が希望した場合に、ステップアップとして位置づけられる在留資格です。
2022年までは建設と造船・舶用工業の2分野のみが対象でしたが、2023年に農業を含む9分野が追加され、以下の11分野となっています。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
ただし、介護分野については他に移行可能な在留資格がいくつかあるため、現在も対象外です。
なお、更新期間は3年・1年・6ヵ月ですが、在留期間に上限はなく、要件を満たせば配偶者や子供の家族帯同も可能といった優秀な在留資格となっています。
特定技能「農業」とは?
外国人材を受け入れる場合、農業分野については主に「技能実習制度」が利用されており、農業に携わる外国人の大部分を占めています。
ただし、この制度は雇用の柔軟性が低いといった点が指摘されてきました。
そこで、農業分野の人材不足を補う目的で、外国人を受け入れるために創設された在留資格が特定技能のひとつ「農業」です。
特定技能「農業」は農業に従事する外国人労働者の就労ビザ
従来の技能実習制度は、制度の趣旨として「日本の技術を母国に持ち帰り、経済発展に役立てる」という、国際貢献が目的です。
このため、
- 従事できる業務内容に制限あり
- 技術の危険な流用を防ぐため監理団体を間に入れる必要がある
- 外国人本人との直接雇用契約は結べない
といった難点もあります。
一方で、特定技能「農業」においては、明確に農業に従事する労働者として雇用側が受け入れることができる在留資格です。このため、制度として従事できる業務の範囲や雇用形態などはあらゆる面で技能実習よりも柔軟になっています。
また、特定産業分野12分野のなかでも「介護」に次いで、在留している特定技能外国人が多く、人気の在留資格でもあります。
特定技能「農業」でできる仕事内容
特定技能「農業」では「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の業務に従事することが認められています。さらに2つの分野に関連する業務への従事も可能です。
1.耕種農業全般
耕種農業全般は、「施設園芸」、「畑作・野菜」、「果樹」の栽培が含まれます。農業のうち田畑に種を撒きて作物を育てるものです。
ただし、
- 業務内容に『栽培管理』が含まれていなければならない
- 「畜産農業全般」の業務をあわせておこなうことはできない
といった決まりがありますので、ご注意ください。
2.畜産農業全般
畜産農業全般は「養豚」や「養鶏」、乳牛を育て、生乳を生産する「酪農」などが対象です。
ただし、以下の点にご留意ください。
- 飼養管理が含まれている必要がある
- 「耕種農業全般」との業務をあわせておこなうことができない
3.関連する業務
上記2つの分野に関連する業務として、農畜産物の製造や加工、運搬、販売、そして冬場の除雪作業なども特定技能「農業」で従事可能です。
ただし、こちらは付随業務であるため、これらを主たる業務とすることはできません。
特定技能「農業」の1号と2号の違い
続いては、特定技能「農業」について、1号とより高度な2号とでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの要件や特徴、2号にランクアップすることで得られるメリットなどを詳しく見ていきましょう。
特定技能「農業」1号の要件
まず、特定技能「農業」1号の場合の要件についてみていきます。
取得するには次の点を満たしていなければなりません。
- 一定以上の専門性や技能を持ち即戦力となる外国人材であること
- 一定の日常会話が可能で、生活に支障がない程度の日本語能力があること
そして、取得の方法は次の2つです。
- 試験に合格する
- 「技能実習2号」から在留資格を変更(移行)する
1.試験に合格する
試験とは、以下の2つになります。
- 農業技能測定試験
- 日本語試験
このうち、農業技能測定試験は、農業分野で特段の育成や訓練を受けることなく、直ちに一定程度の業務を遂行できる水準であるかを測るものです。
業務をおこなううえで、即座に実践的な業務が可能かどうか、必要な知識や経験が問われます。
また、日本語試験は「日本語能力試験」あるいは「国際交流基金日本語基礎テスト」の受験が必要です。
2.技能実習2号から在留資格を変更(移行)する
技能実習2号とは、在留期間が1年間の技能実習1号から技能等の習熟を図るため、その後の2年目と3年目の活動をおこなえる在留資格です。
特定技能「農業」は、この技能実習2号から、在留資格を変更(移行)できます。
その場合には
- 技能実習2号を良好に修了していること
- 技能実習の職種や作業内容が、特定技能「農業」1号の業務に関連していること
が条件となります。
また、特定技能「農業」との業務の関連性が認められれば、農業技能測定試験と日本語試験が免除されます。
さらに、技能実習時の業務が農業以外でも、特定技能「農業」1号を希望する場合には、『技能実習2号を良好に修了していること』を条件に、日本語試験が免除されます。
特定技能「農業」2号の要件
特定技能「農業」1号では、技能実習から移行する場合試験が免除されます。しかし、特定技能「農業」2号への移行の際は、必ず試験が課されます。
また、受験には現場での経験を証明する書類の提出も必要です。
さらに、以下のような取得要件がありますので、これらの要件を確認したうえで試験を受ける必要があります。
- 2号農業技能測定試験に合格する
- 2年以上の作業工程の管理あるいは作業員指導の経験、もしくは3年以上の現場での実務経験を持っている
特定技能「農業」2号の技能測定試験に合格する
試験科目については、
- 学科試験
- 耕種農業全般または畜産農業全般の実技試験
となっています。
ただし、下記の実務経験において、「耕種」で経験を積んでいたとしても、「畜産」の技能測定試験を受験することはできません。これは逆も同様です。
そのため、今までの経験に即した実技試験を受ける必要があります。
2年以上の作業工程の管理あるいは作業員指導の経験、もしくは3年以上の現場での実務経験を持っている
2年以上の作業工程の管理あるいは作業員指導の経験とは次のようなものです。
- 自らの判断において「耕種」あるいは「畜産」の農作業をおこない、かつ複数の作業員の指導や作業工程の管理をおこなうこと
この場合、閑散期などにおいて指導がない期間があってもかまいませんが、技能実習での経験年数は含まれないのでご注意ください。
一方、3年以上の現場での実務経験では、作業工程の管理や従業員指導の経験が不問です。また、技能実習での経験も含まれます。
なお、他分野では、これらの作業工程において、2年以上の管理や作業員指導の経験も要件としています。一方の農業分野では、3年以上の現場の実務経験のみでも、要件を満たせるようになっています。
特定技能1号と2号の待遇の違い
特定技能「農業」1号および2号の要件はそれぞれ上記のとおりですが、待遇の違いについてまとめると以下のようになります。
特定技能1号と2号の比較表
|
特定技能1号 |
特定技能2号 |
|
|---|---|---|
|
①在留期間 |
1年・6カ月・4カ月ごとの更新 (通算5年まで) |
3年・1年・6カ月ごとの更新 (更新の上限なし) |
|
②永住権の取得 |
できない |
要件を満たせる可能性がある |
|
③技能水準 |
相当程度の知識又は経験を必要とする技能 |
熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) |
|
④外国人支援 |
必須。支援計画の策定実施は義務 |
支援計画の策定実施は不要 |
|
⑤家族の帯同 |
不可 |
条件を満たせば可能 |
|
⑥日本語能力水準試験の有無 |
ある |
ない |
|
⑦試験の実施状況 |
国内外で実施中(2023年4月現在) |
2023年から実施(一部分野未実施) |
上記の特定技能「農業」1号と2号の比較表を踏まえ、以下にその違いについて詳しくみていきます。
在留資格の更新上限の違い
特定技能「農業」1号の在留期間は通算でも5年間です。
しかし、特定技能2号の在留期間は更新回数に上限がありません。
更新は必要ですが、許可を受ければ、期間の上限なく日本に在留できます。
これにより、働き方が柔軟になるため、企業内で役職についたり、マネジメント業務にあたるといったことも可能です。
2号であれば永住権取得が可能になる
特定技能「農業」2号の場合、日本において永住権の要件を満たせる可能性もあります。
永住権の申請には、就労資格か居住資格での在留が5年間あり、合計で10年必要です。
ただし、1号はこの期間にカウントされないのが難点となります。その点、2号なら在留期間としてカウントできるので、永住権の要件を満たすことができます。
求められる技能水準が異なる
特定技能「農業」1号と比較し、2号はより高いレベルの技能水準が求められます。このため、同じ業務分野であっても、1号よりも2号のほうが指導的な経験が必要です。
外国人に対し支援の必要性の面で違いがある
特定技能「農業」2号の場合、支援計画の策定および実施は不要です。しかし、1号では『外国人支援』が必須となります。
かつ、過去2年間、外国人社員が在籍していない企業では、「登録支援機関」へ支援を委託しなければなりません。
また、過去2年間に外国人が在籍していた企業でも、中小企業の場合は、人材面、費用面などの理由で自社での支援が困難になることもあります。
そのため、「登録支援機関」への委託が必要となります。
2号は家族帯同の可否
特定技能「農業」1号では、基本的に家族の帯同は認められていません。
一方、2号であれば、配偶者と子について、要件を満たすことで本国から呼び寄せることができます。
また、呼び寄せた家族に対しても在留資格が付与され、日本での生活が可能となります。これは特定技能の全般でも触れたとおりです。
なお、帯同した家族については、在留資格「家族滞在」で在留が認められることとなります。
日本語能力の確認試験の有無で違いがある
特定技能「農業」1号の場合、技能試験とともに、日本語能力を確認する試験がおこなわれます。しかし、2号にはこの試験がありません。
ただし、今後は変更の可能性もあり、留意が必要です。
試験の実施状況が異なる
特定技能「農業」1号の試験は、国内あるいは国外でも、定期的に実施されています。一方、2号では国内のみでの実施であったり、試験情報が出ていないこともあります。
そのため、最新の動向を常にチェックしておかなければなりません。
特定技能「農業」2号の資格を取得するには
特定技能「農業」について、上記のように1号と2号を比較すると、上位資格である2号のほうが優遇されているのがわかります。
そこで、ここからは1号と比べてより高度な在留資格2号について、資格取得の方法などを詳しくみていきます。
農業分野の2号資格取得の流れ
要件について触れたとおり、特定技能「農業」2号の取得には、技能測定試験の合格が必要です。
なお、この試験はコンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます。
取得の流れ
取得にあたっては以下のような流れでおこなうのが基本的です。
- 特定技能1号で2年以上の工程管理や作業指導の実務経験、あるいはは3年以上の作業を経験する
- 受験要件を満たしているかチェック
- 必要書類を提出
- 専用の予約受付サイトより受験申込
- 2号農業技能測定試験の受験する
- アプリケーションナンバーの発行(全国農業会議所が確認次第順次発行)
- 在留資格変更許可申請書などを、最寄りの出入国在留管理局または支局(空港支局以外)に提出する
必要書類
取得にあたって必要になる書類には以下のようなものがあります。
- 2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書(技能測定試験受験時)
- 2号農業技能測定試験(耕種農業全般)の合格証明書の写し
- 2号農業技能測定試験(畜産農業全般)の合格証明書の写し
※業務区分に応じ、上記いずれかを準備
- 農業分野の特定技能外国人の受け入れについての誓約書(特定技能所属機関が用意)(技能測定試験受験時)
- 協議会の構成員であることを証明する証明書(特定技能所属機関が用意)
取得にかかる費用と日程
受験料は15,000円です。
なお、予約完了後、試験をキャンセルすることはできず、予約内容に誤りがあった場合でも基本的に変更はできません。
また、試験当日の出欠にかかわらず受験料金が返金されることはないため、注意が必要です。
試験について
試験についての詳細は以下のようになっています。
受験資格
- 試験日を基準として満17歳以上であること
- 試験日を基準として、試験区分に応じ、耕種農業あるいは畜産農業の現場で、複数の作業員を指導しながら作業に従事していること
- 試験日を基準として、試験区分に応じ、耕種農業あるいは畜産農業の現場で、工程を管理するものとしての2年以上の実務経験があること
- 試験日を基準として、試験区分に応じ、耕種農業あるいは畜産農業の現場で、3年以上の実務経験があること。
試験内容
試験内容は学科試験と実技試験で構成され、
- 試験時間:60分
- 試験問題数:50問程度
となっています。
なお、これには正答率などを分析するための採点対象外問題が含まれ、試験科目は以下のとおりです。
- 耕種農業区分全般(マネジメント能力含む)
- 学科試験
- 耕種農業一般
- 安全衛生
- 栽培作物の品種・特徴
- 栽培環境(施設・設備・資材・機械)
- 栽培方法・管理
- 病害虫・雑草防除
- 収穫・調整・貯蔵・出荷ほか
- 実技試験(イラスト・写真による判断)
- 肥料・農薬の取扱い
- 種子の取り扱い
- 環境管理、資材・装置・機械の取扱い
- 栽培に関する作業
- 病害虫
- 安全衛生ほか
- 畜産農業区分全般(マネジメント能力含む)
- 学科試験
- 畜産農業一般
- 安全衛生
- 品種
- 繁殖・生理
- 飼育管理ほか
- 学科試験
- 実技試験(イラストと写真による判断)
- 個体の取扱い
- 個体の観察
- 飼育管理、器具の取扱い
- 繁殖・生理
- 安全衛生など
試験日程
2024年度について、今後の試験予定は 2025年3月となっています。
ただし、試験の実施日程や実施場所は随時更新されるため、受験を希望する場合にはホームページや専用サイトなどで確認が必要です。
なお、予約受付サイトでの申込み期限は、試験日の3営業日前(試験日が土・日・祝日の場合は 4営業日前)となっています。
難易度と合格率
特定技能「農業」2号の技能測定試験の合格率は、以下の通りです。
- 耕種:およそ30%
- 畜産で:およそ50%
また、この合格ラインは、全国農業会議所の定める判定基準点を総合得点が超えている程度と言われています。
日本における7年以上の実務経験も必要となります。
資格試験で合格するためにできること
特定技能「農業」2号の技能測定試験に合格するためには、受験する際に最新の情報を取得し、対策を講じることが重要です。
そこで、試験を主催する一般社団法人全国農業会議所の農業技能測定試験公式ウェブサイトなどから、あらかじめ情報を確認しておくとよいでしょう。
なお、各区分について、特定技能「農業」2号試験学習用テキストが公開されています。
まずはこのテキストを活用して、試験対策を進めるのがひとつの方法です。
特定技能「農業」2号を取得する上での注意点
特定技能「農業」において、1号よりも優遇されている2号は、外国人が日本の農業分野においてキャリアアップする大きなステップとなります。
しかし、この取得にあたっては、いくつかの注意点があります。
管理指導や現場の実務経験の条件は技能測定試験までに満たす必要がある
特定技能「農業」2号取得の条件となる管理指導や現場の実務経験は試験までに満たしていなければなりません。
このため、これを証明する「2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」は、職場から事前に発行されている必要があります。
この際、発行依頼連絡を受けた企業は、速やかに発行しなければなりません。
なお、発行がない場合には、農林水産省へ問い合わせをおこないます。
在留資格の審査があるので、在留資格が取得できる保証はない
特定技能「農業」2号を取得するための技能測定試験に合格したとしても、あくまで要件を満たしたに過ぎない点には注意しましょう。
合格をもって、在留資格の付与が保証されるものではありません。
査証申請については、別途外務省による審査のうえ、査証の発給を受けられないこともあります。
このため、試験合格者が在留資格変更許可申請をおこなったとしても、許可を受けられない可能性がありますので、その点には十分留意しておきましょう。
合格証書の発行から10年間が有効期限
CBT方式による技能測定試験のスコアレポートは、メールにて通知されます。
このスコアレポートの有効期限は受験日から10年間です。
ただし、全国農業会議所での試験結果データの保存期限は5年間と、有効期限よりも短くなっていますので、十分に注意してください。
なお、この試験結果については、データの保存期間中であれば、専用ウェブサイトから随時入手することが可能です。
技能測定試験と日本語能力の関係
特定技能「農業」2号の技能測定試験の試験問題には、きちんとルビが付されており、言語理解の点では難易度がさほど高くありません。それでも、日本語能力と深い関係があることは事実です。
基準となる日本語能力レベルは、『JLPT(日本語能力試験)でおおよそN3以上』と考えられていて、N2程度あるとより確実です。
なお、N3とは『日常的な場面において使用される日本語がある程度理解できるレベル』です。
書類は余裕をもって提出する
受験の際に提出する書類は、その確認が完了するまで7〜10日間程度かかります。このため、余裕をもった提出が必要です。
外国人の特定技能「農業」を受け入れる事業者について
ここまで、在留資格を取得する当事者である外国人の側から、特定技能「農業」の取得についてみてきました。
一方で、彼らを受け入れるのは、日本の企業や農家などの事業者です。
そこで、受け入れ側となるこれらの事業者ついては、どのような基準や手続きが必要なのかについても、みていきましょう。
受け入れ基準
特定技能外国人を受け入れるにあたっては、事業者に対し、次のような基準が設けられています。
これらの基準を満たしたうえで、やっと特定技能「農業」の外国人労働者の受け入れが可能となります。
ただし、注意点としては、
- 直接雇用の場合
- 派遣形態での雇用の場合
上記のどちらに該当するかで受け入れ要件は異なりますので、それぞれに分けて確認していきましょう。
なお、特定技能1号では、受け入れる外国人への支援が義務づけられていますが、2号の場合は日本の農業経験者扱いとなるため、これらの義務はありません。
直接雇用の場合
- 過去5年以内において労働者を6カ月以上継続して雇用した経験があること。
- 農業特定技能協議会の構成員であること
派遣形態による雇用の場合
- 過去5年以内において労働者を6カ月以上継続して雇用した経験があること。
- 派遣先責任者講習のほか、これに準ずる講習を受講した者が派遣先責任者として選任されていること
- 農業特定技能協議会の構成員であること
- 次のいずれかに該当していること
- 農業分野における業務あるいはこれに関連した業務をおこなう団体であること。
- 地方公共団体あるいは農業分野における業務あるいはこれに関連した業務をおこなう団体が資本金の過半数を出資していること。
- 以下の者が関与していると認められること
- 地方公共団体の職員
- 地方公共団体あるいは農業分野における業務あるいはこれに関連した業務をおこなう団体
- 農業分野における業務あるいはこれに関連した業務をおこなう団体が実質的に関与していると認められる団体
- 国家戦略特別地域法第16条の5第1項に規定された特定機関であること。
受け入れる事業者側の手続きの流れ
特定技能外国人を受け入れる事業者側では次のような流れで手続きを進めます。
- 雇用する外国人が技能試験および日本語試験をクリアしているかを確認する。
- 特定技能雇用契約を締結する。
- 受入機関の要件と農業分野の要件をクリアしているかを確認する
- 外国人の健康診断の受診と、在留資格申請に必要な書類の用意について指示する
- 外国人に対し、事前ガイダンスをおこなう
- 在留資格申請をおこなう
- 外国人が海外にいる場合には入国手続きをおこなう
- ハローワークへの届出や、福利厚生についての手続などをおこなう
- 農業分野の協議会に加入する
- 義務づけられた届出や定期の面談をおこなう
受け入れる事業者が注意すること
特定技能「農業」において事業者側の手続きは上記のとおりですが、よりスムーズに外国人を受け入れるためには次のような注意点があります。
労働条件を必ず明示する
特定技能外国人を受け入れる事業所では、労働条件について、以下の6項目を書面において、必ず明示しなくてはなりません。
- 労働契約期間
- 労働契約について期間の定めがある場合は更新の有無や更新の基準
- 就業場所および従事する業務内容
- 始業と終業時間、残業の有無、休憩時間、休日と休暇、勤務ローテーションなどの労働時間に関する規定
- 賃金の決定方法や支払い方法およびその締日や支払日
- 解雇事由を含む退職に関する事項
特定技能外国人にもの社会保険への加入義務がある
特定技能外国人の受け入れる事業者が法人の場合、労働保険は強制適用となり、特定技能外国人も労災保険の適用労働者となるため、雇用保険の被保険者となります。
このため、社会保険への加入義務が発生します。
ただし、受け入れる事業者が個人事業主であれば、従業員が常時5人以上でない場合には、任意加入となります。
特定技能外国人の解雇について
「特定技能外国人が雇用契約に違反した」といった、社会通念上「妥当」と認められる範囲であれば、事業者側は当該外国人を解雇できます。
しかしながら、原則として、労働者の安易な解雇は認められていません。
このため、労働基準法の定めるところによる、解雇予告手当の支払いについての義務や、解雇の禁止期間などにも十分な留意が必要です。
また、「特定技能外国人の受け入れ事業者の倒産」など、意思に反して離職せざるを得ない場合には、転職先を探すなど各種支援もおこなう必要があります。
なお、実際に特定技能外国人を解雇する場合には、解雇前に、地方出入国在留管理局に対し受入れ困難となった旨の届出をしなければなりません。
さらに解雇時には、同局に対し、特定技能雇用契約の終了に関する届出も必要です。
不法就労を防止する
特定技能外国人を受け入れる場合には、不法就労に該当しないかも十分注意が必要です。
なお、次のようなケースは不法就労に該当します。
- 出入国在留管理庁から許可を受けた範囲を超えて働いている
- 就労できる在留資格以外で働いている
- 不法滞在者や被退去強制者である
こうした場合、不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業者も処罰の対象と
なります。これらは不法就労助長罪にあたり、3年以下の懲役あるいは300 万円以下の罰金が科されます。
また、
- 特定技能外国人を受け入れる際に必要となるハローワークへの届出をしていない
- 虚偽の届出をしている
といった場合にも、30万円以下の罰金が科されます。
職場におけるコミュニケーションは非常に重要
特定技能外国人を受け入れにあたって、職場におけるコミュニケーションは非常に重要です。
業務における専門用語や技術用語、緊急避難の方法などについては伝達方法を工夫したり、相手が理解したことを確認できるまで説明しなければなりません。
もちろん、特定技能「農業」2号では、一定程度の日本語を理解できることが要件となっています。しかし、日常日本人が交わしている会話が、必ずしもスムーズに理解できるとは限りません。
そこで、短い文節でわかりやすい言葉を選んだり、類似の言葉や表現に言い換えるようにします。また、わからない言葉や表現があったら、ゆっくり、はっきりと話すといった配慮も必要です。
特定技能「農業」を受け入れる場合は行政書士に相談しよう
特定技能「農業」の申請については、申請人となる特定技能外国人本人が申請するか、あるいは受け入れ事業者の職員であれば代理申請が可能です。
しかしながら、申請書類の作成などに不慣れなことは否めません。
そこで、確実な申請および許可のためには、行政書士に依頼するという方法があります。
行政書士は、他者から官公庁に提出する申請書類や契約書といった、公的な文書の作成を請け負うことができる、唯一の国家資格者です。
こうした点から、特定技能「農業」の申請についても行政書士に依頼すれば、さまざまなメリットがあります。
できるだけ、在留資格に特化した専門性の高い行政書士に依頼しましょう。
不許可の恐れが低くなる
特定技能「農業」の申請は、手続きに不慣れな特定技能外国人本人や、受け入れ事業者の職員などがおこなうと、不許可になってしまうことがあります。
具体的には、必要書類に業務範囲外の事項を誤って記載をしてしまう、といったケースです。
いったん不許可になった場合、再度申請する際も、業務範囲外の業務をおこなうことが疑われ、審査が不利になることもあります。
また、単純な記載漏れや説明不足であっても、追加書類や説明補足の提出を求められず、通知書がこないまま不許可となる可能性も否定できません。
こうしたリスクやミスは、行政書士に申請を依頼することで、大幅に軽減できますので、経験ある行政書士への依頼が好ましいでしょう。
申請にかかる時間と労力を節約できる
受け入れ事業者や特定技能外国人の事情によって、必要となる申請書類やその記載内容はそれぞれ異なります。
このため、書類作成のノウハウを持っていないと、実際の作成に多くの時間を費やすことになります。
また、申請においては随時、受け入れ事業者の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に出向く必要があります。
郵送やオンラインでの申請も可能ですが、書類ミスが不許可につながる可能性もあることから、申請書類の作成などの負担とリスクがあります。
一方、行政書士に申請を依頼すれば申請書作成から許可の受け取りまで一任できるため、時間と労力を節約でき、在留資格の許可を得られやすくなります。
制度変更にも柔軟に対応できる。
特定技能は農業を含め、比較的新しい制度です。そのため、社会情勢の変化によって制度の内容も変更が生じる可能性があります。
実際、農業以外の分野では統合された分野もあり、制度として流動的です。
このように、制度内容に変更が生じると、提出書類やその記入方法にも影響を及ぼします。しかし、専門家ではない受け入れ事業者や、特定技能外国人では、こうした変化や情報を取得し続けて対応していくことは困難です。
このため、書類上のミスが発生することが否定できません。
その点、行政書士であれば、こうしたリスクにも柔軟に対応できるのがメリットとなります。
まとめ
特定技能「農業」、とりわけ2号について詳しくみてきました。
他の分野同様、農業分野においても、特定技能2号は1号に比べて、上位資格にあたります。
このため、さまざまな優遇措置が設けられているのはもちろん、永住権も目指せる在留資格です。そして、永住を望む外国人にとっては、とりわけ魅力の大きな在留資格であるともいえます。
しかしながら、特定技能2号に認定されるには、実務経験も求められるほか、2号技能測定試験にも合格する必要があります。これは外国人材にとってひとつのハードルです。
ただし、実務経験があれば、試験については合格率は決して低い数字ではありません。
日本に長く滞在したい外国人にとっては、とてもメリットの大きい在留資格となるでしょう。
一方で、申請については書類作成などが煩雑で、準備にも時間を要します。そこで、状況に応じて専門家の手を借り、行政書士への依頼も検討するとよいでしょう。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
無料相談
「さむらい行政書士法人」は特定技能ビザなどの入管申請を専門とする行政書士法人です。特定技能ビザ申請のアウトソーシングや、特定技能支援計画の作成支援と支援計画の運用サポートも行っております。
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