技能実習「介護」は夜勤ができる?注意点なども解説
技能実習制度の対象職種の1つである「介護」ですが、
「夜勤はできる?」
「夜勤業務の注意点は?」
と疑問をお持ちの方も多いでしょう。結論から言うと夜勤は可能ですが、注意すべきポイントが多くあります。
この記事では、技能実習「介護」における夜勤について注意点も合わせて詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
介護職の技能実習制度とは
技能実習制度とは、開発途上地域の発展に貢献することを目的としています。日本の技術をOJTを通じて外国人実習生に修得させ、母国へと移転させる制度で、1993年に創設されました。
2017年11月に介護職の分野が追加され、2020年1月31日時点での申請数は10,225件です。そのうち、8,652件が認定されています。
※参照:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック
在留資格「技能実習」は1〜3号までの区分に分けられます。所定の技能試験に合格することで、1号→2号→3号と移行でき、最大5年間の就労が可能です。
介護職での受け入れは今後も増えると予想され、注目度の高い制度の1つと言えます。
介護職の技能実習生の要件
ここでは、要件について詳しく見ていきましょう。
技能実習制度の要件
介護サービスの特性上、考えられる懸念に対処できるような制度でなければいけません。具体的には、下記の3つの要件に対応できるよう構成されています。
- ・介護が外国人が担う単純労働という印象にならない
- ・日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれない
- ・介護サービスの質の担保と、利用者が不安を抱かないようにする
上記の要件を満たすために、技能実習における介護職には固有の要件が定められています。
実習生側の要件
- ・18歳以上
- ・制度を理解し技能実習を行う
- ・帰国後に、学んだ技能を要する仕事に従事する予定がある
- ・同じ技能実習を過去に行っていない
- ・申請者の外国にある事業所または密接な関係がある外国の機関の事業所の常勤職員、かつ当該事務所から転勤・出向する者(企業単独型の場合)
- ・従事する仕事と同種の業務を外国で経験した、または技能実習に従事する特別な事情がある(団体監理型の場合)
- ・本国の公的機関から推薦を受けている(団体監理型の場合)
「介護」固有の要件
- ・日本語能力試験N4に合格もしくは同等以上の能力がある(第1号)
- ・日本語能力試験N3に合格もしくは同等以上の能力がある(第2号)
実習実施者側の要件
- ・申請者または常勤の役職員であり、自己以外の技能実習指導員・生活指導員・そのほかの職員を監督できる立場にある、かつ過去3年以内に法務大臣および厚生労働大臣が定める講習を修了した者の中から、実習責任者を選任している
- ・申請者または常勤の役職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者で、修得をさせようとする技能について5年以上の経験を有する者の中から、1名以上の実習指導員を選任している
- ・申請者または常勤の役職員のうち、技能実習を行わせる事業所に所属する者の中から、1名以上の生活指導員を選任している
- ・技能実習生の受入人数の上限を超えない
「介護」固有の要件
- ・実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格もしくは看護師などの専門知識・技術を有している
- ・技能実習生5名につき1名以上の実習指導員を選任している
- ・技能実習を行わせる事業所が介護などの仕事を行っている
- ・技能実習を行わせる事業所が開設後3年以上経過している
- ・技能実習生に夜勤・少人数の状況下・緊急時の対応が求められる仕事をさせる場合に、利用者の安全の確保のための必要な措置が講じられている
- ・技能実習生の数が一定数を超えない
- ・入国後講習で、240時間の日本語学習・42時間の介護導入講習を受講させる
技能実習生は夜勤ができる?
必要な対策がなされている場合のみ、技能実習生の夜勤は可能です。
告示第2条第5号によると、
「技能実習生に夜勤業務・少人数の状況下での業務・緊急の対応が求められる業務を行わせる場合は、利用者の安全の確保に必要な措置を講じること」
としています。
夜間は、昼間とは異なり少人数での勤務です。利用者の安全への配慮に加え、技能実習生の心身の負担も大きくなります。技能実習生を夜勤業務に就かせる際は、安全確保措置が必要です。
具体的には、下記のとおりです。
- ・利用者の安全の確保
- ・技能実習生の心身への負担の回避
- ・技能実習生以外のスタッフを指導に必要な範囲で同時に配置
- ・技能実習生以外のスタッフを含む複数人での夜勤である
- ・同時に配置されるスタッフについて、技能実習生の介護業務の知識・経験・コミュニケーション能力などを総合的に考えた上で、各事業所の実情に応じて必要な人数を配置
上記のことから、技能実習生の単独での夜勤はできません。加えて、夜勤専従での勤務形態も認められていません。夜勤のみだと、日中における介護を含めた適切な技能移転が図られないことが理由として挙げられます。
技能実習生に夜勤業務をさせる際の注意点
技能実習生は、必要な措置が講じられている場合のみ夜勤業務ができます。
夜勤時は人数が少なく、スタッフ1人にかかる負担は大きいです。不測の事態が起きる可能性もあります。前述したように、利用者の安全に加えて技能実習生の心身への負担にも配慮した人員配置が必要です。
例えば、対応は事業所の判断に任せられていますが、夜勤を担当させるのは2年目以降の技能実習生に限定するなどの工夫が考えられます。夜勤業務は適切な範囲で実施するのが基本で、有給休暇の取得を推奨するなどの配慮も求められます。
下記は、介護の現場で夜勤業務をする際の注意点です。
- ・昼間の勤務に比べてスタッフの数が少ない
夜勤は、スタッフの数が少ないのが特徴です。スタッフ1人が担当する作業量も、昼間と比べて多くなるため、幅広い仕事に対応できる力が求められます。
- ・利用者の体調の変化に気を配る
夜間に利用者の体調が急変するケースも考えられます。わずかな体調変化にも気づけるように注意しなければいけません。日中勤務の申し送りの把握や医療機関との連絡手段の確保など、いざというときに迅速な対応ができるような準備が必要です。
介護職の技能実習生受け入れのポイント
技能実習制度は、人材の不足を補うための制度ではありません。大前提として、開発途上国への技能移転が目的の制度であることを念頭におかなければいけません。
任せられる仕事や採用人数、夜勤のルールなどにも細かく決まりがあります。介護職特有の条件をよく理解してから受け入れの準備を進めましょう。
技能実習生をスムーズに受け入れるためには、良い監理団体を見つけるのがポイントです。
- ・介護業界に関しての知識や経験がある
- ・優良認定を受けた機関
- ・各種関係法令を熟知している
- ・外国人のサポート体制が整っている
- ・送り出し機関との関係性
上記のようなポイントに注目して、信用できるパートナー機関を探すのが良いでしょう。
まとめ
この記事では、技能実習の介護職における夜勤業務について解説しました。
利用者の安全の確保に必要な措置がとられている場合のみ、技能実習生の夜勤業務は認められています。夜勤という特殊な環境下での作業のため、技能実習生の心身への負担にも配慮しなければいけません。
夜勤業務において考えられる注意点に気をつけて、安心で安全な勤務ができるような環境を整えることが重要です。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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