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ミャンマー人の介護技能実習生を受け入れたい場合の注意点や流れを紹介

さまざまな国からやってくる介護技能実習生のうち、ミャンマー人の介護技能実習生は、その人柄や真面目な勤務態度から、とても評判の良い介護技能実習生です。

 

そのため、ミャンマー人の介護技能実習生の受け入れを考えている事業所も多いでしょう。

 

しかしミャンマーは軍事クーデターから不安定な国内情勢にあり、ミャンマー人の介護技能実習生の受入れについて、現状どのようになっているのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

 

現在、介護技能実習生として日本で働いているミャンマー人の方々は、技能実習終了後についてどう考えているのか、どのような道があるのかも、受け入れを考えている事業所としては、気になる部分です。

 

この記事では、ミャンマー人の介護技能実習生について、受け入れ方法や注意点について、現在のミャンマー情勢も説明しながら、詳しく解説します。

ミャンマー人の介護技能実習生受け入れについて

ミャンマー人の介護技能実習生は、その温和な人柄と真面目な勤務態度からとても評判が良い介護技能実習生です。

 

ミャンマー人の介護技能実習生の受入れについて考える事業所も多いと思われます。

 

しかし、現在のミャンマーの国内情勢を考えると不安を抱く方も多いでしょう。

 

現在のミャンマー人の介護技能実習生の受け入れはどうなっているのでしょうか。

ミャンマーの情勢と現状

ミャンマーは2021年2月のクーデター発生で、民主化を進めていた政権を軍が制圧したのち、混乱が続いています。

 

治安が悪くなり、政変後の混乱で公共的なサービスの質が落ち、機能が低下している状態です。

 

病院では国立病院や保健省に勤めていた医師が、そのほか公務員や銀行職員が軍の命令に従わず仕事に行かないという運動をおこし、公共サービスが混乱をきたしました。

 

クーデターにより権力を握った国軍に対抗する勢力の中には、武装組織もあり、政府関係者や政府に協力している人達に攻撃を加えています。

 

国軍が民間人を攻撃して犠牲者がでている事態も発生しています。

 

主に地方でそのような動きがありますが、毎日犠牲者が出ている状態が続いているとのことです。

 

経済面では、クーデター直後に比べて持ち直してはいるものの、国内の産業が低迷しており、失業者が増え、海外へ出稼ぎに行くことを考える人が増えています。

 

そのため、技能実習生として日本へ行くことを目指す若者も増えてきており、クーデター前よりも、より良い人材を採用できるようになっています。

 

都市部では、日常的な生活の混乱は現在なく、コロナウイルス感染拡大予防のための日本への入国制限も、2022年4月からビザが発給され、日本に入国が可能になりました。現在、ミャンマー人の技能実習生が続々と日本に来日しています。 

ミャンマー人の受け入れのメリット

ミャンマー人の技能実習生は、人柄や勤務態度がとても良く人気の高い技能実習生です。

 

介護技能実習生として受け入れすることにより、事業所の一員としてしっかりと働いてくれることに期待できます。

 

介護技能実習生にとって、ひとつの難関ともいえる日本語能力に関しても、ミャンマー語は日本語と語順が同じであるため、来日当初は日本語能力がそこまで高くない技能実習生であっても、修得スピードは他の言語の技能実習生よりは早いと考えられます。

 

また、ミャンマーの国内情勢はとても不安定であることから、技能実習後も日本での就労を希望する可能性が高いと思われることから、特定技能や、介護の在留資格を取り、継続して事業所で働く可能性が高いといえます。

 

このような観点から、ミャンマー人の受け入れにはたくさんのメリットがあると考えられるのです。

受け入れできるミャンマー人の要件

介護技能実習生として受け入れができるミャンマー人の要件としては、どのようなものがあるのでしょうか。

 

ここでは、介護技能実習生としてのミャンマー人の要件を説明します。

日本語能力における要件

技能実習生のなかでも介護職の技能実習生は、日本語能力における要件が定められています。

 

ミャンマー人の介護技能実習生においても、その要件はかわりません。

 

介護職の技能実習生の日本語能力における要件は、入国時には日本語能力試験N4レベルが必須です。

 

第1号技能実習での日本語能力については、入国時にN4レベルであることが要件ではありますが、望ましいレベルはN3以上とされています。

 

また、日本語能力試験と同等以上の能力を有する人もこの要件を満たします。

 

しかし、そのためには日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験で、日本語能力試験の基準と相当するものに合格している必要があります。

 

第2号技能実習および、第3号技能実習では、日本語能力試験のN3に合格している者、もしくは同等以上の能力を有すると認められる者であることが必要です。

 

万が一、日本語能力試験に不合格だった場合は、技能実習生本人が継続して日本語の勉強をする意思があり、実習実施者である事業所が日本語教育をすることを要件として、日本語能力試験に合格できなくても、そのまま技能実習を続けることは可能となっています。

 

<参照:厚生労働省「介護職種について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等(平成29年厚生労働省告示第320号)」「平成31年3月29日 一部改正」

業務や就労先に制限あり

介護技能実習生は、業務や就労先に制限があります。

 

就労先は、技能実習の実施者となるため、介護技能実習の実習実施者としての要件を備えた事業所であることが必要です。

 

また、業務内容は事業所内で行われるものに限られており、利用者の居宅において行われるサービスや事業所外にて行われる事業は含まれません。

 

そのため、介護技能実習生が訪問介護等の居宅サービスや移動支援を行えません。

 

<参照:厚生労働省「技能実習「介護」における固有要件について」

試験次第で技能実習後の継続就労も可能

介護技能実習生は、技能実習第2号を終了後から、国家試験の介護福祉士試験を受験できます。

 

試験に合格すれば、在留資格を「介護」にするための在留資格変更許可申請を行い、認められれば引き続き日本で就労することが可能となります。

 

在留資格「介護」は、在留期間更新の限度が定められていないため、介護福祉士として日本で就労することを続ける限りは、日本での就労が可能な在留資格なのです。

 

母国の情勢が不安定であるミャンマー人の介護技能実習生のなかには、介護福祉士資格を取り、引き続き安定した日本での就労を望む方も多いのではないでしょうか。

ミャンマー人の介護技能実習生受け入れの流れ

ここでは団体監理型技能実習について、監理団体としてミャンマーの介護技能実習生を受け入れる流れについて説明します。

 

ミャンマー人の介護技能実習生の受け入れの流れは以下のとおりです。

外国人技能実習機構に監理団体の申請をする

ミャンマー人の介護技能実習生を監理団体として受け入れるには、日本の外国人技能実習機構に監理団体の申請を行います。

 

監理団体として認められるには、外国人技能実習機構による予備審査を経て、主務大臣の許可が必要です。

 

監理団体の許可を得るためには、監理事業を適正に行う能力を有することや、外部役員の設置又は外部監査の措置を行っていることなどの許可基準に適合し、かつ欠格事由に該当しないことが必要です。

 

欠格事由とは、一定の前科がなく、5年以内に許可取消を受けていないことや、5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をしていないことなどです。

 

介護職種においての監理団体には、技能実習制度による要件にあわせて、以下の要件を満たす必要があります。

次のいずれかに該当する法人であること

 

  • ・商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、公益社団法人又は公益財団法人

※商工会議所、商工会、中小企業団体の場合は、その実習監理を受ける介護職種の実習実施者が組合員又は会員である場合に限る

 

  • ・法人の目的に、介護事業の発展に寄与すること等が含まれる全国的な医療又は介護に従事する事業者から構成される団体(その支部を含む。)であること

その役職員に介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等(※看護師等)がいること

<参照:厚生労働省「技能実習「介護」における固有要件について」

 

また、監理団体には2つの許可区分があり、それぞれ監理が認められる技能実習が異なります。

 

一般監理団体は優良な監理団体としての基準に適合した監理団体であり、技能実習3号まで監理できます。

 

その他の監理団体は、特定監理団体となり、技能実習2号まで監理できます。

区分

監理できる技能実習

許可の有効期間

受け入れ可能人数枠

一般監理団体

技能実習1号
技能実習2号
技能実習3号

5年または7年

技能実習1号 基本人数枠の2倍
技能実習2号 基本人数枠の4倍
技能実習3号 基本人数枠の6倍

特定管理事業

技能実習1号
技能実習2号

3年または5年

技能実習1号 基本人数枠
技能実習1号 基本人数枠の2倍

<参照:法務省 出入国在留監理庁 厚生労働省 人材開発統括官「外国人技能実習制度について」

採用活動

ミャンマー人を採用するには、まずミャンマー国内にある政府認定の送り出し機関と監理団体が契約をする必要があります。

 

送り出し機関は、実習実施者である事業所の希望に沿って、介護技能実習生の募集を行います。

 

また、送り出し機関は、応募者に対して技能実習の仕組みの説明をしたうえで、意思確認を行い、適正テスト等を実施します。

 

そして、合格者のみ実習実施者との面談に進みます。

面接

送り出し機関、監理団体の仲立ちのもと、事業所と応募者との面談が行われます。

 

実際に現地へ行けない事業所の場合については、WEBでの面談なども実施できる送り出し機関がほとんどです。

 

日本にいながら採用面接ができる環境は、事業所にとっては大きなメリットといえるため、WEB面談ができる送り出し機関を選ぶことが重要です。

受け入れ準備

面接を終え、採用が決定したのち、事業所と内定者が雇用契約を結びます。

 

送り出し機関の通訳を交えて、事業所から雇用条件が提示され、内定者が承諾すれば雇用契約を結べます。

 

ここで十分に説明を行い、内定者に雇用契約を理解してもらうことでその後のトラブルを防ぐことにつながるため、雇用条件の提示にしっかり注意を払う必要があります。

 

雇用契約を結んだところで、事業所側は介護技能実習生の受け入れ準備に入ります。

採用者への講習

雇用契約を結んだ後、送り出し機関は、採用者へ入国前講習を実施します。

 

団体監理型技能実習では、日本で行う技能実習と同じ業務に従事した経験か、または団体監理型技能実習に従事する特別な事情があることが必要です。

 

団体監理型技能実習に従事する特別な事情のうち、技能実習を行うための必要最低限の訓練を受けている要件で実習を行う場合は、2か月以上の期間かつ320時間以上の課程の訓練が必要です。

 

そのうち、1か月以上の期間かつ160時間以上の課程が入国前講習であることが必要なため、送り出し機関はその要件に見合う課程の入国前講習を実施しなくてはなりません。

 

特に介護技能実習生の場合は、入国時に日本語能力試験N4以上の日本語能力が必要とされているため、入国前講習が非常に大切です。

配属後に研修スタート

日本に介護技能実習生が入国したのち、監理団体もしくは監理団体が委託した機関で、入国後講習が実施されます。

 

介護技能実習生の場合は、入国後講習のうち、日本語と介護導入講習について講習内容や時間数が定められています。

 

入国後講習を受講した後、事業所に配属されて技能実習がスタートします。

受け入れの注意点

続いて、ミャンマー人の介護技能実習生の受け入れにはどのような注意が必要なのでしょうか。

 

ここでは受け入れの注意点について説明します。

採用までのスケジュールに注意

ミャンマー人の介護技能実習生の採用については、面接1ヵ月前までに送り出し機関に要望を伝える必要があります。

 

また、入国前講習、そして入国後講習もあるため、実際に業務をスタートするのは、面接からおよそ9か月ほどかかります。

 

送り出し機関に要望を伝える時点から計算すると、10か月以上かかっていることから、ミャンマー人の介護技能実習生を受け入れするのにおよそ1年程度かかると考えると良いでしょう。

 

不安定なミャンマーの情勢もあり、実際に採用するまでかなり時間がかかることを踏まえながら、採用に向けての手続きを進めましょう。

手続き以外のサポートも重要

受け入れ機関である事業所は、雇用に関する手続き以外にも、技能実習計画の作成や、在留資格申請の手続きなどが必要です。

 

手続きについては、監理団体がすべて仲立ちして事業所をサポートしています。

 

また、入国後講習の期間は監理団体が技能実習生の衣食住についてサポートをします。初めて日本に来て、まだ日本の文化になじみのない技能実習生が日本に早く慣れることができるように生活面から精神面までサポートしています。

 

しかし、実際に事業所で技能実習をスタートする時点での衣食住の手配は実習実施者である事業所が行う必要があります。

就労後の研修やサポートも行う

就労後についても、随時必要であれば研修などを実施します。

 

来日して2年目以降、技能実習2号、3号と区分の変更に伴い、事業所は技能実習計画を新たに作成する必要があります。

 

また、在留期間の更新申請が必要な場合もあります。

 

監理団体は技能実習計画の作成、在留期間更新申請などの書類作成のサポートを行います。

介護専門用語や言語の理解を深めておく

送り出し機関での研修内容にもよりますが、介護専門用語はとても難しく、外国人であるミャンマー人が日本に入国時にほぼ理解できているかという点ではあまり期待ができません。

 

日本語能力試験N4レベルといっても、ある程度のコミュニケーションはできるものの、介護現場でこまやかな対話が可能なレベルではないことが多いでしょう。

 

介護技能実習生は、事業所で介護についての技術や技能を学びながら、介護サービスに必要な日本語についても学習していく必要があり、事業所側も指導を行う義務があります。

 

そのため、介護専門用語やミャンマー人の言語についての理解を深めておく必要があるといえるでしょう。

まとめ

2年前のクーデターから国内情勢が不安定なミャンマーの介護技能実習生ですが、2022年4月からビザの発給に伴い、日本に入国しはじめています。

 

ミャンマー国内の経済状況があまりよくないことから、日本で働くことに意欲的なミャンマー人は、温厚で真面目な人柄から、介護技能実習生としてとても人気が高い人材です。

 

また、国内情勢の不安定さから、クーデター以前より良い人材を採用しやすいというメリットもあります。

 

日本語についてもミャンマー語が語順が同じことから修得スピードに期待が持て、技能実習終了後も不安定なミャンマーへ戻るよりも、介護福祉士国家試験を受験して、介護福祉士となり、継続して日本で就労を行う方も今後期待が持てるでしょう。

 

ただし、団体監理型技能実習の監理団体としてミャンマーの介護技能実習生を受け入れるためには、監理団体の許可が必要となりますが、その要件は厳しく難しいため、容易許可が下りるものではありません。

 

ミャンマーの介護技能実習生の受け入れについては、技能実習に詳しい行政書士事務所などへ相談することをおすすめします。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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