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遺産分割協議書で相続人の住所がわからない場合の対処法

相続が開始したけれど、相続人の1人が行方不明、、これからどう進めればいいの?と不安に思っている方もいらっしゃるかと思います。

 

このように住所が分からない相続人が居た場合でも、次のような流れで、最終的には遺産分割協議を進めて遺産分割協議書の作成も出来ますので、ご安心ください。

大まかな流れ

・戸籍の附票を使って住所を特定する

・記録上の住所にも居ない場合は「不在者財産管理人」を選任する

・不在者財産管理人が遺産分割協議に参加

 

では、これから、具体的にどのように進めればいいのかを解説していきます。

とりあえずは「戸籍の附票」で本人を探してみる

戸籍謄本の中には、「戸籍の附票」と呼ばれる種類の書類があります。これは、その戸籍に入っている人の、その戸籍に入っている間の住所を確認できるものです。

 

そのため、これを使って、記録上の現住所を探し当てましょう。

 

とはいっても、普段戸籍を見慣れていない方にとっては、少し難しいかも知れません。戸籍をたどって戸籍の附票を取るって言っても何がなんだか、ですよね。

 

通常、住居地の証明書としては、「住民票」が利用されます。しかし、住民票は実際に住んでいる場所を知らないと、どの役所に請求をかけたら良いのかも分かりません。

 

そこで、まずは、行方不明の方の情報が載った戸籍謄本を用意してください。例えば、親がなくなって、相続人の子どものうち1人が行方不明の場合、無くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を全て取れば、必ずその子どもの情報も出てきます。

 

あとは、この子どもの本籍地をたどっていけば、最新の本籍地までたどり着きます。そこに「戸籍の附票」の請求をしてみましょう。記録上の現住所が分かるはずです。

 

現住所がわかれば、手紙を送るなり直接訪問するなりして、遺産分割協議への参加を依頼してください。

それでも実際の居所が分からなければ、不在者財産管理人の出番

せっかく苦労して戸籍の附票を取得しても、実際にはそこには住んでいなかった、というケースも珍しく有りません。引っ越しをしたけど住民票を移していなかった、なんてことは失踪者でなくても日常茶飯事です。

 

ではそんな時にはどうするかというと、家庭裁判所に対して、「不在者財産管理人」の選任を申立てて下さい。また、本来、不在者財産管理人の役割は不在者の財産を管理することなので、遺産分割協議に参加するためには、更に「権限外行為許可」を申し立てて下さい。なお、裁判所への申立は弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

 

こうすることで、相続人の1人が音信不通で行方不明であっても遺産分割協議を進めることが出来ます。

 

この他にも、不在者の生死が7年間分からない場合には、裁判所で「失踪宣告」をすることもでき、この場合、その不在者は法律上死亡したものとみなされるため、その不在者の相続人を遺産分割協議に参加させて手続きを進めることも可能です。なお、裁判所への申立は弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

遺産分割協議書では、不在者にも法定相続分は保証する

不在者財産管理人がいたとしても、不在者財産管理人が遺産分割協議をするにはまた別の許可が必要になります。ここで注意をしなければならないのは、遺産分割協議の内容がその不在者にとって不利な内容になっていると、裁判所はこの許可を認めてくれません。なお、裁判所への申立は弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

 

しかし、相続財産の内容や、相続人の資力、不在者が帰ってくる可能性などを考慮した上で、「帰来時弁済型」という書き方で遺産分割協議書を作ることが出来ます。

 

これは、不在者の財産を他の相続人が相続し、その不在者が帰ってきた時に弁済する(支払う)という方法です。

 

「帰来時弁済型」の遺産分割協議書の書き方は、通常の遺産分割協議書に次のような文言を足すだけで大丈夫です。

 

(不在者の財産を他の相続人が相続する、とした条文の後)

第〇〇条 相続一郎は前条の代償として、将来、不在者相続二郎が帰来した場合に、同人に対して金500万円を支払うものとする。

 

(署名押印箇所)

住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号     

相続人相続二郎の不在者財産管理人   不在代郎    ○印

 

 

 さて、ここまでいかがだったでしょうか?もし、ご自身でこれらの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、遺産分割協議を前提とした住居地の調査であれば行政書士、不在者財産管理人も申立てであれば司法書士など、専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。