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外国人が相続人の場合の遺産分割協議書の作り方

相続人の中に外国人が要る場合に遺産分割協議はどうすればいいのかについてご説明します。

相続人が外国人でも亡くなった方が日本人であれば原則は同じ!

亡くなった方が日本人であれば、遺族に外国人がいる場合でも日本の法律が適用されて相続出来ます。

 

ですから、遺産分割協議書を作成するときは、日本人が相続するときと同じように、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。

 

相続人が作成するときの流れは次の通りです。

 

①相続人を特定する。(戸籍の収集)

②だれが何を相続するのかを相続人全員で協議する。

③遺産分割協議書を作成して全員が署名および実印の押印をする。

戸籍謄本の代わりは? →出生証明書や婚姻証明書等を取得する!

遺産分割協議書を作成にあたり、まずは相続人がだれなのかを特定しなければなりません。相続人全員が日本国籍なら戸籍謄本を集めればいいのですが、外国人の方がいる場合や、亡くなった方が元外国人の方の場合には、日本の戸籍だけではすべての相続人を証明することができません。

 

日本のように戸籍制度がある国の場合には、同じように戸籍謄本を取得しますが、戸籍制度がない国の場合には、出生証明書や婚姻証明書、死亡証明書、家族関係証明書等、それぞれの国で取得できる書類で戸籍謄本の代わりになる書類を集めていく必要があります。

 

また、遺族の1人がもともと日本人で外国に帰化した場合は、帰化する前の戸籍謄本を取得する必要もあります。

 

それぞれの国によって発行している書類は異なりますし、それぞれのご事情によって取得すべき書類が変わってくることもありますので、わからない場合には専門家に相談されるとよいかと思います。

外国人が相続出来ない財産はある?

遺産分割協議をするときに気になるのは、外国籍の人が相続できない財産はあるのかどうかという点だと思います。

 

基本的に、外国籍であることが理由で相続手続きができないものはありません。不動産を相続するときには、住民票が必要になりますが、宣誓供述書等を代わりに出すことで相続手続きをすることができます。

 

ただ、銀行や法務局等、実際に相続手続きをするときに必要な書類は異なることもありますので、確認が必要です。

印鑑証明はどうする? → サイン証明を付ければサインのみでOK!

遺産分割協議書には署名と実印の押印が必要です。外国人であっても日本に住んでいるのであれば印鑑登録および印鑑証明書の取得ができますので、日本人と同じように実印を押印して印鑑証明書を発行してもらえば問題ありません。

 

もし、外国に住んでいて印鑑証明書が発行できない場合はどうすればいいのでしょうか。

 

中国や韓国など、印鑑文化のある国であれば、印鑑証明書の代わりとなる書類を発行してもらうことで相続手続きが可能になります。

 

ただ、印鑑文化があるという国はごくわずかですので、印鑑証明書を取得することができない場合には、署名が本人であることを「本邦大使館等の発給した証明書」を取得することで証明することになります。

 

ですから、印鑑証明が発行できない場合には、その外国人はサイン(署名)のみすればOKです。

海外在住で連絡が取れないときは?

遺産分割協議書は相続人全員で作成しなければなりません。しかし、相続人の中に外国人の方がいて、海外在住のために連絡が取れない場合も遺産分割協議書を作成する方法はあります。

 

それは、「不在者財産管理人」を選任する方法です。

 

外国人の方の場合には、住所や連絡先を特定することが困難な場合があります。そんなときには、その方の代理人を裁判所に選任してもらい、代理人に遺産分割協議に参加してもらうことで遺産分割協議を進めることができます。

 

ただ、これは「相続人の一人が海外に住んでいて連絡をするのが面倒」などという理由では利用することのできない方法です。

 

相続人調査をしてもどうしても連絡が取れないときには利用を考えてみましょう。

 

いかがでしたでしょうか。相続人に外国人がいる場合の遺産分割協議書の作り方について説明してきましたが、相続人に外国籍の方がいる場合は相続手続きがより大変だと感じられた方も多いのではないでしょうか。

 

もし自分で遺産分割協議書を作成するのが難しいと思う場合は、行政書士等の専門家に依頼すると、代わりに作成してもらうことができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。