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預金が多い場合の遺産分割協議書の書き方

相続手続きで、銀行預金の解約や名義変更を行う際に、遺産分割協議書を提出してください、と言われることがあるかと思います。

 

遺産分割協議書ってなに?どうやって作ればいいの?と悩んでいる方のために、ここでは亡くなった人の銀行口座が複数ある場合を想定して、預金が多い場合の遺産分割協議書の書き方について解説をしていきます。

遺産分割協議書ってなに?

遺産分割協議書とは、相続人全員の間で合意した、誰が何をどれだけ相続するかについての内容を書面にしたものです。

 

例えば、以下の図のようなケースを想定します。

 

亡くなった人の法務太郎さんには、奥さんと子供二人がいますので、相続人はこの3人です。このとき、遺産分割協議の結果、土地建物を奧さんの法務花子さんが相続し、預貯金は法務一郎さんが相続、法務貴子さんは不動産や預貯金を相続しない代わりに相続人二人からお金をもらうこととします。この内容で、遺産分割協議書の実例を見てみましょう。

【法務局の相続関係説明図 記載例】

遺産分割協議書(例)

 

被相続人法務太郎(令和元年6月20日死亡)の相続財産について、被相続人の相続人全員は、協議の結果以下の通り分割することに合意する。

 

第1条(土地・建物)

相続人法務花子は以下の土地・建物を取得する。

【土地】

所   在  東京都台東区〇〇町〇丁目

地   番  000番

地   目  宅地

地   積  500.00㎡ 

 

【建物】

所   在  東京都台東区〇〇町〇丁目

家屋番号   123番

種   類  木造

構   造  瓦葺2階建

床 面 積  1階  100.00㎡
2階   50.00㎡ 

第2条(預貯金)

相続人法務一郎は以下の預貯金を取得する。

【預貯金】

1. ○○銀行○支店  普通預金  口座番号00000000 

2. ○○銀行○支店  定期預金  口座番号00000000 

3. ××銀行×支店  普通預金  口座番号00000000

4. △信用金庫△支店 普通預金  口座番号00000000

 

第3条(代償分割)

相続人法務花子及び法務一郎は、土地建物、預貯金を相続する代償金として、法務貴子に対し、それぞれ金〇〇円を支払う。

 

第4条(その他)

本協議書に定めのない相続財産は、相続人法務花子が取得する。

 

上記のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証するため、本協議書を3通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

令和元年6月30日

 

住所

氏名 法務花子      実印

 

住所 

氏名 法務一郎      実印

 

住所

氏名 法務貴子      実印

代償分割とは?

この遺産分割協議書には、第3条に「代償分割」という言葉が出てきます。

代償分割とは、相続の際、全財産を均等分割にすると車など分割が難しい財産があったり、土地の共有が発生したりするとかえって面倒になるため、財産を一人が相続する代わりに、他の相続人にはお金を支払うことにする、という制度です。

 

この代償分割は、今回のように亡くなった人が複数の銀行口座を持っている場合にはとても便利です。

 

代償分割を行わない場合は、それぞれの銀行口座の預金を代表の相続人が相続したあと、銀行口座ごとに他の相続人に相続分を振り込まなければならず、手間がかかります。これに対し、代償分割の方法にしていると、他の相続人に対する支払いは一度で済みますので、手続きを省略できます。

 

今回のように亡くなった人が複数の銀行口座を持っている場合は、遺産分割協議書に代償分割の規定を入れておくと良いでしょう。

 

その他、遺産分割協議書を作成するときは、一般的に以下のような点に注意してください

 

・土地や建物の記載をするときは、登記簿謄本を見ながら正確に記載してください。情報が間違っていると、手続きができない場合があります。

・相続人全員の署名、押印が必要です。

・相続人全員分の通数を作成し、各自が1通ずつ保管しておくようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか。亡くなった人の銀行口座が複数あり、預金が多い場合の遺産分割協議書について見てきましたが、もし自分で全て作成するのが難しいと思う場合は、行政書士等の専門家に依頼すると、代わりに作成してもらうことができます。

 

また、遺産分割協議書を作成する上では、亡くなった人の戸籍謄本を、生まれてから現在まですべて取得し、相続人情報を特定して作成することが前提になります。

 

自分で戸籍謄本を取るのが難しいと思った場合も、専門家に依頼することで代わりに取得してもらえたり、相続手続きを任せたりすることもできます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。