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配偶者が全て相続する場合の遺産分割協議書の作り方

配偶者の一方が亡くなって、残された配偶者とその子どもたちがいる場合、配偶者が遺産を全て相続するという話はよくある話ではないでしょうか?

 

とりあえずは兄弟間で取り合いは避けてお母さんに全て相続しようと、、そんな思いもあるかと思います。

 

そこで、ここでは、遺産を配偶者が全て相続する場合の遺産分割協議書の作り方について解説をしていきます。

 

配偶者が全て相続する場合の遺産分割協議書書き方パターンはざっくり次のとおりです。

 

1. 財産を書き出して、全てに「〇〇(配偶者)が相続する。」と書く

2. 「一切の財産」や「遺産の全て」のようにまとめて書く

 

ではここから、解説に入ります。

1. いちいち「〇〇(配偶者)が相続する。」と書く

(見本)

 

遺産分割協議書

 

被 相 続 人

相続太郎(令和◯年◯月◯日 死亡)

最期の本籍 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地

最後の住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号

 

上記被相続人の死亡により開始した相続の相続人である 妻 相続花子、 長男 相続一郎、 次男 相続二郎 は、その相続財産について、次の通り分割を協議し、決定した。

 

1. 次の不動産は、相続花子が取得する。

 

建物

所 在    ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯

家屋番号   ◯◯番◯の2

種 類    居宅

構 造    木造瓦葺2階建
床面積    1階 72.21㎡  2階 59.20㎡

 

2.  次の預貯金は、相続花子が相続する。

 

○○銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号5555555

○○銀行 〇〇支店 定期預金 口座番号5555555

 

3. 相続花子は、被相続人の債務全てを継承する。なお、相続人相続花子は、他の相続人に対し、上記債務の弁済について求償しないものとする。

 

4.  本協議書に記載なき遺産及び、後日判明した遺産については、相続花子が相続し、または承継する。

 

以上証明のため、相続人及び特別代理人は本書を作成し、署名押印する。  

 

令和◯年◯月◯日

 

住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号     

相続人 相続花子    印

 

住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号     

相続人 相続一郎   印

 

これは、見たままですが、一般的な遺産分割協議書の相続する人の名前が、配偶者(例で言う「相続花子」)になっているだけです。

特に難しいことはありませんね。

2. 「一切の財産」や「遺産の全て」のようにまとめて書く

(見本)

遺産分割協議書

 

被 相 続 人

相続太郎(令和◯年◯月◯日 死亡)

最期の本籍 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地

最後の住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号

 

上記被相続人の死亡により開始した相続の相続人である 妻 相続花子、 長男 相続一郎、 次男 相続二郎 は、その相続財産について、次の通り分割を協議し、決定した。

 

1.  被相続人の有する一切の財産は、妻 相続花子 が相続する。

 

以上証明のため、相続人及び特別代理人は本書を作成し、署名押印する。

  

令和◯年◯月◯日

 

住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号     

相続人 相続花子    ○印

 

住所 ◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号     

相続人 相続一郎    ○印

 

これは、前の例より更に簡単です。

 

遺産をいちいち並べて書かないでも、どうせ全て1人が相続するなら「全て」としてしまえば良い、という方法です。当然、これでも問題有りません。

 

このように、一極集中して遺産を相続させることを、俗に、他の相続人にとっての「事実上の相続放棄」と呼ばれたりもします。

 

少し余談になりますが、相続放棄の手続きを省略するために、1人に集中して遺産を相続した場合、気をつけなければならないことがあります。

 

それば、遺産分割協議をしても、債務(借金)の法定相続分からはまぬがれないということです。

 

どういうことかというと、

 

例えば、亡くなった相続太郎には、銀行に1000万の借金があったとします。次に、妻と子どもたちの間で行った遺産分割協議では、不動産や現金、借金は全て妻に相続するが決まり、遺産分割協議書を作成しました。きっと、子どもたちは借金もお母さんが相続したし自分は返済の心配は無いな、と思うでしょう。

 

しかし、これは間違いです。確かに遺産分割協議で決めた内容は、相続人の間では従わなければならないルールになりますが、お金を貸している側の銀行からすれば、関係の無い話なんです。そのため、この場合だと子どもは銀行から自分の法定相続分の借金の返済を求められたら、それに応じるしかありません。

 

このように、1人が全て相続する場合の遺産分割協議書は、作成自体はとても簡単ですが、思わぬところに落とし穴が隠れているかも知れません。

 

もし、ご自身でこれらの作成を行うことが不安と感じるようであれば、行政書士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。