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マンションの遺産分割協議書の書き方(共有名義・共有部分・共有持分)

相続手続きで、銀行預金の解約や名義変更を行う際に、遺産分割協議書を提出してください、と言われることがあるかと思います。

 

遺産分割協議書にどうやってマンションのことを書けばいいの?共有になっている場合は?とお悩みの方のために、ここでは、相続財産にマンションがある場合の遺産分割協議書について説明をしていきます。

遺産分割協議書の作り方

マンションがある場合の遺産分割協議書はどうやって作成すれば良いのでしょうか。
例えば、以下の図のようなケースを想定します。

【法務局の相続関係説明図 記載例】

 

亡くなった法務太郎さんには、奥さんと子供2人がいますので、相続人はこの3人です。このとき、遺産分割協議の結果、マンションを奧さんの法務花子さんが相続し、預貯金は法務一郎さんが相続、法務貴子さんは不動産や預貯金を相続しない代わりに2人からお金をもらうこととします。この内容で、遺産分割協議書の実例を見てみましょう。

 

遺産分割協議書(例)

 

被相続人法務太郎(令和元年6月20日死亡)の相続財産について、被相続人の相続人全員は、協議の結果以下の通り分割することに合意する。

 

第1条(土地・建物)

相続人法務花子は以下の建物を取得する。

【建物】

不動産番号 3141592653589

 

一棟の建物の表示 ← ポイント①

 所    在  東京都台東区〇〇

 建物 の 名称 津多屋ビル

 

専有部分の建物の表示

 家 屋 番 号 東上野 〇番2

 建物 の 名称  201

 種    類  居宅

 構    造  鉄筋コンクリート造5階建

 床  面  積  2階部分 50.55㎡

 

敷地権の目的である土地の表示

 土地 の 符号 1

 所在及び地番 東京都台東区〇〇

 地    目 宅地

 地    積 1234.56㎡

 

敷地権の表示 

 土地 の 符号 1

 敷地権の種類 所有権

 敷地権の割合 123456分の6789

(共有者 法務 和夫 持分10分の4)

 

第2条(預貯金)

相続人法務一郎は以下の預貯金を取得する。

【預貯金】 ← ポイント②

1.○○銀行○支店  普通預金  口座番号00000000 

2.○○銀行○支店  定期預金  口座番号00000000 

3.××銀行×支店  普通預金  口座番号00000000

4.△信用金庫△支店 普通預金  口座番号00000000

 

第3条(代償分割) ← ポイント③

相続人法務花子及び法務一郎は、土地建物、預貯金を相続する代償金として、法務貴子に対し、それぞれ金〇〇円を支払う。

 

第4条(その他)

本協議書に定めのない相続財産は、相続人法務花子が取得する。

 

上記のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証するため、本協議書を3通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。 ← ポイント④

 

令和元年6月30日

住所

氏名 法務花子      実印 ← ポイント⑤

住所 

氏名 法務一郎      実印

住所

氏名 法務貴子      実印

 

相続財産にマンションがある場合の遺産分割協議書は、このような形で作成します。決まった書式があるわけではないのですが、作成する上でいくつかポイントがありますので、以下で見ていきましょう。

 

遺産分割協議書作成上のポイント

ポイント①

マンションの謄本を取得すると、「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の目的である土地の表示」「敷地権の表示」に記載が分かれています。取得した謄本を見ながら、書いてある情報を遺産分割協議書に書くようにしましょう。

ここの記載が不正確だと、法務局で相続登記ができない場合があります。

また、共有になっている場合は、末尾に(共有者〇〇 持分〇〇分の〇)と記載しましょう。

ポイント②

相続財産に預貯金がある場合は、銀行名はもちろんのこと、支店名や口座の種類(普通、定期など)、口座番号等を正確に記載し、きちんと特定できるようにしてください。残高は記載しなくても構いません。

ポイント③

第3条の「代償分割」という言葉は、あまり聞きなじみがないかもしれません。

代償分割とは、全財産を均等分割せず、財産を一人が相続することにして、他の相続人には代わりにお金を支払うことにする、という制度です。

ポイント④

遺産分割協議書は相続人全員分を作成し、それぞれ1通ずつ保管するようにしましょう。

ポイント⑤

相続人全員の署名と実印の押印をしておきましょう。これがないと、正式な遺産分割協議書として認められない場合があります。

 

 

いかがでしたでしょうか。マンションがある場合の遺産分割協議書について見てきました。

もし自分で遺産分割協議書を作成するのが難しいと思う場合は、行政書士等の専門家に依頼すると、代わりに作成してもらうことができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。