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認知症の方がいる場合の遺産分割協議書の作り方

相続において亡くなられた方がご高齢なことがほとんどですので、当然、相続人となる方もご高齢なケースは多いです。

 

相続人の中に認知症の方がいらっしゃる場合はどのように遺産分割協議書を作成すればいいのでしょうか。

 

認知症の方は遺産分割協議を行うことはできません

 

そのため、認知症の方を含む相続人全員で遺産分割協議をしたとしても、それは無効となってしまいます。だからといって認知症の方以外の相続人だけで遺産分割協議を行うこともできません。

 

では、相続人に認知症の方がいらっしゃる場合の相続手続きはどのようにすればよいのでしょうか。

 

次の3つの方法が考えられます。

 

①遺言書通りに相続する

②成年後見制度を利用する

③法定相続分通りに相続する

遺言書があれば遺言書通りに!

この中で最もおすすめなのは①の遺言書通りに相続する方法です。遺言書通りに相続手続きをするのであれば、たとえ相続人の中に認知症の方がいたとしても相続手続きを進めることができます。

 

この方法は故人の遺志を尊重することもできますし、他の2つより簡単な方法ですので、遺言書があるのであれば、遺言書通りに相続手続きをするようにしましょう。

 

ですが、この方法は亡くなった方が生前に遺言書を作っていなければ当然使うことができない方法です。

成年後見制度は一定の費用がかかります

つぎに考えられる方法は成年後見制度といって、認知症の方の代理人となる人を裁判所に選任してもらうという方法です。

 

この方法は「認知症の方が要る場合の相続手続き」についてネット等で検索すると最初に出てくる方法なのですが、一定の費用がかかります。なぜなら、多くの場合は親族等ではなく弁護士や司法書士の専門家が選ばれるため、報酬を支払わなければならなくなるからです。

 

遺産分割協議書が作成できるのであれば、多少コストがかかってもいいと考える方もいらっしゃるとは思いますが、この成年後見人は相続の時だけに使うことはできず、一度選ばれるとその人に基本的に一生報酬を払っていかなければなりません。

 

たとえ親族が成年後見人になれたとしても、自由に遺産分割ができるわけではありません。成年後見人も相続人の1人であれば特別代理人という別の代理人を選任しなければなりませんし、裁判所が認めた遺産分割しかできません。

 

弁護士や司法書士に相談すると認知症の人がいるときは成年後見人を選任した方がいいですよと言われる場合もありますが、相続のタイミングで成年後見制度の利用を考えている方は、このような事情を考えて検討することをお勧めします。

 

もちろん、それでも今後のために成年後見制度を利用したいという結論に達したのであればそれもOKです。

法定相続分通りであれば相続手続き可能

では、遺言書もないし、成年後見制度も使いたくないという場合はどのようにすればよいのでしょうか。

 

それは法定相続分通りに相続する方法です。

 

法定相続分通りに相続するのであれば、遺産分割協議書がなくても相続手続きが可能です。不動産等の分けることができない財産は法定相続分で共有することになりますが、分けることができる財産であれば分けて相続することもできます。

 

ただ、法定相続分通りに相続する場合でも1人の相続人が手続きをしようとすると銀行等で遺産分割協議書が求められてしまったりすることもあります。

 

そのため、行政書士等の専門家に依頼して相続手続きをするとよいでしょう。成年後見制度を利用するよりも費用は抑えられますし、相続手続きの際に必要な戸籍謄本等を代わりに収集してもらうこともできます。

 

いかがでしたでしょうか。認知症の方がいる場合の相続についてみてきましたが、いずれの方法を取るにしても認知症の方が要る場合の相続手続きは大変です。もし自分で相続手続きをするのが難しいと感じられた方は行政書士に相談してみると良いでしょう。
また、認知症の方がご家族にいらっしゃる方で、もしも自分が先に死んだときのために準備をしておきたいと思われた方も専門家に相談すれば遺言書の作成を手伝ったもらうことができます。認知症の方がいらっしゃる場合の相続では遺言書があるのがベストです。