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遺産分割協議書の作成は行政書士に依頼するべき?

遺産分割協議書の作成を依頼したいと思ったときに、行政書士に依頼するべきか悩まれる人も多いのではないでしょうか?

 

今回は遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼するべきかどうかについて、自分で作成する場合と比較しながら説明していきたいと思います。

 

自分で遺産分割協議書を作成する場合の流れ

自分で作成する場合の流れは下記となります。

①遺言書の確認をする

まずは、なんといっても遺言書があるかどうかを確認することになります。きちんとした遺言書がある場合には、そもそも遺産分割協議書が必要ない場合が多いです。

 

ただし、相続人全員の同意がある場合には、遺言書の内容と異なる相続をすることが可能となりますので、遺言書があるのかどうか、あるならばその遺言書は法律的に正しい遺言書なのかを見分ける法律的な知識が必要になります。

 

なお、亡くなった人が自分で書いた遺言書が見つかった場合には、勝手に開封せずに、家庭裁判所に検認の手続きをしなければなりませんので注意してください。

なお、裁判所の手続きは弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

②相続人の確定をする必要書類を収集する

次は、なんといっても相続人を確定させるために、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍(除籍及び改製原戸籍)を取得することになります。戸籍の請求用紙に必要事項を記入し、必要な書類とともに本籍を管轄する役所に請求しましょう。

 

戸籍を請求する役所は、必ずしも住所を管轄する役所ではないことに気を付けましょう。住所と本籍は違うものになります。この違いがわからない場合は、まずはそこから調べるところから始まることでしょう。住所と本籍を間違えると、そもそも取得ができませんし、大幅な時間ロスとなります。

 

相続手続きは、なにかと期限があります。相続税の申告だったり、相続放棄をする場合の期限だったりとありますので、早め早めの行動が必要となります。なお、相続人が特定できましたら相続関係図を作成しましょう。相続手続きにおいて、相続関係図があるのとないのとでは、スムーズさが段違いです。

③相続財産の調査をする

相続人が特定できたら、次は相続財産を調査しましょう。預金はいくらなのか・有価証券はあるのか・自動車はもっているか・不動産はあるか等々です。この時に、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産(つまり借金など)もしっかりと確認しましょう。

なお、相続放棄の手続きは弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

 

相続によって多額の借金を背負うことになった、とするような場合には、相続放棄なども視野に入れて考えたほうが良いでしょう。相続財産が確認出来たら、財産目録を作成しましょう。

④遺産分割協議スタート

確定した相続人に遺産分割協議をする旨の連絡をしましょう。相続人全員で、相続関係説明図や財産目録などをもとに、誰がどのように相続するのかを話し合いをすることになります。あとから財産が見つかった場合などの分け方についてもきちんと話し合っておくことも大事です。

⑤遺産分割協議書を作成する

相続人全員で話し合いがまとまったら、その内容を遺産分割協議書という形にまとめましょう。注意すべきは、後々に揉めないように法律的に正しく記載することです。インターネットからひな形をダウンロードして作成する方が多いと思いますが、そもそもひな形が自分たちの状況にあっているかどうかをきちんと確認しましょう。

 

遺産分割協議書はケースバイケースであり、個々人によってオーダーメイドで作成するものです。ひな形はあくまでも参考程度にして、自分たちの状況にあわせて、法律的に正しく正確に記載しましょう。あとから揉めた場合の紛争予防の意味合いが強いものでもありますので、間違えた際の後悔たるや、想像を絶することでしょう。

⑥遺産分割協議書に署名と実印の押印

最後に、作成した遺産分割協議書に相続人全員の署名と実印を押印し、印鑑証明書を添付したら終わりです。相続人全員で合意した内容にしたがって相続手続きを完結させます。

 

 

 

行政書士に依頼する場合の流れ

行政書士に依頼する場合の流れは下記になります。

①相続を専門としている行政書士に相談予約

遺産分割協議書の作成について、不安な点がある、面倒なことは任せたい、時間がないという方は行政書士などの専門家を利用することをお勧めします。

行政書士に依頼する場合は、相続を専門に扱っているかどうかを事前に確認しましょう。行政書士というのは取扱い分野が広いので、自分の専門分野以外の内容についてはあまり知識がないものです。例えば、病院なら、歯科と整形外科みたいに違ってきます。虫歯なら歯科、腕の骨折なら整形外科に行くように、相続なら相続を専門としている行政書士に相談することがポイントです。

②行政書士に相談

行政書士との相続相談では、まず家族関係が聞かれます。その次におおよその相続財産について聞かれ、その上で行政書士が案件を受任できる場合は、サービス内容や行政書士報酬の説明を受けます。

③依頼、着手金の支払い

説明を受けて、依頼を決定した場合は、一般的には総報酬の半分(50%)を着手金として支払うケースが多いです。ただ、支払い方法は事務所ごとに異なりますので必ず確認しましょう。

④遺産分割協議スタート

依頼を受けた行政書士が、遺産分割協議を作成するのに必要な相続人調査や相続財産調査をします。相続人関係図の作成や財産目録などを作成し、相続人間での遺産分割協議が円滑に進むための書類の到着を待ちましょう。

 

書類が到着したら確定した相続人に遺産分割協議をする旨の連絡をしましょう。相続人全員で、相続関係説明図や財産目録などをもとに、誰がどのように相続するのかを話し合いをすることになります。依頼をした行政書士からも、遺産分割協議におけるアドバイスや、最後に作成する遺産分割協議書に記載するために決めたほうが良いことなどのコンサルティングが受けられますし、わからないことがある場合にはすぐに聞いて解決できます。

⑤遺産分割協議書に署名と実印の押印

まとまった内容について、行政書士が遺産分割協議書を作成します。法律的にも正しく、後の紛争防止にもなるよう作成します。作成が終わったら、相続人全員の署名と実印を押印して印鑑証明をつけて相続手続きに進みましょう。

遺産分割協議書の作成だけではなく、相続手続き全般についても行政書士に依頼することが可能です。不動産の名義変更や相続税の申告なども、依頼した行政書士が窓口になって相続に詳しい各種士業の専門家にも繋いでくれますので、ワンストップサービスも可能です。

結論:行政書士の活用が便利!

このように行政書士に依頼すると、かなりの業務量と精神的負担が軽減されます。行政書士報酬は、事務所ごと、さらにはどこまでサポートするかのサービス内容により違いますが、おおむね数万円~20万程度で受任している事務所が多いように思います。なお、基本的に相続人が海外にいるようなケースや帰化をしているケースでは収集する書類が多くなる関係上、報酬も高く設定されているのが普通です。

 

普段、お仕事等で忙しいあなたに代わって、請求用紙の作成、さらに戸籍の解読からの請求代行から相続人の確定、財産調査や遺産分割協議書の作成、そして実際の相続分配手続きまでしっかり対処してくれます。専門の行政書士に頼めば、個々人の状況に合わせた上で、高いクオリティで業務を行ってくれることが期待できます。

 

いかがでしたでしょうか。今回は遺産分割協議書の作成は行政書士に依頼するべきかどうかについて、自分で作成する場合と比較しながら説明させていただきました。ご自身でやることも可能ですが、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。