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法定相続情報証明を利用するメリットとデメリット
手続きを楽にしてくれるかもしれない法定相続情報証明(法定相続情報一覧図)ですが、実際、これを利用するメリットとデメリットはどんなものなのでしょうか?
ここでは、法定相続情報証明制度の利用を考えている方に向けて、メリットとデメリットをそれぞれ説明していきます。
まず簡単にまとめておくと、次のようになります。
メリット
複数の相続手続きを同時に進められる
戸籍謄本の束を持ち歩かなくて済む
無料で利用できる
5年間法務局で保管される
デメリット
法務局に登録のための手続きが必要
代わりになるのは戸籍謄本一式だけ
では、それぞれの項目ついても見ていきましょう。
メリットその1)複数の相続手続きを同時に進められる
第一に挙げられるメリットとしては、法定相続情報証明(法定相続情報一覧図)が複数枚発行可能ですので、それぞれの相続先に提出することで、戸籍謄本の原本還付を待たずに手続きを進められるということです。
法定相続情報証明制度が出来る前までは、
例えば不動産の相続登記のために戸籍謄本一式を法務局に提出すれば、原本還付の希望をしても、登記が完了するまでは預かりっぱなしでした。
そのため、もし同時に銀行の預貯金の名義変更などを行いたい場合には、戸籍謄本一式をもう一部用意する必要がありました。
相続人に兄弟姉妹がいる場合など、戸籍が多いとその取得手数料だけでも馬鹿になりませんよね。
しかし、法定相続情報証明制度を利用すれば、戸籍謄本一式の代わりとして使える法定相続情報証明を何枚でも必要な分だけ取得可能ですので、不動産の相続登記のために1枚は法務局に提出、預貯金の名義変更のために違う1枚を銀行に提出、という使い方が出来るのです。
メリットその2)戸籍謄本の束を持ち歩かなくて済む
相続手続きの進め方として、同じ戸籍謄本一式を原本還付で何度も何度も使い回す、という方法があります。
しかし、これは何通にも渡る戸籍謄本を持ち歩かなければならず、もちろん紛失の危険もあります。もし1通でもなくなってしまえば戸籍謄本のつながりが途切れてしまって、不完全な情報になってしまいますので、取り直しが必要です。
こんな煩わしさを解消してくれるところも法定相続情報証明制度のメリットの一つです。戸籍謄本一式のかわりにA4用紙1枚の持ち運びでよくなり、また、紛失してしまっても何枚でも再発行可能です。
メリットその3)無料で利用できる
実は、法定相続情報証明制度の利用(登録、証明書発行)は無料で出来ます。何枚証明書を取得しても、です。
これは、登記制度が浸透するようにという法務局の願いがあるようですが、利用する側からすれば関係なく嬉しいですよね。
戸籍謄本はなくしたら450円もしくは750円を支払って取り直しですが、法定相続情報証明は失くしても0円です。
メリット4)5年間法務局で保管される
法定相続情報証明制度を利用して相続関係を登録すると、その記録は法務局で5年間保管されます。
そのため、例えば故人が亡くなって、一度遺産分割協議が終わってから3年後に、違う財産が発覚したとしましょう。いったいどれくらいの人が、3年前に取得した戸籍謄本を大事に保管しているでしょうか?
でも、そんなときも法定相続情報証明制度を利用していれば安心です。3年後であっても、5年経っていなければ無料で法定相続情報証明を取得することが出来ます。
さて、ここまでが法定相続情報証明制度を利用することのメリットでした。盛りだくさんですね。では次に、デメリットについても見ていきましょう。
デメリットその1)法務局で登録のための手続きが必要
法定相続情報証明制度は、法務局に正確な相続関係を登録して、その証明を引き出せるようにした制度です。ということは、当然登録するための手続きが必要になります。
前記のメリットを受け取るためなら全然良い、という人もいれば、それなら原本還付でなんとかするよ、とお考えの人もいるかと思います。
登録のための手続きは簡単には以下のとおりです。
1.必要な戸籍謄本等の書類を全て集める
2. 法定相続情報一覧図の作成
3.申出書への記入、法務局で申出
面倒といえば面倒かもしれません。
デメリットその2)代わりになるのは戸籍謄本一式だけ
これが見落としがちなデメリットです。法定相続情報一覧図があれば無制限に複数箇所での相続手続きを同時におこなえる!と錯覚してしまいがちですが、そういう訳では有りません。
たしかに、法務局に法定相続情報一覧図を出せば、わざわざその原本還付を待つ必要はありません。しかし、あくまで法定相続情報一覧図は戸籍謄本の代わりです。
そのため、もし印鑑証明を1通しか取ってなかったとしましょう。その場合、銀行で相続手続きをしようとしても、結局印鑑証明の原本還付は待たないといけません。
このような場合には、印鑑証明書は2通取っておく、といった別の対応が必要になります。
さて、ここまでいかがだったでしょうか?もし、ご自身でこれらの判断が難しいと感じるようであれば、専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を考慮しながら、検討してみてください。