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相続財産目録と葬儀費用の関係について

相続することになったとき、相続人の間で誰が何を相続するのか協議を行う前提として、初めに相続財産の調査を行うことになるかと思います。

 

相続財産調査が完了したら、「相続財産目録」を作成しておくのが良いでしょう。この相続財産目録に、プラスの財産もマイナスの財産もすべて記載しておくことにより、相続人間での遺産分割協議をスムーズに進めることができます。

 

このとき、「葬儀費用は相続財産目録に記載した方がいい?」「葬儀費用はどのように相続されるの?」とお悩みの方もいるでしょう。

 

ここでは相続財産目録と葬儀費用の関係について解説していきます。

葬儀費用の取り扱い

葬儀費用は、亡くなった人の預貯金から支払うことが多いかと思いますが、喪主が自分で支払うこともあるでしょう。相続人の間で誰が支払うかについて合意できていれば問題ないのですが、誰が支払うか決まっていない場合は注意が必要です。

 

法律上、葬儀費用は相続財産と異なり、誰がどの程度相続(負担)するかという規定はありません。裁判になった例もありますが、誰が負担すべきかという点については裁判例でも統一されておりません。

 

後になって葬儀費用をとりあえず単独で負担していた相続人から代金を請求され、まとまらずに裁判になってしまったということにならないよう、相続財産目録に記載をしたうえで、遺産分割協議の時点できちんと話をしておくのが良いでしょう。

 

それでは、葬儀費用は相続財産目録にどのように記載をすれば良いでしょうか。

実際に財産目録の例を見てみましょう。

 

財産目録

 

1.不動産(土地)

所在 番地 地目 地積
〇〇市〇〇町1番2 12番34 宅地 200㎡
         ㎡

 

2.不動産(建物)

所在 家屋番号 種類 床面積
〇〇市〇〇町1番2 123番56 居宅 100㎡
         ㎡

 

3.預貯金

金融機関 種別 口座番号 金額
ゆうちょ銀行 通常貯金 1234567 1,000,000円
〇〇銀行〇〇支店 普通 000000 2,000,000円

 

4.負債、その他

債権者(支払先) 種別 残額 借入金額
〇〇銀行〇〇支店 住宅ローン 1,000,000円 2,000,000円
〇〇葬儀会社 葬儀費用 500,000円 なし

 

相続財産目録に決まった書式はありませんが、ここでは、4の「負債、その他」という箇所で葬儀費用を記載しております。

 

このように葬儀費用を明記しておくことで、この後の遺産分割協議のときに、亡くなった人の預貯金から出すのか、相続人全員の分担にするのか、誰か一人が負担することにしてその分他の相続人から代金をもらうのか、等の協議をしやすくなります。

 

この財産目録を作成するためには、葬儀費用の他にも相続財産の正確な調査が前提となります。以下では簡単に相続財産調査の方法について説明をしておきます。

不動産の調査

①亡くなった人の自宅を探してみる

不動産の財産調査をするとき、亡くなった人の自宅で探すのは、役所から届く固定資産税や都市計画税等の税関係の書類や、不動産を買って登記したときに法務局から発行される「権利証」です。

これらの書類には、土地の地番や建物の家屋番号が記載されています。

 

②役所に行き、調査をする

自宅で権利証が見つからなくても、役所に行き、「名寄帳」を取得することで、調査をすることができます。

名寄帳とは、役所が管轄する納税対象者の所有する土地・建物を一覧にしたもので、地番や家屋番号も記載されています。

管轄外の役所に不動産がある場合は調査できませんので、この地域に不動産を持っていたはずだとあたりをつける必要があります。

 

③法務局で謄本を取得する

地番と家屋番号がわかったら、法務局で謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。

預貯金の調査

①亡くなった人の自宅を探してみる

まずは、亡くなった人の自宅を探してみましょう。探すのは、通帳やキャッシュカード、銀行から届いた郵送物やメールのやり取り、銀行名が入ったカレンダーやグッズ等で、これらをもとにどの銀行に口座を持っていたか、あたりをつけてください。

 

②銀行に行き、口座を照会してもらう

銀行がわかったら、銀行に行き、亡くなった人の口座を調べてもらいましょう。その銀行に持っている他の支店の口座もまとめて確認してもらうことができます。

 

③残高証明を発行してもらう

口座が確認できたら、残高証明を発行してもらいましょう。

借金(マイナス財産)の調査

①亡くなった人の自宅を探してみる

借金の財産調査をするとき、亡くなった人の自宅で探すのは、銀行やクレジット会社のカード類、請求書や督促状等の書類やメール、預金通帳の履歴に毎月定額の引き落としがないか等です。

 

②信用情報機関に連絡し、照会を行う

銀行やクレジット会社は信用情報機関に加盟しており、信用情報機関で借り入れ状況を管理していますので、ここに照会することで亡くなった人の借金の状況がわかります。

 

③金融機関で借入残高証明を取得する

借り入れ先がわかったら、金融機関から借入残高証明書取得しましょう。

 

 

 いかがでしたでしょうか。相続財産目録と葬儀費用の関係について見てきました。もし、自分での相続財産調査や相続財産目録の作成が難しいと思う場合は、行政書士等の専門家に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。