相続財産調査をするために委任状は必須?
相続財産調査とは、亡くなった方が持っていた財産を調べることであり、金融機関等で預貯金口座についての照会を行ったり、法務局や役所で不動産について調べたりすることを言います。
これらの調査を専門家や知人、相続人でない親族等に代理で行ってほしい場合、委任状は必要になるのでしょうか。
答えはYES!です。ほとんどの場合、委任状が必要になります。
例外は法務局で登記簿謄本を取得するときくらいです。(登記簿謄本はだれでも簡単に取得することができます。)
以下では委任状の作り方や注意点についてご説明します。
委任状を作成する場合、どんな事項について、だれが、だれに委任をするかを明確にして署名捺印をする必要があります。
委任状に記載すべき内容とは?
相続財産調査の代理を依頼する場合には次のような事項を記載します。
①委任する人の住所、氏名、電話番号
②代理人の住所、氏名、電話番号
③依頼する内容
④委任状の作成日
⑤依頼する人の署名押印
白紙委任は危険!
白紙委任とは、何を委任するのかを定めずに委任することです。
委任の範囲を記載されていない委任状に署名押印してしまうと、頼むつもりのなかったことまでされてしまう可能性があります。
たとえ相手が信頼のおける人であったとしても、何を依頼するのかを明確にして委任をするようにしましょう。
委任の範囲は明確に!
白紙委任がダメだということはお伝えしましたが、何を依頼するかについての記載方法も大切です。
何を依頼するかを記載した委任状を作ったとしても、それが依頼したい範囲より広ければ悪用されてしまう可能性もあります。
また、広すぎることで、何を委任された人なのかを確認できず、その委任状が使えないということもあります。
例えば、「被相続人Aの相続に関する一切の行為」等の表記では、不動産の登記手続きを委任したのか、それとも金融機関での口座の照会を委任したのかわかりません。
後のトラブルを避けるためにも、また、委任状を再作成する手間を避けるためにも委任状は代理権の範囲を明確にして作成する必要があります。
ネットや窓口でひな形を取得できる
たとえば、銀行での相続財産調査を依頼する場合には、調べる銀行のホームページや窓口で委任状の雛型を取得できる場合がほとんどです。
委任状を作成する際には、その委任する手続き等がされる場所のホームページや窓口で委任状の雛型がないか確認してみると良いでしょう。
委任状には実印の押印が必要な場合も
委任状には委任する人の押印が必要ですが、これは認印で良い場合と実印でなければならない場合があります。
金融機関で代理人が手続きを行う場合には委任状に実印の押印がなければならない場合もあります。
委任状への押印は認印でもよいのか、実印でなければいけないのかについても事前に確認する必要があります。
相続財産調査を専門家でない知人等に頼むのは危険
ここまで、相続財産調査に関する委任状の作成方法について説明してきましたが、相続財産調査を知人等に頼むのはあまりお勧めできません。
なぜなら、相続財産調査は亡くなった方が持っていたものを調べる行為であり、とてもプライベートでセンシティブなことだからです。
もしかしたら委任するときに想像していたもの以外の遺産が見つかるかもしれませんし、その後仲がこじれる等のトラブルにつながる可能性もあります。
相続財産調査が終わってから委任するんじゃなかった・・・なんて後悔しないように知人・友人等に依頼することをお考えの場合は、慎重に検討するようにしましょう。
専門家に頼む場合はひな形を用意してもらえる
知人等に依頼するのはあまりお勧めできないといいましたが、自分で調査なんて忙しいし、難しそうでできない!という方も多いと思います。
相続財産調査は行政書士等の専門家に依頼することができます。
また、行政書士等の専門家に依頼する場合には、ご自身で委任状を用意する必要もありません。
委任状のひな型が用意されていますので、内容を確認して署名押印をすればOKです。
委任状に署名押印さえすれば代わりに相続財産調査を迅速に進めてもらえます。
また、相続財産調査が終わった後の遺産分割協議書の作成や、各遺産の名義変更の手続きについても依頼することができますので、相続に詳しい専門家に依頼することを検討されてみてはいかがでしょうか。