相続財産調査の方法:不動産について
相続することになったとき、相続人の間で誰が何を相続するのか協議を行うことになりますが、一番初めにやらなければならないことは、相続財産の調査です。「何を」相続するかがわからない限り、協議を進めることができません。相続財産調査の結果、プラスの財産よりマイナスの財産の方が多いときは、相続放棄をすることも選択肢に入ってきますので必ず相続財産調査を行ってから遺産分割協議に入るようにしましよう。
とはいえ、相続財産調査って具体的に何をすればいいの?とお悩みの方のために、ここでは相続財産のうち、代表的な不動産についての調査方法を解説していきます。
1.はじめに
2.不動産の調査
1.はじめに
相続財産調査を行う上で、役所に照会をするとき、求められる書類がありますので、はじめにこれを用意しておきましょう。
用意しておくもの
①亡くなった方の死亡が記載されている戸籍謄本
②亡くなった方と相続人の関係が記載されている戸籍謄本
③相続人の身分証明書
これらの書類を用意したら、不動産の相続財産調査に入りましょう。
2.不動産の調査
亡くなった人の不動産の調査は、以下の手順で行います。
①亡くなった人の自宅を探してみる
②役所で調査を行う
③法務局で謄本を取得する
相続不動産の調査は、法務局で亡くなった人が所有している記載のある謄本を取得することで完了します。
法務局で謄本を取得するためには、土地は「地番」、建物は「家屋番号」が必要になりますので、これらの記載のある書類を探していくことになります。
①亡くなった人の自宅を探してみる
不動産の財産調査をするとき、亡くなった人の自宅で探すのは、主に以下の二つの書類です。
・固定資産税、都市計画税等の明細書
亡くなった人が1月1日時点で所有している不動産については、毎年4月~6月頃に、役所から固定資産税、都市計画税等の課税額が記載された明細書が届きます。この明細書には、課税されている不動産のみが記載され、たとえば私道を所有している場合には記載されません。
・法務局から発行される「権利証」
土地を購入したときや、不動産を購入したときに法務局から発行されるのが「権利証」です。名称が多少違うこともあるようですが、この権利証には、固定資産税等の明細書と異なり、課税されていない私道についても記載されますので、こちらの書類もしっかり確認しておきましょう。
②役所に行き、調査をする
亡くなった人の自宅で書類が見つからない場合であっても、役所に行き、「名寄帳」を取得することで、不動産の調査をすることができます。
名寄帳(なよせちょう)とは、役所が管轄する納税対象者の所有する土地・建物を一覧にしたもので、非課税不動産の「私道」や「墓地」も記載されていますので、漏れなく地番や家屋番号を把握することができます。
また、固定資産税の明細書が亡くなった人の自宅で見つかった場合であっても、1月1日時点での所有にもとづいた明細であるため、それ以降亡くなった人が不動産を売却している場合は、名寄帳を取得することで現時点の正確な情報がわかります。
名寄帳を取得する際の注意点
名寄帳は、管轄外の役所の不動産は調査できませんので、この地域に不動産を持っていたはずだとあたりをつけてから役所に行く必要があります。
また、名寄帳を取得する際は、共有名義のものも取得したいですと伝えるようにしましょう。単独で所有している不動産と共有の不動産は別別になっているため、亡くなった人の所有する不動産が共有になっている場合はそちらも確認する必要があるためです。
役所で名寄帳を取得したら、一緒に固定資産評価証明書も取っておくとよいでしょう。不動産の評価額が記載されておりますので、遺産分割協議をするときの資料になりますし、名義変更の際に提出を求められることになります。
③法務局で謄本を取得する
地番と家屋番号がわかったら、法務局で謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。一つの法務局で、全国どこの謄本でも取得できます。
謄本には、所有権だけでなく、抵当権の記載もありますので、これを確認したうえで、遺産分割協議をして相続するかどうかを判断するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。代表的な相続財産である不動産の調査方法について見てきました。もし、自分で調査を行うのが難しいと思う場合は専門家に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。