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遺産分割協議書を公正証書にした方がいい理由

実は、遺産分割協議書も遺言書と同じように、公証役場で公正証書にすることが可能です。

 

遺産分割協議書を公正証書にするには、手間とお金がかかりますが、それでも遺産分割協議書を公正証書にした方が良い場合もあります。

 

そこで、ここでは遺産分割協議書を公正証書にした方が良い場合とその理由について解説していきます。

 

まず結論としては、以下のような場合には、将来のトラブル防止のため遺産分割協議書を公正証書にすることが有効と言えるでしょう。

 

・相続人同士の仲が悪い

・相続人同士の繋がりが薄い

・遺産分割協議に親族以外の受遺者が混ざっている

・内容が複雑で、解釈が別れる可能性がある

公正証書で遺産分割協議後の蒸し返しを防ぐ!

いくら相続人が亡くなった方にゆかりのある人達であるとはいっても、兄弟間で仲が悪かったり、疎遠であったり、または、受遺者が遺産分割協議に参加することもあります。

 

そのように、親しい間柄でない場合、自分の利益のことばかりを考え、終わった遺産分割について蒸し返す人が出てくることも考えられます。

 

例えば「そんな合意はしてない!」「脅されて押印したんだ!」などといって遺産分割協議をやり直すよう求めたり、重箱の隅をつつくように、遺産分割協議書のあら捜しをするわけですね。

 

しかし、遺産分割協議書を公正証書にしていると、そのような主張にも毅然とした態度で跳ね除ける事ができます。

 

これは、公正証書が、法律の専門家である公証人が相続人達の本人確認や意思確認を行った上で作成するものだからです。

 

このように、言い方は悪いですが、他の相続人が信用ならない場合や、遺産分割協議までに揉めて、今後も蒸し返されるかも知れないという場合には、保険をかけるという意味で、遺産分割協議書を公正証書にすることは有効であると言えます。

代償分割した場合に代償金の回収に役立つ!

遺産分割協議書を公正証書にしている場合、もし、代償分割で支払われるべき代償金が支払われなかった時に、すぐに強制執行に踏み切ることができます。

 

具体例を挙げて説明をすると、故人A氏は、一つの不動産のみを遺して亡くなりました。しかし相続人は長男B氏と次男C氏の2人でした。そこで、その不動産はまるごとB氏が貰い受け、その代わりにB氏はC氏に1000万円の代償金を支払うことで合意しました。(代償分割)

 

このようなケースで、B氏はC氏に1000万円を払わなければなりませんが、実際にはB氏は支払いを拒否してしまいました。

 

このようなケースですと、遺産分割協議書を公正証書にしていなかった場合、裁判所に「遺産分割後の紛争調整調停」を申し立てたり、通常の裁判をすることになります。そして、それでもだめな場合に、強制執行(財産の差し押さえ)をするという流れになります。

なお、これらの手続きは弁護士にしか代行できません。

 

しかし、遺産分割協議書を公正証書にしていた場合はどうかというと、遺産分割協議書の中に、「約束通り代償金を支払わなければ財産を差し押さえられても異議は唱えません」という内容の、強制執行受諾文書を入れていれば、ストレートに強制執行に進むことが可能です。

 

これにより、協議は整ったけど、どうにも信用できない、また何か問題を起こしそう、、という場合の転ばぬ先の杖的な使い方が出来ます。

 

やはり家族円満が一番ですが、自分や他の相続人をトラブルから守るためにも、このような制度の利用も検討する必要があるかも知れません。

 

 

さて、ここまで遺産分割協議書を公正証書にすることについてのメリットを解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

 

上記以外にも、公正証書にしたことで、遺産分割協議書の信用度が高まり、預金などの相続手続きがスムーズになったり、公証役場に原本が保管されるため、遺産分割協議書の紛失の恐れが無い、偽造・変造がされにくいといったメリットもあります。

 

これだけ聞けば、これなら公正証書にした方が絶対良いじゃん!と思われるかも知れません。しかし、公正証書にするには、公証役場に予定を合わせて行く手間や、公証人に払う手数料も発生します。

 

内容によっては、公正証書にしないでもしっかりとした遺産分割協議書を作成することで十分な場合がほとんどです。

 

 もし、ご自身でこれらが難しいと感じるようであれば、遺産分割協議書の作成に関しては、行政書士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。
依頼するための費用はかかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。