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遺産分割協議書の作成後に遺言書が見つかったらどうする?

相続が開始して、遺産分割協議書がやっとまとまった、と思ったら後から遺言書が見つかった方もいるのではないでしょうか?何度も何度も話し合いを重ねてきて、やっとまとまった遺産分割協議書の作成後に、遺言書が見つかった場合どうすればいいのかお困りの方も多いと思います。

 

今回は遺産分割協議書の作成後に遺言書が見つかったらどうしたらいいのを説明していきたいと思います。

 

結論から言いますと、法的に有効な遺言書は遺産分割協議書に優先されます。

 

図式で表すと下記です。

 

遺言書 > 遺産分割協議書

 

したがって、後から見つかった遺言書の内容にしたがって相続分が決まります。遺言書の内容によって嬉しい人と悲しい人が分かれることでしょうし、相続人以外に財産を渡すような内容が記載されていた場合には、憤慨する人も出てくるかもしれません。

 

しかし、遺言書は亡くなった人の最後の意思表示であり、最大限に尊重されなければなりません。それでは具体的にどうすればいいのかを見ていきましょう。

1、相続に関わる全ての人の同意があればよい!

遺産分割協議書の作成後に遺言書が見つかった場合には、遺言書が優先されます。しかし、これにも例外があり、相続に関わる全ての人の同意があれば、遺言書の内容どおりに相続財産を分配しなくても、全員で話をした遺産分割協議書どおりに相続することができるのです。

ここで、「相続に関わる全ての人の同意」ということですが、具体的には誰のことなのでしょうか。具体的には下記に人になります。

 

①相続人

②遺言執行者

③遺言により財産をもらえる第三者

 

具体的に見ていきましょう。

 

①相続人

これは当たり前のことですね。相続人なくして相続なしです。

 

②遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容どおりの相続を実現する責任者のことになります。遺言の内容に、この遺言執行者が選任されているような場合には、この遺言執行者の同意も必要になります。

 

③遺言により財産をもらえる第三者

これは、本来相続する権利を持っていないのに、遺言の内容によって財産をもらう権利をもった人のことです。例えば、老後の面倒を献身的に見てくれた介護士の方であったり、お世話になった老人ホームの職員であったり、と、本来であれば親族でもない赤の他人には相続する権利がないのですが、遺言によって相続する権利を持たせることができるのです。遺言により、相続する権利をもらった第三者がいる場合には、この人からの同意も必要となります。

2、法律で保護されている相続分がある!

相続人には、法律で最低限もらえる相続財産が決められているのです。その名も「遺留分(いりゅうぶん)」です。この遺留分とは、亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人に対して定められています。配偶者や子供、亡くなった人の親が相続人になるときには、この最低限もらえる遺産があるのです。では、どのくらいが法律で決められているかというと、下記の表とおりとなります。

相続人のパターン

全体の遺留分

各相続人の取り分(遺留分)

配偶者

子供

父母

兄弟

配偶者のみ

2分の1

2分の1

配偶者+子

4分の1

4分の1

配偶者+親

6分の2

6分の1

配偶者+兄弟姉妹

2分の1

なし

子のみ

2分の1

親のみ

3分の1

3分の1

兄弟姉妹のみ

なし

なし

 

実際にこの最低限もらえる遺産の額を算定するには、相続財産をすべて把握したうえで、相続する権利を有する人をすべて確定して、複雑な計算式にて算出していきます。

 

いかがでしたでしょうか。今回は遺産分割協議書の作成後に遺言書が見つかったらどうしたらいいのを説明させていただきました。遺言書は亡くなった方の最後の意思表示です。最大限尊重しなければなりませんから、遺産分割協議書より遺言書の内容が優先されます。その場合でも相続人全員の同意などがあれば相続分を変更できますし、遺留分を侵害している場合には請求することが可能です。

 

 

 後から遺言書が見つかった場合には揉める最大の原因にもなりえますし、どのように分配ができるのかを法律に則って考えなければなりません。遺言書が後から出てきたような場合には、専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によってある程度費用はかかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。