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遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼するべき?

相続手続きで、遺産分割協議書の作成を専門家に頼みたいと考えたとき、司法書士や行政書士など、だれに頼めば良いのかお悩みの方もおられると思います。

 

そこで、ここでは遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼するべき?という疑問に、似たような専門家である行政書士の場合と比較しながらお答えしていきます。

司法書士に依頼するメリット

司法書士は登記の専門家ですので、相続財産に土地や建物などの不動産がある場合は、遺産分割協議書の作成とともに、その後の法務局への登記申請も依頼することができるため、メリットがあるといえるでしょう。

 

ただし、そもそも遺産分割協議がまとまりそうになく、他の代理人との交渉や裁判になりそうな場合は、これらの手続きは弁護士しか行うことができません。相続人の間で遺産分割協議がまとまっていて、不動産の相続が絡む場合は司法書士への依頼を検討してみると良いでしょう。

行政書士に依頼するメリット

一方、行政書士はどのような場合に依頼するメリットがあるのでしょうか。行政書士は、「街の法律家」と言われるように、何と言っても金額面、手続面での敷居の低さに特徴があります。

 

そのような特徴から、以下のような場合は行政書士に依頼するメリットがあるでしょう。

 

①できるだけ費用を安く抑えたい

②基本的に自分でやるつもりでいるが、面倒なところだけ依頼したい

 

行政書士は、遺産分割協議がまとまっていない場合の他の相続人との交渉や裁判手続きができない点では司法書士と同じですが、その分弁護士や司法書士よりも一般的に安く作成してくれる場合が多いです。

 

また、司法書士は基本的に登記を専門としていますので、例えば相続に伴う土地の名義変更は、過去に不動産を購入したときに自分で登記申請した経験があるから、遺産分割協議書の作成のみ依頼したいと思っていても、相続登記を行う前提として遺産分割協議書を作成しますよという事務所もあり、登記とセットでないと依頼ができない場合もあります。

 

さらに、遺産分割協議書自体は自分たちで作成しようと思っている人でも、遺産分割協議書を作る上で必要な、「亡くなった人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本」の収集は大変なケースが多いです。

 

例えば、以下の例を見てください。

 

戸籍① 故人の生まれた日

戸籍② 結婚し、別の戸籍に入籍

戸籍③ 家督相続(昭和22年5月までの制度)

戸籍④ 法務省令による新たな戸籍編制

戸籍⑤ 転籍

戸籍⑥ 法務省令による改製(死亡が記載されたもの)

 

この方の例では戸籍謄本を6回も取得しなければなりません。

 

これらの戸籍を集めるには、基本的にはその当時本籍地のあった役所に請求をすることで取得できます。戸籍謄本には「従前戸籍」と記載のある箇所があります。これが一つ前の本籍地ですので、一つずつさかのぼって取得していく必要があります。

 

なお、上の図の戸籍⑤と③を取るためには、改製原戸籍という別の種類の戸籍を取得する必要があります。

 

このように戸籍収集はかなり面倒なのでこれだけ依頼したい、というような場合も、弁護士や司法書士は受けてくれない場合もありますが、行政書士であれば対応可能です。

 

行政書士に依頼するメリットは、金額面と、柔軟に対応してくれて、気軽に相談できる敷居の低さにあるといえるでしょう。

行政書士に依頼する上での注意点

反対に、行政書士に依頼する場合に気をつけておいた方が良い点は、どういうところでしょうか。

 

まずは、行政書士は司法書士と同じように、相続人の間で遺産分割がまとまっていなかったり、裁判になりそうだったりする場合は、対応することができません。そのような場合は弁護士への依頼を検討しましょう。

 

また、行政書士は、司法書士のように登記申請を行うことはできません。不動産の相続が絡んでいる場合は、行政書士だけで完結することができないため、そういった場合に備えて司法書士と提携し、ワンストップで相続登記まで行えるようにしている行政書士に依頼するようにしましょう。

 

 いかがでしたでしょうか。遺産分割協議書を作成する上で、司法書士や行政書士等、それぞれの専門家に依頼する上でのメリットやデメリットについて見てきました。遺産分割協議書の作成を依頼したい場合は、まずは相談してみると良いでしょう。依頼するための費用はかかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。