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遺産分割協議書の作成に印鑑証明書が必要な理由と期限

遺産分割協議書と印鑑証明書は必ずセットで必要になります。しかし、印鑑証明書は普段取得する機会はあまりありませんよね。

 

中には、なんでこんなものをつけなきゃいけないの?昔取ったやつが手元に残ってたんだけど、印鑑も変わってないしこのまま使える?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そこで、この記事では、「遺産分割協議書の作成に印鑑証明書が必要な理由」と、「印鑑証明書の期限」という、2つのトピックについて解説をしていきます。

印鑑証明書は「その人の意思表示で間違いない」ということを表す

印鑑証明書は、「その人の意思表示で間違いない」ということを証明する役割を持っています。どういうことかと言うと、普段私達は、自分の意思の確認としてハンコを使います。

 

例えば、郵便物を受け取る時に、「受け取りました」という意思表示をするためにハンコを押しますよね?

 

遺産分割協議書においてもそのハンコの使い方は同じで、「私は遺産分割協議書に書いてあることに同意します」という意思表示のためにハンコを押します。

 

ただ、遺産分割協議書のような重要な決定をするシーンでは、郵便物の受け取りで使うような認印は使いません。既製品の認印やシャチハタなんかで押印してしまえば、誰でも偽装が出来てしまいますからね。

 

では、遺産分割協議書では何を使うのかと言うと、「実印(じついん)」と呼ばれる、役所に登録しておいた自分だけの印鑑を使います。

 

そして、印鑑を役所に登録しておくことでその印鑑の形(印影)と持ち主の情報が記載された印鑑証明書を取得することが出来ます。

 

そのため、実印を押した遺産分割協議書に印鑑証明書をつけることで、遺産分割協議書に押された実印と、印鑑証明書に載っている印影を照らし合わせて、「あぁ、これはこの人の本物の実印で、この人の意思表示に間違いないんだな」という判断が出来る訳です。

 

 

(印鑑証明書見本)

引用元:岐阜市Webページ https://www.city.gifu.lg.jp/6930.htm

 

印鑑証明書(正式には印鑑登録証明書)は、自治体ごとに見た目や用紙の大きさが異なりますが、どれも内容は同じで

①氏名

②生年月日

③住所

が記載されており、この印影の印鑑が誰のものなのかが確定できるようになっています。

 

これにより、「実印」+「印鑑証明書」とすることで、「この遺産分割協議書に同意して、実印で押印しました、この押印は、印鑑証明書に書かれた情報を見れば分かるように、私の実印で間違いなく、この遺産分割協議への同意は、私の意思で間違い有りません」ということ証明できます。

印鑑証明書に期限は無いが、発行から3ヶ月以内が安心

ここまで、印鑑証明書をつける意味について解説してきましたが、次は、印鑑証明書の有効期限について説明をしていきます。

 

まず、印鑑証明書自体には有効期限はありません。また、相続登記のために提出する印鑑証明書も、発行から◯ヶ月以内といった制限が無いため、印鑑証明書上の登録情報が変更になっていなければ、昔取って手元に残っていた印鑑証明書でも使うことが出来ます。

 

しかし実際の相続実務では、銀行などの提出先が独自のルールで有効期限を「発行から◯ヶ月以内のもの」と設定しており、その有効期限は大抵6ヶ月です。

 

例えば、東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、といった利用者が多い銀行でも、使用期限は大体発行から6ヶ月以内、融資取引がある場合は3ヶ月以内、といった取り扱いになっています。

 

そのため、印鑑証明書は、氏名や住所、印影などの情報が変わってなれば、それ自体は有効なままですが、実際の預貯金の相続手続きをするにあたっては、新しいものが必要になるということを覚えておきましょう。

 

このように、実務上は発行から使えるまでの期間が決まっており、提出先が多い、相続人の中に協力してくれない人が居る、といった事情で有効期限が切れてしまうといったこともしばしばです。

 

ここまで読んで、いかがだったでしょうか?印鑑証明書が必要な理由や、有効期限について理解して頂けましたか?

 

 もし、これらのことで疑問に思うことや不安に思うことがあれば、一度、行政書士などの専門家に相談してみるのが良いでしょう。依頼するための費用はかかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。