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遺産分割協議書の偽造は犯罪です

相続人のうちの1人が遺産分割協議書を勝手に偽造したした場合、それは犯罪行為です!

 

犯罪ですから、遺産分割協議書を偽造した人には次のような厳しいペナルティがあります。

遺産分割協議書の偽造は刑法で罰せられる!懲役刑の可能性も

遺産分割協議書は相続人間の「契約書」です。契約書は法的に「私文書」にあたり、遺産分割協議書を偽造した場合は「私文書偽造罪」にあたる可能性があります。この罪を犯した人は3月以上5年以下の懲役に処せられます。(刑法159条)

 

また、偽造した遺産分割協議書を使って法務局で不動産の名義変更を行った場合には、公正証書原本不実記載罪にあたる可能性があります。この罪を犯した人は、5年以下の懲役は又は50万円以下の罰金に処せられます。(刑法157条)

 

このように、遺産分割協議書の偽造は刑法で罰せられる犯罪です!絶対にしてはいけません。

返却を求められるだけでなく損害賠償を請求される!

偽造した遺産分割協議書は無効となりますので、偽造された遺産分割協議書と使ってした相続手続きも当然、無効となります。

 

そのため、勝手に手続きをして預金を受け取ってしまったり、不動産の名義変更をしてしまったりした場合には、返却しなければなりません。

 

また、その際にかかった費用等を偽造した人に損害賠償請求をすることができます。

相続人になれなくなる

遺産分割協議書を偽造したことが発覚して、返却や損害賠償をすれば遺産分割協議に参加ができるというわけではありません。

 

民法では、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した人は相続人になることができないと定められています。

 

つまり、もともと相続する権利があった人であっても、遺産分割協議書の偽造をしてそれが発覚してしまえば、相続人になる権利を失い、遺産をもらうことはできなくなってしまいます。

 

このように、遺産分割協議書を偽造すると、大きな代償を支払うことになります。他の相続人に黙って遺産を独り占めしようと思って偽造をすることはもちろん、電話等で意思を確認したとしても勝手に押印をしてしまうことも偽造です。

 

また、未成年や認知症の人、海外に住んでいる人等が相続人の中にいることで、遺産分割協議書を勝手に作ってしまおうと安易に考えてしまう人もいるかもしれませんが、そういった場合も、それは偽造であり、犯罪です。

 

必ず相続人全員で遺産分割協議書を作成するようにしましょう。

他の相続人が遺産分割協議書を偽造していることがわかったらどうする?

遺産分割協議書を偽造することは犯罪であり、偽造された遺産分割協議書は無効です。

しかしながら、他の相続人がなにもしなければ偽造した遺産分割協議書を使って相続手続きを進めてしまう可能性が高いです。

 

他の相続人が遺産分割協議書を偽造したことをわかったら、まずは穏便に済ますために話し合いをオススメはしますが、トラブルになるなら他の相続人はその遺産分割協議書が無効であることを裁判所に確認してもらうための訴訟を提起することを検討しましょう。

 

遺産分割協議書が無効であることを確認してもらうための訴訟の他に、遺産分割協議書が偽造されたものであることを前提に、遺産分割調停をすることも可能です。

 

どちらにせよ、裁判所に確認してもらうことで遺産分割協議書が無効であることを証明でき、遺産を取り戻すことが可能です。

裁判所への訴訟の提起等はご自分ですることが難しいと思われる方も多いかと思いますので、他の相続人が遺産分割協議書を偽造したことがわかったら、弁護士に相談するとよいでしょう。

 

 

いかがでしたでしょうか。どんな理由があれ、遺産分割協議書を偽造することは犯罪であり、その代償はとても大きいです。

 

遺産分割協議書の作成はたくさんの戸籍を集めなければならなかったり、全員が署名押印をしなければならなかったりと面倒なことがとても多いですが、必ず相続人全員で遺産分割協議書を作成するようにしなければなりません。

 

もしこれから遺産分割協議書を作成する予定だという方で、自分で遺産分割協議書を作成するのが難しいと思う場合は、専門家に依頼すれば作成してもらうことができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。

 

既に他の相続人が遺産分割協議書の偽造をしてしまっていることが発覚した!という場合にはできるだけ早く弁護士に相談するのがよいでしょう。