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遺産分割協議書を守らない人がいる場合どうする?

身内がなくなり、その親族で亡くなった人の遺産を相続する場合、通常は遺産分割協議を行い、誰がどの財産は相続をするのかを決めます。

 

もし、遺産分割協議をして、決めた内容を守らない人がいた場合、どうなるのでしょうか? 協議の内容自体をなかった事にできるのでしょうか?

守らない相続人がいても遺産分割協議は無効にできない

例えば、3人兄弟の父親が亡くなったとして、遺産分割協議を行い、今後は長男が残された母親と同居をして母親の面倒をみていくという条件で、父親の残した家と土地を相続したとします。

 

次男と三男は、「まあ 母親の為なら仕方ないな」と思い、土地と家を長男が相続する事に承諾し、次男は父親のうちの持っていた預貯金を少し、三男は父親の残した自家用車を相続しました。父親の車は古く、車検も近かったので、三男は多少の修理をして自腹で車検を通しました。

 

遺産分割協議が成立してしばらくすると、長男が全く母親の面倒をみていない事が分かりました。次男と三男は約束が違うと言って、長男に詰め寄りましたが、長男は聞く耳をもちません。そこで次男と三男は裁判を起こし、「遺産分割協議のやり直し」を求めました。というようなケースです。

 

基本的には、遺産分割協議で決まった内容を守らない相続人がいた場合でも遺産分割協議は無効にはできません。「守らない人がいるから、協議して決めた内容は白紙にします!」とは言えないのです。

 

「それじゃ、真面目に約束を守ってる人が馬鹿をみるじゃん!」と思うかもしれませんが、 過去に、「遺産分割協議の内容を守らないから、協議の内容を白紙に戻したいです」と裁判所に申し立てた人がいて、その申し立てに対して裁判所は「白紙にはできません」と結論をだしました。

その理由としては、遺産分割協議は協議の成立で終了する為、一度決まった協議の内容について問題が発生した場合は、相続人同士の話合いで解決するべきであるから。

 

また、1人の人が守らないからと言って、一度決まった事を白紙に戻すと、約束を守っている人が行ってきた事も無駄になってしまうから。(例題の場合だと三男は車検代を払っていて、それも白紙にすることはできないから)

 

分かりやすく言うとそういう理由だから、白紙にはできません。というのが結論でした。

遺産分割協議の内容を守らない人に対して、裁判も役に立たないとしたらどうしていけばいいのでしょうか?

その方法としては、遺産分割協議の内容を守らない人に、その内容を守るように言い続けるしかありません。それはもう毎日毎日催促をしまくる位に言い続ける様にします。

 

それでもやはり遺産分割協議の内容を守らない場合は、一度相続人の全員(約束をまもらない人も含め)で集まりもう一度話合いましょう。そのうえで、遺産分割協議のやり直しをすることはできます。

 

「え? やり直しできるの?」と思ったかもしれませんが、遺産分割協議の白紙・撤回は 原則できませんが、相続人全員の合意があればやり直しはできます。あくまで相続人全員(遺産分割協議の内容を守らない人も含め)の合意は必要になりますが・・・。

 

そうした場合、母親の面倒をみない長男に代えて、次男や三男に家と土地を相続してもらい、母親と暮らしてもらうという方法も取る事ができます。

 

また、一度成立した遺産分割協議の決定事項を白紙・撤回する事は原則できませんが、その成立過程において、詐欺や脅迫があって遺産分割協議が成立した場合や、必要な相続人が集まっていないのに、遺産分割協議は無効ということが言えますので、やり直す事になります。

以上遺産分割協議の内容を守らなかった人がいた場合どうするかを記載してきましたが、 守らない人がいるからという理由だけでは、一度成立した遺産分割協議の内容を白紙に戻すことはできない為、守らない人がいると非常に手間もかかるし、厄介になりますね。

 

相続手続において、遺産分割協議を行い、その決定内容を遺産分割協議書にまとめる事は非常に重要な作業になります。遺産分割協議の後の、様々な手続きは、遺産分割協議の決定内容に従って行って行く事になるからです。遺産分割協議で重要な事は、相続人が全員揃っていることと、現実問題として、「この人には出来ない」ような事を「その人」にさせるような内容にしない事が肝心です。

遺産分割協議書の作成は、行政書士の様な専門家に依頼をして作成する事も可能です。相続手続きでお困りのことがありましたら、行政書士に依頼をして進めるのも一つの手段になります。