トップページ > 上陸特別許可について徹底解説!

上陸特別許可について徹底解説!

「上陸特別許可」というのは、退去強制され入国拒否期間中の外国人に対して、例外的に入国を認める処分のことです。

 

根拠となるのは「出入国管理及び難民認定法(以後、入管法)」第12条の規定です。

 

(法務大臣の裁決の特例)
第十二条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該外国人が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の上陸を特別に許可することができる。
一 再入国の許可を受けているとき。
二 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入つたものであるとき。
三 その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき。

 

第12条の3では外国人に対する上陸拒否の例外として「法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情」とあります。これが、退去強制さてれ入国拒否期間中の外国人に上陸特別許可を与える根拠となります。

入国拒否期間について

入管法第5条には、日本への入国を拒否する外国人(上陸拒否の対象)について細かく規定されています。

 

(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第七条の規定に基づき、政令で定めるところにより、同法第十九条又は第二十条の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第八条(同法第七条において準用する場合を含む。)の規定により一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者
二 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの
三 貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者
四 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
五 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
五の二 国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したことにより、日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ、又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され、若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であつて、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区又は総合区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの
六 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に定める大麻、あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚せヽ いヽ剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者
七 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。)
七の二 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
八 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)に定める火薬類を不法に所持する者
九 次のイからニまでに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの
イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から一年
ロ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で、その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年
ハ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から十年
ニ 第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国した者 出国した日から一年
九の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて本邦に在留している間に刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成十五年法律第六十五号)第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して本邦外にある間にその判決が確定し、確定の日から五年を経過していないもの
十 第二十四条第四号オからヨまでのいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者
十一 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
十二 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
イ 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
ロ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
ハ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
十三 第十一号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者
十四 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
2 法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる。

 

おおまかに抜粋すると次の通りです。

 

1)保健・衛生上の観点から上陸を認めることが好ましくない者
2)反社会性が強いと認められることにより上陸を認めることが好ましくない者
3)我が国から退去強制を受けたこと等により上陸を認めることが好ましくない者
4)我が国の利益又は公安を害するおそれがあるため上陸を認めることが好ましくない者
5)相互主義に基づき上陸を認めない者

入国管理局HPより引用

 

このうち入国拒否期間が問題になるのは上記3のケースです。

 

退去強制の対象となるのは不法滞在している外国人(不法入国者・不法上陸者・不法残留者)や犯罪行為で実刑を受けた外国人などで、いったん退去強制された外国人には、原則として5年あるいは10年の入国拒否期間が設定されます。

 

具体的には、過去に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことが無い場合は5年、過去に退去強制を受けたり出国命令を受けて出国したことのある場合は10年です(一部の犯罪を除きます)。

 

また本来なら退去強制になる不法残留者でも、自分から進んで出頭した場合には「出国命令制度」の対象となる場合があります。この場合の入国拒否期間は1年となります。

上陸特別許可の注意点

上陸特別許可は法務大臣の自由裁量で「例外的に」与えられるものであって、希望すれば誰でも受けられるものではありません。

 

また法律により正式に認められた手続きではないため、「退去強制から○年経過すれば申請できる/認められる」「このような資料を揃えれば認められる」といった具体的な要件や手順も存在しません。上陸特別許可の可否は、あくまで個人の置かれた状況や生活環境などに応じて個別に判断されます。

 

初回の申請で上陸特別許可を受ける人がいる一方で、何度申請しても許可を受けられない人もいるのが上陸特別許可申請の難しいところです。

上陸特別許可の具体例

上陸特別許可の申請で多いのが、退去強制された外国人配偶者をふたたび日本に呼び寄せるケースです。

 

国際結婚している夫婦であっても、外国人配偶者が不法残留状態にあれば退去強制の対象になります。そしていったん退去強制されれば入国拒否期間が設定されて、たとえ配偶者や子供が日本にいても、原則として5年あるいは10年は再入国ができません。

 

この状態を解消する手段のひとつが、上陸特別許可の申請というわけです。

 

すでに説明した通り「確実に上陸特別許可を受ける方法や条件」はありませんが、過去に上陸特別許可が認められた以下のケースから、おおまかな傾向を知ることができるでしょう。

 

・退去強制から3年〜4年程度経過している
・日本国籍の子供がいる
・婚姻生活が明らかに継続している
・子供と同居する緊急の事情がある

 

もちろん、こうした事情は判断材料の一部に過ぎません。ほかにも過去の滞在状況や犯罪歴、退去強制に至った経緯など、さまざまな要素を検討されることになります。

 

いずれにしても、上陸特別許可申請はかなり難易度の高い手続きです。申請を検討する場合は専門家に相談するなど、万全の準備が必要になるでしょう。

無料相談

無料相談を行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

※相談は完全予約制です。

はじめてのお客様専用ダイヤル

東京エリア03-5830-7919名古屋エリア052-446-5087大阪06-6341-7260中国語070-5376-4355韓国語080-4670-2341English080-4941-0973

無料診断受付中