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在留特別許可における流れとは?許可を受けるまでの流れをステップごとに解説
法令違反の外国人が退去強制となった場合、日本での在留を希望したい際は、入国管理局が求める資料や書類をそろえて在留特別許可の申請を行うことができます。
在留特別許可の流れでは、個々人の事情により審議の方法が異なります。適正な申請手続きのサポートを受けるためには、専門家と一緒にステップを踏んでいくことが理想的です。
本記事では在留特別許可の流れと申請の注意点について解説していきます。
在留特別許可はどのようなときに発生するのか
在留特別許可は、退去強制される外国人に対して法務大臣が特別に在留を認める制度です。
退去強制とは、さまざまな事由から日本への滞在が好ましくないと判断された者に対して、日本からの退去を命じることです。退去事由は入国管理法に則り判断され、退去強制事由にあたると判断された場合、原則日本からの出国は免れません。
そのように判断されても、特別に日本への在留が認められるのが在留特別許可です。退去強制事由にあたることが発覚した場合に、当人の事情によって取得のための申請を行います。
在留特別許可自体の流れ
ここでは、在留特別許可を取得するための実際の流れについて解説します。
1.入国管理局へ出頭
外国人本人は、入国管理局へ出頭し、法令違反を犯した内容を申告して必要書類の提出を行います。
必要書類
※日本人、日本への永住許可を受けている外国人などと婚姻関係にある場合
・陳述書
・身分証明書
本人のパスポートの写し全ページ
本人の在留カードの写し
本人の身分証明書写し(運転免許・本国IDカードなど)
・婚姻を証明するもの
戸籍謄本(婚姻事実の記載があるもの。子がいる場合は子の記載があるもの)
本国の戸籍謄本など
婚姻届出受理証明書
婚姻届記載事項証明書
・生活状況を証明するもの
配偶者の住民票(同居世帯全員分)
配偶者の在職証明書(役員の場合は会社の登記簿謄本、自営であれば営業許可証など仕事の内容が分かるもの)
・直近1年間の年収が分かるもの(源泉徴収票、所得証明書、確定申告書など)
・年金、生活保護などの受給証明書類
・居住地の登記簿謄本もしくは賃貸契約書写し(契約の更新状況が分かるもの)
・配偶者の履歴書
・母子健康手帳写し
・子の在学証明書、出席・成績証明書
・預金通帳写し(使用中のもの全ページ)
・スナップ写真数枚(特に結婚式、披露宴のもの)
・証明写真4枚(5cm×5cm)
など
2.入国警備官による違反調査
本人の申告と提出書類の内容から、入国警備官が本人の違反調査を行います。入国警備官の役割は、不法入国や罪を犯した外国人の情報を収集し、違反審査と難民認定に係る調査を行うことです。
在留特別許可においては、提出書類の確認や事情聴取を行った上で、審査判定「容疑あり/容疑なし」が決定されます。
ここで「容疑なし」と判定された外国人は、在留継続が認められます。
3.収容・仮放免手続き
入国警備官による違反審査で「容疑あり」となった場合は、以下のいずれかのステップに進みます。
・入国警備官から入国審査官への引き渡しが行われ外国人は収容施設へと送還されます。
・入国警備官へ差し戻しとなり、出国命令対象者として収容せず出国となります。
※引き渡し:身柄を拘束したときから48時間以内に、調書・証拠物を添えて 容疑者を入国審査官に引き渡すこと
なお、外国人が収容施設へ送還された場合は、仮放免の手続きを行い一時的な収容を免除してもらうことも可能です。「仮放免手続き」とは、収容されている本人の一時的な解放を求め、入国管理局に対して行う手続きです。
仮放免が認められる場合は、保証金の納付が必要です。保証金の額は収容されている本人の資産などにもよりますが、一般的には数万~数十万円が大半のケースとなっています。
4.入国審査官による違反調査
施設に収容された後に、入国審査官による違反審査が行われます。入国審査官の審査の判定により、以下のいずれかのステップに進みます。
・退去強制に該当せず、在留を認められる
・退去強制に該当する(異議申し出ができる)
・出国命令対象者として収容施設から出国命令となる
退去強制に該当した場合は、異議の申し出ができます。なお、この時点で、退去強制事由に該当するとして「認定通知書」が渡されます。
5.口頭審理の請求
審議に納得がいかない場合には申し出をして、特別審査官へ口頭審理の請求を行うことができます。容疑の認定に不服である場合の異議や引き続き日本に在留したい理由などを、この時点で伝えることが可能です。
6.特別審理官による口頭審理
特別審理官の口頭審理が行われます。特別審理官とは、法務大臣が指定する上級の入国審査官で、この口頭審理では、事前の申請を行えば日本人配偶者や親族の立ち合いが許可されます。
書類内容だけでは十分に伝えきれない内容について、外国人本人、家族、代理人などの主張を口頭で行えます。口頭審理の請求は、認定通知書の交付より3日以内に特別審理官に対して実施されます。
7.異議の申し出
特別審理官の判定に納得が行かない場合は、再び異議の申し出ができます。口頭審理の違反判定が出された時点で、法務大臣に対して異議の申し出書を提出することが可能です。
8.法務大臣による裁決
特別審理官の判定と外国人本人からの異議申し出により、法務大臣の裁決が行われます。法務大臣の裁決により、以下のいずれかの結果となります。
・外国人の在留を許可する事情が認められた場合は、在留特別許可となる
・不許可の判定の場合は、退去強制令書が発行され、国外へ退去強制される
在留特別許可は法務大臣の判断に基づく裁決となるため、対象となる外国人は、自身に有利となる資料やプラスになる要件に関して提示できるよう、しっかり情報整理して準備を行うことが必要です。
在留特別許可の申請に関する注意点
在留特別許可の申請においては、以下の注意点があります。
時間がかかる
在留特別許可では、あらゆる項目を判定材料として審議されるため、申請の結果が出るまでに時間がかかることを踏まえて順序よくステップを踏んでいくことが必要です。
一般的には出頭から許可取得まで早くとも3ヶ月から半年程度、通常は1年以上の期間を要します。
申請しても必ずしも通るとは限らない
本来ならば退去強制となる事実を、外国人の事情を考慮して特別の許可を与える仕組みが在留特別許可です。申請手続きにおける審議では、外国人の事情によっては必ず申請が通るとは限らないため、不許可となって退去処分となる場合も想定して手続きを行うことが必要です。
申請の代行は不可
在留特別許可を求める際は、行政書士に相談することが可能です。ただし、入国管理局への手続きは原則的に外国人本人が行うようになっているため、本人以外の第三者が全て請け負うことは難しくなります。
行政書士へ手続きを依頼した場合、本人の手続きをサポートするかたちで進みます。
まとめ
今回は在留特別許可の流れと許可となるまでのステップについて解説しました。本来ならば退去処分となる外国人が在留の継続を求めるためには、入国管理局の審査の判定が肯定的になる材料を提示することが必要です。
一連の手続きにおいては、行政書士のサポートを受けながら法令に基づいたステップを踏んでいくことをおすすめいたします。
さむらい行政書士法人では、外国人の在留特別許可申請のサポートを行っています。
手続きなどでお困りの際は、ぜひご相談ください。