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仮放免について徹底解説!

「仮放免」というのは、入国管理局に収容されている外国人を、本人の請求もしくは職権により一時的に放免する(収容を停止して身柄の拘束を解く)措置です。

 

出入国管理及び難民認定法(以後、入管法)」第24条の1号〜10号では、次のような外国人は退去強制の対象となります。

 

・不法入国者(有効なパスポートを持たずに入国)

・不法上陸者(上陸許可を受けずに入国)

・不法残留者(在留期限が過ぎた後も引き続き滞在)

・資格外活動者(在留資格に定められた活動以外のことをしている)

・刑法上の犯罪行為などで実刑が確定した者

 

また退去強制の手続きを行う際は、原則として対象の外国人をすべて収容することになっています。これを「収容前置主義」といいます。

 

収容期間については、入管法第41条に次のように規定されています。

 

第四十一条 収容令書によって収容することができる期間は、三十日以内とする。但し、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、三十日を限り延長することができる。

 

不法滞在などの理由で逮捕された外国人にはまず収容令書が発付され、退去強制手続きの期間中、最大60日間(基本30日+延長30日)収容されます。

 

一方、退去強制手続きが完了して「退去強制令書」が発付された後については、原則として収容期間の制限はありません。

 

第五十二条

五 入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。

 

「退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないとき」とは、たとえば退去強制令書を発付された外国人が「再審情願」を請求する場合などが考えられます。再審情願には1年〜2年程度かかることもあるため、手続きが長引くほど収容期間も長期化してしまいます。

 

仮放免は、こうした身柄収容の原則に対する例外的措置です。

 

仮放免が認められた外国人は収容を解かれますが、保証金の納付に加えて住居や行動範囲の制限、呼出しに対する出頭義務などの条件が付されます。

仮放免が認められるケース

仮放免は、申請すれば必ず認められるというわけではありません。仮放免が認められるかどうかはそれぞれの事情によって変わります。

 

比較的許可を受けやすい事情としては、「家族の看病・看護」や「本人の治療」といった人道的なもの、「帰国前に経営していた会社を整理する」といったやむを得ないものがあり、さらに本人が日本に留まることを希望するか、退去強制を受け入れる意思があるかといった事情も仮放免の判断に影響します。

仮放免の注意点

仮放免が認められても、その効果はあくまで一時的なものです。

 

仮放免が認められることと退去強制の手続きは別物なので、仮放免されて家族の元に戻れたとしても、退去強制令書が発付されれば本国に強制送還されてしまいます。

 

また仮放免中は、原則として就労できません。最大60日の退去強制手続き中はともかく、年単位に及ぶこともある再審情願中は仮放免の期間も長引く可能性があるため、その間の生活を支える必要もあります。

 

仮放免はあくまで一時的な手続きであることを意識して、長期的な計画を立てることが肝心です。

仮放免の手続きについて

仮放免については、入管法第54条に規定されています。

 

第五十四条 収容令書若しくは退去強制令書の発付を受けて収容されている者又はその者の代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、法務省令で定める手続により、入国者収容所長又は主任審査官に対し、その者の仮放免を請求することができる。

 

2 入国者収容所長又は主任審査官は、前項の請求により又は職権で、法務省令で定めるところにより、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、三百万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免することができる。

 

3 入国者収容所長又は主任審査官は、適当と認めるときは、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者以外の者の差し出した保証書をもつて保証金に代えることを許すことができる。保証書には、保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければならない。

 

1)仮放免の請求

・請求できる者

仮放免を請求できるのは、収容される外国人本人、その代理人、保佐人、配偶者、直径の親族、兄弟姉妹です。なお、婚約者や友人などは仮放免を請求することはできません。

・請求先

仮放免の請求先は、本人が収容される先によって変わります。収容先が東日本入国管理センター(茨城県)と大村入国管理センター(長崎県)の場合はそれぞれの入国者収容所長に、全国8ヶ所の地方入国管理局(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)の場合はそれぞれの主任審査官に請求します。

・身元保証人

仮放免を請求する際は身元保証人を立てることが必要です。収容される外国人との関係は指定されていないため、婚約者や友人・知人を身元保証人に立てることも可能です。身元保証人の責任は道義的なもので、仮放免された外国人が行方不明になった場合でも法的な責任を追及されることはありません。

・提出書類

仮放免許可請求書一通、請求の理由を証明する資料、身元保証人に関する資料などです。

なお請求の結果は、申請書に記載された申請人宛に通知されます(審査には約2週間ほどかかります)。

 

2)保証金の納付

仮放免が許可された場合、資産状況などを考慮して決定される300万円以下の保証金を納付します。また入国者収容所長か主任審査官が適当と認めたときは、本人以外が提出する保証書(保証金額と、いつでも保証金を納付する旨を記載したもの)を保証金に代えることができます。

納付された保証金は、仮放免中に本人が自費出国した際、あるいは期限付きの仮放免期間が終わった際に全額還付されます。

仮放免の取り消しについて

入管法第55条には、いったん許可された仮放免の取り消しについて規定されています。

第五十五条 入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免された者が逃亡し、逃亡すると疑うに足りる相当の理由があり、正当な理由がなくて呼出に応ぜず、その他仮放免に附された条件に違反したときは、仮放免を取り消すことができる。

 

2 前項の取消をしたときは、入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免取消書を作成し、収容令書又は退去強制令書とともに、入国警備官にこれを交付しなければならない。

 

3 入国者収容所長又は主任審査官は、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出に応じないことを理由とする仮放免の取消をしたときは保証金の全部、その他の理由によるときはその一部を没取するものとする。

 

4 入国警備官は、仮放免を取り消された者がある場合には、その者に仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書を示して、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容しなければならない。

 

5 入国警備官は、仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書を所持しない場合でも、急速を要するときは、その者に対し仮放免を取り消された旨を告げて、その者を収容することができる。但し、仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書は、できるだけすみやかに示さなければならない。

 

1)取り消しの理由

仮放免された外国人に以下の事情がある場合、入国者収容所長や主任審査官は仮放免許可を取り消すことができます。

・逃亡した

・逃亡すると疑われる相当の理由がある

・正当な理由がないのに呼び出しに応じない

・その他、仮放免に付された条件に違反した

 

2)保証金の没収

仮放免が取り消されると、保証金の全部または一部が没収されます。

・全部没収…逃亡もしくは正当な理由なく呼び出しに応じない

・一部没収…逃亡すると疑われる、もしくは仮放免の条件に違反

 

3)再収容

仮放免が取り消されると、法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する収容所に再収容されます。

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