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再審情願について徹底解説!

「再審情願」というのは、退去強制の確定した外国人が再審理を求める手続きのことです。

 

基本的に、「出入国管理及び難民認定法(以後、入管法)」第24条の各規定に該当する外国人は退去強制の対象となります。たとえば、

・不法入国者(有効なパスポート等を持っていない)
・不法上陸者(上陸の許可を受けていない)
・不法残留者(在留資格の期限が切れている)
・犯罪行為で実刑判決を受けた者

などがそうです。これらの外国人が警察などに逮捕されたり自ら出頭した場合、一定の手続きを受けた後に「退去強制令書」が発付され、本国に強制送還されます。

 

また場合によっては、手続きの中で法務大臣による裁決で「在留特別許可」を与えられるケースもあります。たとえば「国際結婚して日本国籍の配偶者と一緒に生活している」「日本国籍の子供がいる」といった事情がある場合です。国際結婚が成立しているからといって必ず在留特別許可がもらえるわけではありませんが、過去のケースを見る限り、比較的有利な判断材料になると言えます。

ここで問題になるのが、国際結婚の成立が法務大臣の裁決に間に合わないケースです。

 

退去強制手続き中に有利な判断材料がなければ、退去強制令書が発付される可能性は高くなります。しかし退去強制が確定した後に、婚姻関係が成立する、夫婦に子供が生まれるといった「新しい事情が発生」した場合、その事情に基づいてもう一度在留特別許可の裁決をしてほしいと願うのは自然なことでしょう。

 

それを可能にするのが再審情願です。ただし、再審情願が認められるということは一度確定した処分が覆ることを意味するため、再審情願は極めて例外的で、難易度の非常に高い手続きと言えます。

再審情願が可能な根拠

再審情願は在留特別許可と同じく、入管法などの法律上認められた手続きではありません。しかし実務上は、再審情願は確かに存在します。

これは日本国憲法第16条と請願法の規定があるためです。

 

日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 

請願法
第一条 請願については、別に法律の定める場合を除いては、この法律の定めるところによる。
第二条 請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。
第三条 請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。
二 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは、請願書は、これを内閣に提出することができる。
第四条 請願が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。
第五条 この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。
第六条 何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇を受けない。

 

憲法16条では、外国人を含む「何人」も、国の命令や決定などに対し「平穏に請願」する権利が認められています。また請願法では一般的な請願の手順と、官公署が「これを受理し誠実に処理」することが義務付けられています。

 

この「請願」には、再審情願も含まれます。いったん退去強制が確定した(=在留特別許可が不許可になった)場合でも、新しい事情に基づく再審理を請願できるのは、こうした規定があるためです。

再審情願の注意点

日本国憲法の下では、外国人を含む何人にも国に対し「請願」する権利が与えられています。そして請願を「受理し誠実に処理」することは、国(官公署)の義務です。

ただし請願を処理する手順や、どのような結論を出すかは(他の法律の規定がない限り)国の裁量に任されています。

 

繰り返しになりますが、再審情願については入管法などの法律に具体的な規定はありません。あくまで憲法や請願法の原則に基づいて行われているだけです。

 

このため、国には「再審情願の請求に何日以内に対応しなければならない」とか「一定の条件を満たしたら必ず再審情願を認めなければならない」という義務はありませんし、再審情願を認めないことで責任を問われることも原則としてありません。

 

必ず再審情願が認められる要件や手続きというものが存在しない以上、同じようなケースでも判断が分かれる可能性もあります。そういう意味では非常に不安定な手続きと言えるでしょう。

再審情願の手続き

入管法などに具体的な規定がない以上、再審情願のための決まった手続き(請求の際に求められる書類など)はありません。

 

ただし「婚姻関係の成立」や「日本国籍を持つ子供の誕生」といった新しい事情に基づいて再審理を請求する以上、そうした事情を明らかにする資料は揃えておくべきでしょう。

 

一方、すでに退去強制令書が発付されている以上、原則として入国管理局はいつでも退去強制を行えます。このため入国管理局に再審情願を請求するのと同時に、退去強制処分の「取消訴訟」を起こし、「執行停止の申し立て」を行うケースもあります。

再審情願のデメリット

再審情願の注意点で説明した通り、国には「再審情願の請求に何日以内に対応しなければならない」とか「一定の条件を満たしたら必ず再審情願を認めなければならない」という義務はありません。

 

このため再審情願が認められるかどうかは非常に不安定ですし、最悪の場合、請求から2年近く待たされた挙げ句「不許可」になり、そのまま退去強制される可能性もあります。

なおいったん退去強制された外国人には、原則として5年もしくは10年の入国拒否期間が設定されます。入国拒否期間が経過すれば正規の在留資格を申請できますが、もし再審情願を請求して1年〜2年後に不許可になった場合、それだけ正規の在留資格を申請できるチャンスが遠のくと言えるでしょう。

 

デメリットはそれだけではありません。

入管法第52条の5によると、いったん退去強制令書が発付されると、その外国人の身柄は原則として入国管理局に収容されます。

 

(退去強制令書の執行)
第五十二条
五 入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。

 

この「入国者収容所」は、現在国内の2ヶ所にあります。

 

・東日本入国管理センター(茨城県牛久市久野町1766)収容定員:約700人
・大村入国管理センター(長崎県大村市古賀島町644-3)収容定員:約800人

 

退去強制令書を受けた外国人はこのどちらかに収容されますが、どちらになるかはそれぞれの収容状況によって決定されます。

 

当然ながら、その外国人がそれまで暮らしていた地域や、外国人の家族などが暮らしている地域から遠い入国者収容所に収容される可能性も少なくありません。

配偶者、子供、婚約者などから遠く離れた収容所で、許可されるかどうかわからない再審情願の結果を待つのは、精神的にも大きな負担となるでしょう。

 

これに対し、退去強制令書の発付を受け入れて(再審情願を行わずに)帰国した外国人は、本国で自由に生活できます。そして5年あるいは10年の入国拒否期間が経過すれば正規の在留資格を申請できますし、それ以前に「上陸特別許可」を取得できる可能性もあります。

 

もし再審情願を検討するのであれば、これらのデメリットや他の選択肢をしっかり把握した上で、総合的かつ慎重に判断するようにしてください。

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