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在留特別許可の許可率や件数|どんな事例が許可される?判断基準も解説

不法滞在で退去強制に相当すると判断された場合の対処法として、「在留特別許可」があります。しかし、在留特別許可で本当に許可を受けられるか心配に感じる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、こちらでは在留特別許可の許可率や件数について解説します。在留許可された事例・されなかった事例に加えて判断基準も解説しますので、参考にしてください。

そもそも在留特別許可とは

不法滞在による退去強制手続きの過程で、特例的に在留許可が出されることを指します。退去強制に対する異議の申出に理由がないと認められた場合も入管法50条に基づき、法務大臣による特別許可が可能です。

【入管法50条引用】
・永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)
・かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同項第2号)
・人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同項第3号)
・その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同項第4号)

在留特別許可件数・許可率

法務大臣への異議申出件数

在留特別許可件数

許可率

2015年

3,163件

2,023件

約64%

2016年

3,078件

1,552件

約50%

2017年

2,522件

1,255件

約50%

2018年

2,128件

1,371件

約64%

2019年

2,256件

1,448件

約64%

※参照元:法務省 出入国在留管理庁 | 出入国在留管理をめぐる近年の状況

 

年度によって差はあるものの、退去強制に対して法務大臣へ異議の申出を行い、在留特別許可を受けた人の割合は50%~64%ほどであることがわかります。そのため、平均して5割以上の確率で許可が出る可能性があるとも言えるでしょう。

在留特別許可の判断基準

在留特別許可の判断に明確な基準はありません。退去強制が妥当とされた人が日本への在留を希望し、異議申出を行った場合は、違反の内容や家族・生活の状況、素行、世界情勢、許可もしくは不許可にした場合に周りに与える影響など、様々なことを考慮に入れて総合的に判断されます。

 

退去強制に関わる事案は個々で大きく異なり、1つ1つのケースを調査しながら在留特別許可を検討する必要があるため、明確な判断基準はないのだと言えるでしょう。

在留特別許可された事例・されなかった事例

在留特別許可が出るか否かは、個々人の状況によって左右されます。似たような事案であっても、配偶者との関係、家族・生活の状況、犯罪歴などによって許可・不許可が分かれる場合も少なくありません。そこで、ここでは具体的な事例について紹介します。

※事例引用元:出入国在留管理庁|在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について

許可された事例

配偶者や子供の有無など、様々な観点から慎重に調査を重ね、在留特別許可が相当であると判断された事例は多くあります。配偶者が日本人の場合など、各ケースに分けて許可された事例を紹介しますので参考にしてください。

1.配偶者が日本人の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約1年7月

違反期間

約7月

婚姻期間

約1年6月

夫婦間の子

1人 (未成年)

刑事処分等

許可内容

在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年

特記事項

 

発覚理由

警察逮捕

違反態様

不法入国

在日期間

約17年9月

違反期間

約17年9月

婚姻期間

約5月

夫婦間の子

1人 (未成年)

刑事処分等

入管法違反(不法在留)により,懲役2年6月・執行猶予3年の判決

許可内容

在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年

特記事項

逮捕までに約12年同居しており,調査の結果,夫婦の同居実態等に信ぴょう性が認められたもの。

2.配偶者が正規に在留する外国人の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約3年4月

違反期間

約3年1月

婚姻期間

約7月

夫婦間の子

刑事処分等

許可内容

在留資格:永住者の配偶者等
在留期間:1年

特記事項

配偶者は在留資格「永住者」

 

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法入国

在日期間

約6年9月

違反期間

約6年9月

婚姻期間

約8年3月

夫婦間の子

1人(未成年)

刑事処分等

許可内容

在留資格:定住者 
在留期間:1年

特記事項

被退去強制歴1回あり。配偶者とは前回の在留時に婚姻。配偶者は在留資格「定住者」

3.外国人家族の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約12年5月

違反期間

約12年2月

家族構成等

配偶者:不法残留(在日期間:約12年5月)
子 :本邦出生後,在留資格未取得・12歳
子 :本邦出生後,在留資格未取得・9歳
子 :本邦出生後,在留資格未取得・6歳

許可内容

家族5人とも,
在留資格:定住者
在留期間:1年

特記事項

家族全員で出頭申告したもの。本人は被退去強制歴1回あり。

 

発覚理由

警察逮捕

違反態様

不法入国

在日期間

約18年11月

違反期間

約18年11月

家族構成等

配偶者:不法入国(在日期間:約19年9月)
子 :本邦出生後,在留資格未取得・12歳

許可内容

家族3人とも,
在留資格:定住者
在留期間:1年

特記事項

本人が入管法違反(不法在留)により懲役2年6月・執行猶予4年の判決を受けたもの。

4.その他

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法入国

在日期間

約16年11月

違反期間

約16年11月

刑事処分等

在留希望の理由

日本人前夫との間に出生した子(日本国籍・4歳)の監護・養育

許可内容

在留資格:定住者
在留期間:1年

特記事項

子の親権者は日本人前夫であるが,実際は本人(在留特別許可された者)が監護・養育していることが判明したもの。過去に在留特別許可を1回受けた経緯あり。

 

発覚理由

当局摘発

違反態様

不法残留

在日期間

約12年8月

違反期間

約12年7月

刑事処分等

在留希望の理由

日本人との間に出生した子(外国籍・本邦出生後,在留資格未取得・12歳)の監護・養育

許可内容

本人・子とも,
在留資格:定住者
在留期間:1年

特記事項

子の父親(日本人)は所在不明。子は父親の認知を受けておらず,外国籍となったもの。

許可されなかった事例

社会に深刻な影響を与える罪を犯したり、在留資格を持つ外国人や日本人配偶者との婚姻に実態が認められなかったりした場合は、在留特別許可が出ない可能性が高まります。続いては、許可されなかった事例について見ていきましょう。

1.配偶者が日本人の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約7年3月

違反期間

約3年11月

婚姻期間

約3年9月

夫婦間の子

刑事処分等

特記事項

調査の結果,同居・婚姻の実態に疑義がもたれたもの。在留希望理由に病気治療も挙げていたが,医師から本国でも治療可とされたもの。

 

発覚理由

当局摘発

違反態様

資格外活動

在日期間

約1月

違反期間

約1月

婚姻期間

約1月

夫婦間の子

刑事処分等

特記事項

在留資格「短期滞在」の許可を受けて在留中,専らホステスとして稼動していたもの。配偶者との同居実態なし。

2.配偶者が正規に在留する外国人の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約18年1月

違反期間

約9年

婚姻期間

約3年5月

夫婦間の子

刑事処分等

所得税法違反により,懲役1年・執行猶予3年(罰金あり)の判決

特記事項

出頭申告した後に在宅起訴され,判決を受けたもの。配偶者は在留資格「永住者」

 

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法入国

在日期間

約5年5月

違反期間

約5年5月

婚姻期間

約4月

夫婦間の子

刑事処分等

入管法違反(不法在留)により,懲役2年6月・執行猶予4年の判決

特記事項

被退去強制歴1回あり。出頭申告後に逮捕されたもの。配偶者は在留資格「技術」

3.外国人家族の場合

発覚理由

出頭申告

違反態様

不法残留

在日期間

約17年10月

違反期間

約17年7月

家族構成等

配偶者:不法残留(在日期間:約15年10月)
子 :本邦出生後,在留資格未取得・8歳

特記事項

本人は日系三世であると身分を偽って在留許可を受けていたもの。

 

発覚理由

当局摘発

違反態様

不法残留

在日期間

約6年6月

違反期間

約6年3月

家族構成等

子 :不法残留(在日期間:約6年6月)・15歳
子 :本邦出生後,在留資格未取得・0歳

特記事項

子2人は配偶者(外国籍)との間に生まれたが,既に同配偶者との交流はなく,家族3人で生活していたもの。

4.その他

発覚理由

当局摘発

違反態様

資格外活動

在日期間

約8年8月

違反期間

約1年4月

刑事処分等

在留希望の理由

資格外活動は行っておらず,同居中の日本人恋人がいる。

特記事項

在留資格「人文知識・国際業務」の許可を受けて在留中,専ら調理人として稼動していたもの。同居中の日本人恋人との婚姻意思なし。

 

発覚理由

警察逮捕

違反態様

麻薬関係
有罪判決

在日期間

約13年3月

違反期間

刑事処分等

不正作出支払用カード電磁的記録共用,大麻取締法違反(所持)等により,懲役2年6月の判決

在留希望の理由

日本人前妻及び前妻が養育中の実子(日本国籍)に経済的援助をするため,本邦での生活・稼動の継続

特記事項

在留資格「永住者」の許可を受けて在留中に逮捕されたもの。傷害等による前科(執行猶予付き有罪判決)1回あり。

在留特別許可を受けられなかったら?

在留特別許可を受けられなかった場合は、退去強制処分となります。ケース内容に応じて収容される可能性もあるでしょう。ただし、在留特別許可を受けたとしても退去強制手続き中の特別処置であるため、いずれは帰国しなければなりません。在留特別許可を得た事例によると、許可後に在留できる期間は1年と定められることが多いです。

まとめ

在留特別許可は、退去強制手続きの中で特例的に在留許可を得られるものであり、許可が出るか否かの判断基準は明確にはなっていません。本人の家族・生活の状況、経歴、素行、海外情勢などを総合的に考えた上で判断が下されるため、在留特別許可にあたってはしっかりとした準備が必要です。

 

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