アメリカのH1-B、H-4ビザをわかりやすく解説
アメリカのH1-Bビザは特殊技能職の方に発給される就労ビザで、H1-Bビザ受給者の配偶者および子ども(21歳未満)にはH-4ビザが発給されます。H1-Bビザ・H-4ビザの申請には多くの書類の準備や複雑な手続きが必要であるため、どのように手続きを進めればよいか悩みを抱える方も多いでしょう。
正確な情報や手続きの流れを知らないまま申請を進めると、後で大きなトラブルに繋がることもあるため注意が必要です。そこで本記事では、H1-BビザとH-4ビザに関する基本的な情報から、申請手順、必要書類まで詳しく解説します。
特に、アメリカでの専門職や技術職を目指す方、または家族と共にアメリカでの生活を考えている方には、ぜひ参考にしてください。
アメリカのH1-Bビザとは?
アメリカのH1-Bビザは「特殊技能職」を対象とした就労ビザです。ここでは、H1-Bビザの概要、取得要件、有効期間について詳しく解説します。
H1-Bビザの概要
H1-Bビザは、アメリカの企業が外国の特殊技能職を雇用するためのビザです。アメリカの企業が外国人を雇用する際には、就労ビザの取得が必要となりますが、その中でH1-Bビザは、特定の技能や知識を持つ外国人を対象としています。例えば、ITエンジニアや研究者など、特定の分野での専門的な知識や技能を持つ方が対象です。
また、H-1ビザはL-1ビザと混同されることがありますが、H1-Bビザは、米国内の雇用主が外国人を米国内で雇用するためのものです。一方、L-1ビザは米国外の企業(日本企業など)が、在米国の関連会社等に米国人でない者(日本人など)を転勤させる場合に発給されるビザとなります。
H1-Bビザの取得要件
H1-Bビザの取得には、特定の要件を満たす必要があります。アメリカ政府は、特殊技能職としての資格を確認するために、いくつかの要件を設定しています。具体的な要件は次のとおりです。
- ●特定の技能に関して、州のライセンスを所持していること
- ●特定の技能に関して、学士号相当以上の学歴を有していること
- ●特定の技能に関して、学士号と同等以上の経験を有していること
また、H-1Bビザに該当する職種としては、主に次のような職種が挙げられます。
医師、弁護士、会計士、建築家、財務アナリスト、マーケティング・アナリスト、為替ディーラー、エンジニア、プログラマー、科学者、経営コンサルタントなど
H1-Bビザの期間
H1-Bビザには滞在期間の制限があります。アメリカ政府は、外国人の滞在期間を一定の期間に制限することで、労働市場のバランスを保つことを目的としています。
日本人の場合、H1-Bビザでの滞在期間は最長60か月とされており、この期間を超えると再申請のためには最低1年間、米国外に居住する必要があります。したがって、H1-Bビザで渡米する際は、計画的に滞在・活動を行うことが大切です。
アメリカのH-4ビザとは?
アメリカのH-4ビザは、H1-Bビザを取得した者の家族がアメリカに滞在するために必要なビザです。ここでは、H-4ビザの概要、取得要件、有効期間について詳しく解説します。
H-4ビザの概要
H-4ビザは、H1-Bビザ保持者の家族がアメリカに滞在するためのビザです。したがって、アメリカでの就労を目的とするH1-Bビザ保持者の家族(配偶者や21歳未満の子ども)も、H-4ビザを取得することでアメリカに滞在できます。
ただし、H-4ビザは家族の滞在を目的としているため、H-4ビザ保持者は原則就労はできません。(就学は可)そのため、アメリカで就労する場合は、別途ビザ(Fビザなど)の取得が必要です。
H-4ビザの取得要件
H-4ビザを取得するには、特定の要件を満たす必要があります。具体的には、H1-Bビザ保持者との家族関係があり、それを証明する書類の準備が必要です。
また、子どもの場合は21歳未満であることが条件となります。これらの要件を満たすことで、H-4ビザの申請が可能となります。
H-4ビザの期間
H-4ビザの滞在期間は、基本的にH1-Bビザ保持者の滞在期間と同じとなります。したがって、H1-Bビザ保持者が3年の滞在期間を持つ場合、H-4ビザ保持者も同じ3年間の滞在が認められます。
ただし、H1-Bビザの延長や変更があった場合、H-4ビザの期間もそれに応じて変更する必要があるため注意が必要です。
H1-Bビザ、H-4ビザ申請に必要な書類
H-1Bビザは「特殊技術職」として米国で一時的に就労する場合を対象としたビザです。申請には以下の主な書類が必要です。
具体的に必要な書類は次のとおりです。
- ●派遣元である外国(日本)企業と米国企業との間の所有、支配関係を証明する書面。
- ●米国に転勤もしくは出向する社員の入社年月日、勤務の内容、資格又は免許、給与の金額などを記載した上申書。
- ●米国企業における仕事の内容や資格等についての上申書。
加えて、H-4ビザの申請する際は家族関係を証明する書類(例:結婚証明証、出生証明書)などが挙げられます。これらの書類は、申請の際に必ず必要となるため、あらかじめ準備しておきましょう。
申請のタイミングと注意点
H-1Bビザの申請は就労予定の6ヶ月前から可能です。移民法における会計年度は10月1日より開始されるため、10月1日を就労開始予定日とすれば、前年度の4月1日が申請受付け初日となります。
また、H-1Bビザには年間発給数上限枠が定められており、新規H-1Bの申請数が年間上限を超える場合、ランダムセレクション(抽選)が行われます。
H-1Bビザの更新・延長について
延長の期間に関しては、通常、H-1Bビザは3年ごとに最大2回の延長が可能で、合計で6年の滞在が認められます。ただし、下記の特定条件を満たしている場合、6年を超えても1年または3年単位での延長が可能となる場合があります。
- ●永住権申請中の場合:H-1Bビザ保持者が永住権(グリーンカード)の申請を行っている場合、その申請が進行中である限り、H-1Bビザの延長が可能です。
- ●労働証明書の申請:H-1Bビザ保持者の雇用主が労働証明書(PERM)の申請を行い、その申請が一定の段階に達している場合、ビザの延長が可能となります。
- ●I-140の承認: H-1Bビザ保持者の雇用主がI-140移民請願を提出し、それが承認されている場合、さらなるビザの延長が可能です。
ただし、具体的な条件や延長の期間、手続きについては、移民法が変更されることもあるため、専門家や関連機関に最新の情報を確認することをおすすめします。
また、H-1Bビザを持っている人が別の会社に転職を希望する場合、新しい会社でのH-1Bビザの申請が必要です。この申請が移民局に正式に提出されれば、新しいビザの認可がまだ出ていなくても、新しい会社での仕事を始めることができます。
まとめ
アメリカで特殊技能職として就労し、家族の滞在を考える際、H1-BビザやH-4ビザの取得が必要です。特に、H1-Bビザは申請のタイミングや期間に関する注意点もあり、適切な時期に手続きを行うことが求められます。
したがって、具体的な手続きに不安がある方は、行政書士などの専門家や関連機関に相談することをおすすめします。
当社、さむらい行政書士法人は、日本のグローバル化を加速させることをビジョンとして、外国人を取り巻く企業・団体、個人のサポートを行っております。H1-BビザやH-4ビザの申請手続きもサポートしていますので、ビザ申請にお困りの際はお気軽にお問い合わせください。