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不起訴処分や略式起訴を受けた人はアメリカビザの申請はできる?
アメリカに長期滞在するのであれば、ビザを取得しなくてはなりません。ただ、過去に不起訴処分や略式起訴されたことがある方のなかには、無事にアメリカビザを取得できるのか知りたい方もいるでしょう。
本記事では、不起訴処分や略式起訴の過去があってもアメリカのビザを申請できるかどうかについて詳しく解説します。
不起訴処分とは?
刑事事件の被疑者を裁判にかけるべきと検察が判断したとき、裁判所に訴えを起こします。これが起訴です。
一方、不起訴処分とは訴えを起こさない処分を指すため、被疑者が法廷に立つことはありません。不起訴になるケースとしては、嫌疑なしや親告罪の告訴取り下げなどが挙げられます。
不起訴処分の概要
捜査機関による捜査や取り調べが終わると、検察が起訴するかどうかを判断します。訴えを起こされた場合は刑事裁判へと移行しますが、訴える必要がないと判断されたときは、事件処理は終了します。
この、「起訴すべきではない」と検察が判断し行われる行為が不起訴処分です。
なお、何らかの理由で警察の捜査が終了してしまい、その結果裁判にいたらないケースもあります。
また、罪を犯した事実はあるものの、起訴を見送るケースもありますが、これは起訴猶予と呼ばれます。
捜査機関に逮捕されると身柄を勾留され、検察が起訴すべきと判断した場合、そのまま勾留が継続します。一方、訴えを起こさないと判断されたときには、勾留が解け釈放されるのです。
無罪との違い
不起訴処分と無罪との違いは、裁判の有無です。検察が訴えを起こさなかったときは裁判そのものが行われず、無罪も有罪もありません。一方、無罪とは法廷で裁判長が被告に言い渡す判決です。
不起訴も無罪と同等です。もちろん、法廷で言い渡された判決ではありませんが、そもそも検察が裁判にするべきでない、と判断している時点で無罪と受け取れます。
どちらも罪がない、認められないと判断されたことになりますが、大きな違いは裁判のプロセスを経たかどうかです。
不起訴処分の種類
不起訴処分の種類は多岐にわたります。その数は実に20種類にも及びますが、代表的なケースは限られています。
代表的なケースのひとつが、嫌疑なしです。これは被疑者が罪を犯した証拠が見当たらない、犯罪行為の事実が認められない、といった状況です。捜査機関のミスなどにより、本来捕まえるべき人物と異なる人を逮捕・送致した、といったケースも該当します。
起訴猶予も代表的なケースです。犯罪行為の事実や証拠などがあるものの、さまざまな事情を鑑みて訴えが見送られるパターンです。ただ、あくまで猶予を与えられただけの状態であるため、のちほど起訴される可能性は否めません。
犯罪に該当せず、不起訴となることも少なくありません。たとえば、カップルの痴話げんかや正当防衛が成立するときなどが該当します。どちらも犯罪として成立しないことが多いため、検察が訴えを起こすことは少ないのです。
また、親告罪の告訴を被害者が取り下げた場合も、訴えを起こさないまま処分されます。親告罪とは、被害者の親告により罪となるものです。
たとえば、侮辱罪やストーカー規制法違反、親族間における窃盗などが該当します。親告罪の告訴が取り下げられると、罪を犯した被疑者として裁判にかけられません。すでに検察へ送致されていたとしても、起訴できない以上、釈放するしかないのです。
略式起訴とは?
略式起訴とは、開廷せずに行われる裁判手続きを指します。一般的には、検察官が取り調べの結果、通常の裁判手続きは不要と判断したとき、被疑者に略式起訴の説明を行い、同意を得たのちに簡易裁判所へ請求します。
略式起訴の概要
名称からイメージできるように、通常の裁判手続きを簡略化した法手続きのことです。
通常、起訴されると法廷で争うことになりますが、略式起訴ではそもそも開廷せず、検察官が提出した書面にのみ基づき審理を行います。
通常裁判のように懲役や禁固などの処分を受けることはなく、言い渡される刑罰は100万円以下の罰金または科料に限られます。
基本的に、罰金や科料処分となる軽微な犯罪において採用される方式です。軽微な犯罪まですべて通常裁判で手続きを進めるとなると、人も時間も足りず、重大な事件の裁判が後回しになるおそれもあります。そのため、軽微なものはスピーディーに解決すべく、このような手続き方法が誕生しました。
なお、この手続きでは被疑者が法廷に立つこともなく、弁護側が証拠を提出するようなこともありません。法務省が公開している「令和3年度 犯罪白書」によれば、令和2年度に処分を受けたなかの約20%が略式起訴されています。
略式起訴は前科になるのか?
略式起訴であっても前科はつきます。記録は捜査機関や司法機関で管理されますが、その情報を第三者が勝手に見ることはできないため、誰かに知られる心配はありません。
ただ、ケースによっては前科の回避が可能です。たとえば、被害者と話し合いを行い示談が成立した、といった場合には不起訴となる可能性があります。訴えを起こされなければ誰にも裁かれないため、無罪として扱われます。
略式起訴ができる要件
どのような事案でも裁判の手続きを簡略化できるわけではありません。この手続きを進めるには、満たすべき3つの要件があります。
まず、簡易裁判所が判断を行う比較的軽微な事件でなくてはなりません。また、100万円以下の罰金・科料に相当する、被疑者の同意を得ている、といった要件もクリアする必要があります。
3つのうちどれかひとつでも欠けてしまうと、当該手続きで進められません。その場合には、通常通りの裁判に委ねられます。
逮捕歴があっても不起訴処分ならESTAやビザは申請できるのか?
アメリカに滞在する日数が90日以内であれば、ESTAで渡航できます。過去に逮捕され有罪判決を受けたのなら、ESTAを用いた入国はできないため、ビザを取得しなくてはなりません。
一方、起訴にいたらなかったケースであっても同様に、ESTAは利用できないため注意が必要です。仮にESTAで渡航できたとしても、空港で入国を拒否されるおそれがあります。そのため、たとえ不起訴であってもビザの取得が必要です。
なお、ビザ取得においては、起訴されなかったことを示す文書を求められます。たとえば、示談書や不起訴処分告知書などが該当します。後者は自動的に発行されるものではなく、所定の手続きが必要です。発行してもらった書類は、ビザ申請時に提出しなくてはなりません。
略式起訴の場合はESTAもビザも問題なく申請できるのか?
ESTAは略式起訴であっても利用できません。ESTAは前科があれば利用できず、罰金の略式命令でも認証を得られないのです。
そのため、罰金などの略式命令を受けた方は、目的に応じたビザを取得して入国しなくてはなりません。ただ、ビザの申請はできるものの、発給するかどうかの最終的な判断は領事が決めることです。そのため、軽微な犯罪でも前科があるのなら、発給してもらえない可能性もあります。
不起訴処分は検察が「訴えを起こす必要がない」と判断し下される処分で、略式起訴は軽微な犯罪や100万円以下の罰金・科料に相当する事案をスピーディーに解決するための手続きです。いずれのケースでも、ESTAを用いた渡航は難しいため注意が必要です。
「さむらい行政書士法人」では、不起訴処分や略式起訴を受けたことがある方のアメリカビザ取得に関する相談にも対応しています。
相談は無料なので、ビザの取得に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。公式ホームページの問い合わせフォームは24時間受け付けています。