アメリカのL-1A、L-1Bビザをわかりやすく解説
アメリカでのビジネス展開やキャリアアップを考えている方にとって、ビザの取得は避けて通れない大きなステップとなります。特に、経営者や特定の知識を持つ従業員としてアメリカに滞在する場合、L-1ビザが非常に重要な役割を果たします。
しかし、L-1ビザの種類や申請方法、対象者の条件などは複雑であるため、正確な知識を持たずに申請を進めると思わぬトラブルにもつながりかねません。本記事では、L-1AビザとL-1Bビザの違いや特徴、申請のポイントなどをわかりやすく解説していきます。
アメリカでの成功のための第一歩として、正確なビザ情報を身につけ、適切な手続きを進めるためのガイドとしてご活用ください。
アメリカのL-1ビザとは?
アメリカのL-1ビザは、多国籍企業の従業員が米国の関連会社に転勤する際に取得するビザです。ここでは、L−1ビザの概要やL-1AとL-1Bの違いについて詳しく解説します。
L-1ビザの概要
L-1ビザは、米国の関連会社に転勤する従業員のためのビザで、ビジネスパーソンが米国内での業務を円滑に進めるための手段です。
世界のビジネスの中心地である米国では、多くの多国籍企業が活動しています。その中で、親会社や関連会社が米国に存在する企業では、経営の効率化やビジネスの拡大を目的に、海外人材の異動が頻繁に行われています。このようなビジネスニーズに対応するために設けられたものがL−1ビザです。
例えば、日本の大手企業A社が米国に子会社を持っているとします。A社は、新しいプロジェクトを米国で開始するため、日本本社の専門家を米国の子会社に出向させることを決定しました。このような場合、専門家はL-1ビザを取得して、米国の子会社で業務を開始できます。
一方、L-1ビザは誰にでも発給されるわけではありません。米国の関連会社で役員、管理職、または専門職のポジションに就くことを主な条件としており、多国籍企業のビジネス展開をサポートする重要な役割を果たすことが目的です。
L-1ビザの種類
L−1ビザには、L-1AとL-1Bの2種類のビザがあります。L-1Aビザは、米国の関連会社で役員や管理職のポジションに就く従業員のためのもので、経営を監督する立場や米国法人の主な構成員としての役割を果たす従業員が対象となります。最長の滞在期間は7年となっています。
一方、L-1Bビザは、特定の専門知識を持つ専門職の従業員のためのもので、法人の製品やサービス、技術などに関する専門的な知識や、業務プロセスに関する深い知識と経験を持つ従業員が対象となります。最長の滞在期間は5年となっています。
L-1Aビザ |
L‐1Bビザ |
|
---|---|---|
対象者 |
役員や管理職 |
特定の専門知識を持つ専門職 |
役職の定義 |
・経営を監督する立場 ・米国法人の主な構成員 ・多岐にわたる意思決定を行う立場 |
・法人の製品、サービス、研究、技術などに関する専門的な知識を持つ ・法人の業務プロセスや業務に関する深い知識と経験を持つ |
有効期間 |
最長7年 |
最長5年 |
L-1Aビザの特徴と対象者
L-1Aビザは、米国の関連会社での経営者や管理職者のポジションに就く従業員を対象としたビザです。ここでは、L-1Aビザの定義、対象となる条件、および有効期間と更新について詳しく解説します。
L-1Aビザの定義
L-1Aビザは、米国の関連会社で役員や管理職のポジションに就く従業員のためのものです。多国籍企業がグローバルに事業を展開する際、経営の一貫性や効率的な運営を実現するために、経営者や管理職者を転勤させることが必要となることが多いです。
例えば、日本の企業が米国に新しい支店を開設した場合、その支店の運営や経営を担当するために、日本から経営者や管理職者を転勤させることが考えられます。L-1Aビザは、このような経営者や管理職者の米国での滞在をサポートするためのビザとして設けられています。
対象となる経営者・管理職者の条件
L-1Aビザの対象となるのは、経営者や管理職者で、特定の条件を満たす者です。米国での事業展開を円滑に進めるため、経営の一貫性を保つためには、経験豊富な経営者や管理職者の存在が不可欠です。
具体的には、新しいプロジェクトのリーダーや、新しい支店のマネージャーとして、その役職に相応しい経験やスキルを持つ者が対象となります。
L-1Aビザの有効期間と更新について
L-1Aビザの有効期間は、初回申請時に最長3年間とされており、その後の更新は2年ごとに最長7年まで可能です。
例えば、ある経営者がL-1Aビザで米国に入国し、3年後にビザを更新する場合、その後さらに2回の更新が可能となり、合計で7年間の滞在が認められます。
L-1Bビザの特徴と対象者
L-1Bビザは、米国の関連会社で特定の専門知識を持つ専門職の従業員を対象としたビザです。このセクションでは、L-1Bビザの定義、対象となる条件、および有効期間と更新について詳しく解説します。
L-1Bビザの定義
L-1Bビザは、米国の関連会社で特定の専門知識を持つ専門職の従業員のためのものです。多国籍企業がグローバルに事業を展開する際、特定の技術や知識が必要となるプロジェクトや業務が存在します。このような特定の知識を持つ専門職の従業員の転勤は、事業の成功にとって不可欠です。
具体的には、新しい技術を導入するプロジェクトのために、その技術の専門家として日本から米国の関連会社に転勤する場合などが考えられます。L-1Bビザは、このような特定の専門知識を持つ専門職の米国での滞在をサポートするためのビザとして設けられています。
対象となる特定の知識を持つ従業員の条件
L-1Bビザの対象となるのは、特定の専門知識を持つ専門職の従業員で、特定の条件を満たす者です。
米国での事業展開を円滑に進めるため、特定の技術や知識が必要となるプロジェクトや業務に従事する専門職の存在が欠かせません。
例えば、新しい技術の研究開発を行う部門や、特定の製品の製造ラインに関する深い知識と経験を持つ者が対象となります。
L-1Bビザの有効期間と更新について
L-1Bビザの有効期間は、初回申請時に最長3年間とされており、その後の更新は2年ごとに最長5年まで可能です。例えば、ある専門家がL-1Bビザで米国に入国し、3年後にビザを更新する場合、その後1回の更新が可能となり、合計で5年間の滞在が認められます。
L-1ビザ申請に必要な書類
L-1ビザの申請には、いくつかの書類の準備と提出が必要です。ここでは、L-1ビザ申請の際に主に必要な書類をお伝えします。
- ・所有・支配関係の証明:派遣元である外国(例:日本)の企業と、米国企業(例:米国に所在する現地法人)との間に存在する所有、支配関係を証明する書面。
- ・社員の勤務履歴:米国に転勤または出向する社員の入社年月日、勤務内容、資格や免許、給与の金額、そしてビザ申請書提出日から過去3年間に連続して1年以上勤務していた旨を記載した派遣元の外国企業の作成による上申書。
- ・米国企業の職務内容:米国企業における仕事の内容や資格等についての説明と、役員、部課長職または特別知識を有するものとしての勤務確認の上申書。
また、新しく設立する事業所に転勤や出向の場合、以下の証明書類も必要です。
- ・事業所やその他の施設を確保している事実の証明。
- ・派遣元の外国企業との関係(親子会社関係、合併会社関係、本支店関係等)の証明。
- ・米国企業がL-1ビザ申請者に対して支給すべき資金を賄う十分な資金力の証明。
- ・その他、事業所の開設に関する情報や関連する資料(組織図、資本金や財務状態を示した資料など)
ここで挙げた以外にも、状況によっては追加の書類や情報が必要となる場合があります。例えば、移民局が必要とするフォーム、ケースの内容をまとめたサポートレターなど、その他の書類も必要となるケースもありますので、事前にしっかりと確認しましょう。
まとめ
本記事では、L-1ビザの基本的な概要やL-1AビザとL-1Bビザの違い、さらにビザ申請の手続きまで詳しく解説しました。アメリカでのビジネス展開や転勤を考える多国籍企業にとって、L-1ビザの取得は欠かせません。
L-1ビザの申請は複雑な手続きを伴うため、余裕を持って準備を進めることが大切ですが、日々慌ただしいビジネスの現場において、自分たちでビザ申請をすると手間や時間が掛かることもあるでしょう。確実にL-1ビザを取得するためにも、行政書士など専門家に相談することもおすすめします。
当社、さむらい行政書士法人は、日本のグローバル化を加速させることをビジョンとして、外国人を取り巻く企業・団体、個人のサポートを行っております。L-1ビザの申請手続きもサポートしていますので、L-1ビザ取得を目指してる方はお気軽にお問い合わせください。