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研究生として日本へ留学した場合在留資格は貰える?
外国人が日本の学校へ行って学ぶとき、どのような在留資格を得ることができるのでしょうか。日本の学校の入学試験に合格して、正規の学生として入学すれば「留学」という在留資格を得ることができます。
それでは、正規の学生ではない、研究生や聴講生はどうなのでしょうか。
研究生や聴講生でも「留学」の在留資格を得られることはできますが、正規の学生ではないため思い通りにならないことも可能性があります。この記事では研究生として日本に留学した場合に貰える在留資格について申請方法も含めて詳しく説明します。
研究生が留学の在留資格で活動できる期間
研究生が留学の在留資格で活動できる期間は、各大学によって異なりますが、1年〜最長2年(他大学での研究生期間を含む)としている大学がほとんどです。
留学の在留資格を得るためには、研究生として在籍する大学の認定が必要です。そのため、各大学の規定にそった期間が留学の在留資格で活動できる期間となります。
留学の在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則に「四年三月を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」と定められています。
法務大臣が指定する期間であるため、申請者が申請した期間どおりに認められるとは限りません。
研究生として大学より入学を認められれば、最長2年間は留学の在留資格を得て活動できると安易に考えないよう、注意が必要です。
研究生として在留資格を得るための必要書類
研究生として在留資格を得るための必要書類はどのようなものがあるのでしょうか。研究生本人が用意するもの、学校側が用意するものについて説明します。
本人が用意する書類
研究生として在留資格を得るためには、居住予定地・受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署へ在留資格認定証明書交付申請が必要です。
入国以前に交付を受ける必要があるため、余裕を持って申請しましょう。
入学する大学が代理申請することが可能であるため、ほとんどの研究生が入学する機関に代理申請を依頼することになります。
本人が用意する書類は以下のとおりです。
1.在留資格認定証明書交付申請書1 1通
2.写真1 1葉
3.返信用封筒
4.経費支弁書(本人以外に留学に必要な費用を支払う者がいる場合)
提出する写真は規格にあったものを用意します。
不適当な写真であった場合は写真を撮りなおすことになるため、出入国在留管理庁ホームページの「提出写真の規格」を良く見て用意することをおすすめします。
その他、必要書類は以下のとおりです。
・旅券の身分事項ページ(写し)及び追記欄に記載がある旅券については追記欄ページ(写し)
・履歴書(入学願書の写し(勉学理由及び本人の経歴等が記載されているものに限る。)でも可)
・最終学校の卒業証明書
・今後の進路を説明する資料
・日本語能力に係る資料
・経費支弁者と申請人の関係を立証する資料
・預金残高証明書(原本)
・過去3年間の資金形成経緯を明らかにする資料
・経費支弁者の職業を立証する資料
・過去3年間の経費支弁者の収入を立証する資料
・奨学金の給付に関する証明書
・認定不交付処分又は在留不許可処分について,処分理由を払拭する説明及び資料
入学先の機関が、適正校である旨の通知を受けた機関であるか、適正校である旨の通知を受けていない機関であるかによって必要書類は異なります。
入学先の大学の指示に従って書類を用意します。
大学、大学に準ずる機関、高等専門学校側が用意する書類
大学、大学に準ずる機関、高等専門学校側が用意する書類は以下のとおりです。
1.研究内容を証する文書
2.履修届けの写し又は聴講科目及び聴講時間を証する文書
適正校である旨の通知を受けた機関
適正校である旨の通知を受けた機関に入学する場合、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類は以下のとおりです。
番号 |
必要書類 |
提出の要否 |
備考 |
---|---|---|---|
1 |
在留資格認定証明書交付申請書 |
〇 |
|
2 |
提出書類一覧表 |
△ |
所属機関が申請を提出する場合は任意 |
3 |
旅券の身分事項ページ(写し)及び追記欄に記載がある旅券については追記欄ページ(写し) |
〇 |
|
4 |
履歴書(入学願書の写し(勉学理由及び本人の経歴等が記載されているものに限る。)でも可) |
△ |
最終学校を卒業後,5年以上経過している場合 |
5 |
今後の進路を説明する資料 |
△ |
最終学校を卒業後,5年以上経過している場合 |
6 |
研究内容を証する文書 |
△ |
大学等において,専ら聴講によらない研究生として受入れられる場合 |
7 |
履修届けの写し又は聴講科目及び聴講時間を証する文書 |
△ |
大学等において,聴講生,科目等履修生,専ら聴講による研究生として受入れられる場合で,申請時に決定している場合 |
8 |
大学の管理体制を説明した文書 |
△ |
大学の夜間において授業を行う大学院の研究科において,専ら夜間通学して教育を受ける場合 |
9 |
奨学金の給付に関する証明書 |
△ |
奨学金の給付を受ける場合。貸与型奨学金の場合は,留学生の母国語及び日本語で作成された契約書等が必要 |
10 |
認定不交付処分又は在留不許可処分について,処分理由を払拭 |
△ |
在留資格認定証明書交付申請の不交付処分,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請の不許可処分を受けたことがある場合 |
適正校である旨の通知を受けていない機関
適正校である旨の通知を受けていない機関に入学する場合、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類は以下のとおりです。
番号 |
必要書類 |
提出の要否 |
備考 |
---|---|---|---|
1 |
在留資格認定証明書交付申請書 |
〇 |
|
2 |
提出書類一覧表 |
△ |
所属機関が申請を提出する場合は任意 |
3 |
旅券の身分事項ページ(写し)及び追記欄に記載がある旅券については追記欄ページ(写し) |
〇 |
|
4 |
履歴書(入学願書の写し(勉学理由及び本人の経歴等が記載されているものに限る。)でも可) |
〇 |
|
5 |
最終学校の卒業証明書 |
〇 |
|
6 |
今後の進路を説明する資料 |
△ |
最終学校を卒業後,55年以上経過している場合 |
7 |
日本語能力に係る資料 |
○ |
外国の大学,短期大学または大学院を卒業し,その卒業証書等を提出する場合は不要 |
8 |
研究内容を証する文書 |
△ |
大学等において,専ら聴講によらない研究生として受入れられる場合 |
9 |
履修届けの写し又は聴講科目及び聴講時間を証する文書 |
△ |
大学等において,聴講生,科目等履修生,専ら聴講による研究生として受入れられる場合で,申請時に決定している場合 |
10 |
大学の管理体制を説明した文書 |
△ |
大学の夜間において授業を行う大学院の研究科において,専ら夜間通学して教育を受ける場合 |
11 |
経費支弁書 |
〇 |
|
12 |
経費支弁者と申請人の関係を立証する資料 |
○ |
|
13 |
預金残高証明書(原本) |
〇 |
|
14 |
過去3年間の資金形成経緯を明らかにする資料 |
〇 |
|
15 |
経費支弁者の職業を立証する資料 |
〇 |
|
16 |
過去3年間の経費支弁者の収入を立証する資料 |
〇 |
|
17 |
奨学金の給付に関する証明書 |
△ |
奨学金の給付を受ける場合。貸与型奨学金の場合は,留学生の母国語及び日本語で作成された契約書等が必要 |
18 |
認定不交付処分又は在留不許可処分について,処分理由を払拭 |
△ |
在留資格認定証明書交付申請の不交付処分,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請の不許可処分を受けたことがある場合 |
研究生として留学の在留資格を得る流れ
研究生として留学の在留資格を得る流れは以下のとおりです。
出願・受験
志望する学校へ出願します。応募資格や出願方法は、志望する学校によってさまざまです。
東京大学や名古屋大学のように、学部ごとに研究生を募集して出願についてもそれぞれ実施している大学もあれば、筑波大学や上智大学のように、出願窓口がひとつの大学もあります。
研究生は入学の際に、指導教員が決められます。出願の時点で指導教員の内諾を得ることが必要な大学と、大学側で指導教員を決める大学とがあります。
詳しくは志望校のホームページを確認するか、直接問い合わせをすることをおすすめします。
学校によっては、外国人留学生向けの相談窓口が設置されていますので、そちらに問い合わせても良いでしょう。
入学許可書を受け取る
研究生としての入学を認められると、学校から入学許可書が送られます。
在留資格認定証明書交付申請(学校側)
入学が認められた研究生は、海外在住であることがほとんどであるため、学校が在留資格認定証明書交付申請を代理申請します。
手続きに必要な書類を学校の指示に従い用意、送付します。
学校側は、送られた書類と学校側で用意する書類を整え、学校の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署へ在留資格認定証明書交付申請を代理申請します。
在留資格認定証明書を本人(外国人)へ送付
研究生の留学の在留資格が認められれば、地方出入国在留管理官署から在留資格認定証明書が学校へ送付されます。
学校は在留資格認定証明書を本人へ送付します。
ビザ申請
学校から在留資格認定証明書が送られてきたら、本人が居住している国の日本国大使館等へ、日本に入国する際に必要なビザを申請します。
ビザ申請に必要な書類については、その国の日本国大使館等へ問い合わせます。
在留資格認定証明書に認められるビザが発行されます。
留学開始
入国して留学を開始します。
入国時に在留期間が3か月を超える場合は、在留カードが交付されます。
新千歳・成田・羽田・中部・関西・広島・福岡空港から入国する場合は入国時に在留カードが発行されます。
それ以外の空港から入国した場合は、後日発行になります。居住する市町村に住民登録を行い、住民票記載の住所に後日在留カードが送付されます。
研究生として在留資格を得るときの注意点
研究生として在留資格を得る場合に注意するべき点はどのようなことがあるのでしょうか。
また、取得した在留資格の期間を更新するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
1年以上研究生を続ける場合は在留期間更新許可申請が必要
留学の在留期間は、「四年三月を超えない範囲内」と定められていますが、研究生として認められる在留期間は1年の場合がほとんどです。
そのため、研究生を1年以上続ける場合には、在留期間更新許可申請が必要となってきます。
在留期間更新許可申請には、在留資格認定証明書交付申請と同様の書類とともに、在籍している学校の出席証明書と成績証明書が必要です。
また、アルバイト等で学費や生活費をまかなっている場合は、課税証明や給与明細の提示も必要になってきます。
在留期間更新許可申請についても、適正校である旨の通知を受けた機関に在籍しているか、適正校である旨の通知を受けていない機関に在籍しているかで必要な書類が異なりますので、注意が必要です。
必要書類については、出入国在留管理庁の「留学」の在留資格のページをよく確認することをおすすめします。
研究生は出席証明書・成績証明書が発行されない
研究生は、正規の学生とは異なりますので、学校によっては出席証明書や成績証明書が発行されません。
この二つの書類は、在留期間更新許可申請で必要です。
発行できるかどうかは、在籍している学生課等に「在留期間更新許可申請」に必要であることを伝え、発行可能かどうかを問い合わせます。
もし発行が不可能だと言われた場合は、在留期間の更新ができないことになり、ビザが切れてもなお日本に居続けた場合「不法滞在」になってしまいます。
研究生を続けることにこだわるよりも、大学や大学院を受験して、正規の学生として留学の在留資格を得ることや、就職先を見つけて就労での在留資格を得ることを考えるべきでしょう。
まとめ
研究生として日本へ留学した場合、「留学」の在留資格を得ることができます。
しかし、研究生は1年、最長でも2年しか活動できません。
また、在留期間を更新しようとしても、研究生では必要書類が学校から発行されません。
あくまでも研究生は、大学や大学院へ受験する前の準備期間であるととらえ、1年以内に研究生以外で在留資格を得ることを考えることが重要ではないでしょうか。