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ビジネスの短期滞在ビザ(短期商用)
外国人ビジネスマンを短期間だけ日本に呼びたいというニーズも存在します。そのようなニーズの中心は、日本の会社が取引先の外国人ビジネスマンを日本に招いて商談や交渉、マーケティング調査などをしようという場面です。
短期滞在ビザは、親族や知人を呼ぶためだけにあるビザではなく、短期でビジネス目的で外国人を日本に呼ぶためにも取得することができ、いわゆる「短期商用」ビザとも呼ばれます。
ここで特に気をつけなければいけないのは、この短期商用ビザの目的は、来日する外国人とビジネスを拡大したりする目的で招待するためのビザです。
ですので、就労ビザとは全く違います。この短期滞在ビザは他の就労ビザとは違い比較的取得がしやすいビザではあります。そのため、中には短期商用という目的で取得して実態は単純作業に就かせてしまっているような悪質なケースも存在します。
短期商用ビザの本来の取得目的の認識を誤ると、最悪のケースとして招いた側(日本の企業など)と、招かれた側(申請人である外国人)双方が罪に問われてしまう恐れもあります。
そのような最悪なケースを招かないためにも、短期商用を目的として短期滞在ビザを取得する際には、招待する日本企業の担当者などは細心の注意を払ってください。
(短期商用ビザの前提の考え方)
先ほどもお話をした通り、短期商用ビザは就労ビザとは目的などが全く違います。
決定的に違う部分は以下の通りです。
短期商用ビザ=日本で就労を伴わない(賃金が発生しない)
就労ビザ=日本で就労を伴う(賃金が発生する)
この点になります。
つまり、短期商用ビザは就労することはできません。例えば短時間でもアルバイトなどを申請人(呼ばれる人)、いわゆる招いた外国人にさせた場合は、資格外活動違反になります。
短期商用ビザはあくまでもビジネスを拡大するための商談や打ち合わせ、ミーティングなどをするために短期で日本に来日するためのビザです。
(この就労が伴っているか否かの線引きは?)
就労が伴っているかどうかというのは実際問題わかりにくい部分です。
ですので、簡単にいうと以下のようなことだと認識していただければ間違いはありません。
就労を伴う=対価(給与など)を得て活動をする
(短期商用ビザを取得する条件とは?)
1、対価を渡すことはない
対価つまり給与などの報酬のことです。たとえ、この対価が少額であったとしてもだめです。また、対価を支払うところが海外の機関であったとしても原則ダメです。
<ポイント>
渡航費、宿泊費、滞在費などの「実費」を日本企業が負担することは問題ありません。
2、労働と判断されないか?
ここは正直難しい線引きにはなります。
無報酬であればどんなことをしてもいいのか?という疑問が出てくるかもしれませんが、これはダメです。
例えば以下のような活動目的は比較的審査が緩やかです。
・シンポジウムなどでのアンバサダー
・ビジネス拡大のための見込み客との商談
・ギフトショーなどの世界的な展示会への参加
・日本で採用するスタッフとの交流会
逆に審査で確実に不許可になる目的が以下のような活動です。
・日本工場のライン作業への就業
・日本支店の飲食店での接客業務への就業
3、受け入れ先企業が対価を得ていないか?
短期商用ビザを取得して来日した申請人(呼ばれる人)である外国人が実態として日本の受け入れ企業先に金銭的な貢献をしていないか?
つまり、通常日本で行う報酬を伴う業務にタダで短期商用ビザを取得して呼んだ外国人を就かせていないかという視点が大切です。
例)マーケティング会社が有料セミナーの講演を行う
×有料セミナーの講師として短期商用ビザで来日した外国人に登壇してもらう。
→その外国人が登壇することで有料セミナー(顧客獲得目的)の受講料を会社が対価として受け取ることになる。
○有料セミナー(現地開催セミナーのノウハウを習得する目的)を見学するために参加
→あくまでも有料セミナーを見学し、そのセミナーのノウハウを参考にして、現地でのセミナー開催に生かすための活動ですので、「無報酬で働かせる活動」には該当しません。
上記の講師として登壇のようなケースでは、多少の金銭を払っても場合によっては、「謝金」という性質とみなされて、短期商用ビザでの活動範囲内として認められることもあります。
ただし認められるためには、セミナーなどが「業として行う活動でない」ことが求められます。今回の上記ケースは、マーケティング会社の有料セミナーですので、登壇してセミナーの表舞台で活動することは、業として行う活動に該当する可能性が高いです。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応