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経営管理ビザ申請時、500万円の資本金は必要?注意点も併せて解説!
外国人が日本で会社を立ち上げ、ビジネスを行う場合には経営管理ビザの取得が必要です。しかし、「経営管理ビザを申請するときには500万円の資本金が必要」と聞いたことがある人もいるのではしょうか?
この記事では、経営管理ビザを取得するために、申請時に気をつけたい事項について「経営管理ビザの基礎知識」から「資本金準備を行う際の注意点」に至るまで、経営豊富な行政書士が分かりやすく解説いたします。
経営管理ビザに関する基礎知識
経営管理ビザとは
経営管理ビザとは、日本で事業を行う外国人を対象に交付される在留資格です。過去には「投資経営」という名称でしたが、現在は「経営・管理」という名称の在留資格となります。日本で安定的・継続的に事業を行うことができるかどうかがビザの許可を取得するためのポイントとなります。在留期間は、「5年、3年、1年、6月、4月又は3月」となっていますが、日本で初めて起業を行う際には、1年の期間で付与されることが多く、その後事業の継続性が認められれば、付与される在留期間についても長くなる傾向にあります。
経営管理ビザ申請時の要件
経営管理ビザを取得するための要件は、大きく分けて4つの要件があります。
- ● 日本国内に店舗・事業所があること
- ● 500万円以上の資本金があること
- ● 安定的・継続的な事業運営が見込めること
- ● (事業の管理に従事する場合)3年以上の実務経験があること
上記のように資金要件として「500万円以上の資本金があること」という要件が設けられています。資金の確保が課題になる方も多いため、日本でのビジネスを検討される際には、申請要件となっている資本金をどのように確保するかどうかも事前に確認しておくことをおすすめします。
また、母国等で経営者として事業運営や投資活動を行っておくことで、資本金の確保ができるだけではなく、ビジネスに関する実務経験として申請時に有利に働くこともあります。過去の実績や経験を踏まえて申請準備をすすめていくと良いでしょう。
経営管理ビザの申請方法
経営管理ビザを取得する際の申請の種類は、現在の住んでいる場所や取得している在留資格によって異なります。
海外から日本に来日してビジネスを開始したい場合には、在留資格認定証明書交付申請という手続きを行います。通常は、日本で事業所・店舗等のテナントを確保してビジネスを開始できる状況まで整備をしなくてはいけませんが、各種制度を利用することで来日してから事業開始の準備を行うこともできるようになっています。
下記にて、経営管理ビザの申請方法に関するパターンを一部ご紹介します。
<①起業準備を行うためのビザを活用するケース>
本邦の大学の学部又は大学院を卒業した人を対象として、起業準備を行うための期間として「特定活動」の在留資格を取得し、事業準備終了後に経営管理ビザへの切り替えが可能です。
特定活動のビザに切り替えることで、6か月間の起業準備期間を設けることができます。事業所・店舗のテナント確保・資金確保まで幅広く準備することができるため、日本への留学後に起業を検討する際には活用すると多くのメリットがあります。
<②4か月の経営管理ビザを取得するケース>
2015年4月の入管法改正によって、事業準備をするための期間として4か月間の在留期間を付与される制度が開始されました。①のケースよりも準備期間は短くなりますが、日本に在留していることで事業所の契約や銀行口座の準備についてもスムーズに行うことができます。
通常の申請の流れでは日本に協力者がいないと実質的な申請準備は不可能でしたが、4か月の在留期間が付与されることで、協力者なしでもビジネス準備を行うことができるようになりました。
事業所についても、4か月のビザ申請を行う段階で具体的な事業所の契約をしている必要はなく、事業所になり得る候補地等の提出を行うことで提出書類として活用することができます。
4か月の在留期間を想定して申請する際には、定款案と事業計画書の作成のみで申請を行うことができるため、申請段階での負担が少ないことも特徴です。
ただし、来日後の事業準備をスムーズに行うためにも日本国内での実質的な協力者となるような翻訳等の対応をしてもらえる方を確保しておくと安心でしょう。
日本国内でも外国人起業家の来日や事業展開を促進するため、様々な制度が設けられています。ご自身で収集した情報のみではなく、現在の状況を踏まえて申請ができるかどうかを判断してもらうことも1つの選択肢といえます。申請を検討する際にはぜひ一度行政書士に相談をしたうえで、活用可能なスキームを確認することをおすすめします。
経営管理ビザの取得には500万円の資本金が必要?
経営管理ビザの申請・取得にあたって、もっともネックになるのが資本金ではないでしょうか。「ビザの申請時には資本金500万円が必要」と耳にしたことがある人も多いでしょう。
まずは、経営管理ビザを取得するために「資本金500万円」が本当に必要になるのかを解説します。
外国人・外国法人による500万円の資本金は必須ではなくなった
2015年4月1日以前は、外国法人あるいは外国人が日本で経営活動等を行う場合、500万円の資本金が必要でした。しかし、2014年の入管法改正により、日本国内企業において外国人が事業の経営を行う際、資本金の定めについては緩和されています。
よって2015年4月1日からは、必ずしも500万円の資本金がなくても、事業の管理活動や経営活動を行う外国法人または外国人は経営管理ビザを取得できるようになりました。
現実的には500万円の資本金を用意することが望ましい
経営管理ビザの申請・取得に際しては、前述の通り500万円の資本金が必要ではなくなっています。しかし、他の条件に当てはまる必要があります。
<資本金が500万円に満たない場合の条件>
●2名以上の常勤である従業員を雇用すること
●従業員である者は日本国籍者または永住者・日本人の配偶者等・定住者の在留資格者であること
●労働保険に加入していること (労災保険・雇用保険)
このように、少し厳しい条件に当てはまれば、資本金が500万円未満であっても経営管理ビザの取得は可能です。しかし、ビジネスの立ち上げ当初に正規従業員を2名も雇用することは現実的でなく、条件に当てはまることは難しいでしょう。
結果的に、500万円の資本金を準備して申請に臨むのがスムーズといえます。
経営管理ビザ取得においては資本金(500万円)の出所が確認される
経営管理ビザを申請する際、用意した500万円の資本金について、どのようにして集めたのかを確認されます。
資本金の出所が立証できなければ経営管理ビザの取得は困難
経営管理ビザ取得にあたって資本金を提示する場合、その資本金をどのようにして集めたのかも説明できなければなりません。“見せ金”やマネーロンダリングの阻止のため、資金の出所を立証しなければ、経営管理ビザの取得は難しいといえます。
合法な方法で働いて自身で貯めた、金融機関から借りたなどの他に、さまざまなパターンがあるでしょう。こうした資本金500万円の出所の根拠を入管の審査で認めてもらうためには、資料や書類を用意する必要があります。
例えば、下記のような資料を提出するとよいでしょう。
●所得証明書
●海外への送金に関する通知はがき
●携行品・別送品申告書(税関)
●金銭消費貸借契約書
●本国の通帳
資本金を海外から持ち込み・送金する場合は事前に方法を確認
資本金500万円を海外から日本へ送金する場合や自身で持ち込む場合、事前に知っておかなければならないことがあります。
まず、100万円以上の現金を日本へ持ち込む場合、税関にて申告を行わなければなりません。申告した旨の証明書が必要になります。
また、人民元の持ち出し金額には制限があるため、中国人は特に注意しましょう。
さらに、送金時の為替レートによっては海外から送金しても500万円に満たない場合があり得ます。海外送金額の年間上限は5万ドルのため、必要な資金に満たないといった事態にならないよう、十分注意しなければなりません。
上記のように、思わぬ犯罪やトラブルとなってしまうケースもあるため、各国の規則について必ず自身で確認を行いましょう。
500万円を借り入れて申請することも可能
経営管理ビザの申請・取得にあたっては、借りたお金で資本金500万円を準備してもかまいません。しかし、審査の際は以下のように重要視される点がいくつかあります。
●融資を受けた際の契約書がある、または実態としてお金を借りた事実を証明できること
●今後継続して問題なく生計を立てられるような返済計画があること
●500万円の資本金を借りた先の資金について、根拠となる出所を証明できること
(※貸した人の資金の根拠を尋ねられる可能性があるため)
これらのポイントを押さえて審査に臨みましょう。
経営管理ビザ申請に関する注意点
経営管理ビザを申請する際は、資金以外にも注意しなければならないポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
1企業で2人以上が経営管理ビザを取得するには理由が必要
ひとつの企業の中で2人以上が経営管理ビザを取得したい場合には、それ相応の事実と理由が認められなければなりません。例えば以下のようなことを証明できるよう準備が必要です。
●仕事量(業務量)や事業の規模などを考慮し、各々の外国人が仕事や管理を行うことについて、その量や規模が妥当だと認められること
●事業内容、管理業務などについて、各々の外国人が担う仕事の内容が明確に決まっていること
●各々の外国人に対し、業務や仕事の対価として支払われる金額(報酬)が妥当な金額になっていること
上記の条件が満たされている場合には、1企業であっても2名以上の外国人に経営管理ビザの取得が認められる可能性があります。ただし、通常の経営管理ビザ申請よりも書類作成や説明の手間がかかると考えられるため、行政書士をはじめとした専門家のサポートを検討しましょう。
友人の会社に招聘されれば経営管理ビザを取得できる?
友人や知人、家族などの会社へ参画する場合、経営管理ビザの申請・取得が可能です。ただし、申請時の審査は厳しい傾向にあるため注意しましょう。申請時は、参画した本人が以下のような業務を行えるかどうかが判断されます。
●事業の業務執行を担う
●事業を運営する上での重要なことの決定あるいは会社の意思の決定等に関与する
つまり、「代表取締役」といった名目だけではなく、実際の重要な業務に携わっている必要があるのです。
会社の経営に関する実務経験は問われませんが、上記のような重要な業務を行うにあたって、未経験者では信憑性に欠けると判断される場合があります。
留学生は資本金形成のためのオーバーワークに注意
せっかく資本金500万円を準備したにも関わらず、違法なオーバーワークだったために在留資格が認められないケースがあります。特に留学生は労働時間に注意する必要があります。
留学ビザで在留している外国人には、労働できる時間は1週間に28時間以内という制限があります。これは入管法に定められており、規則を破っていた場合は違法となります。
オーバーワークによって500万円の資金調達を行った場合、入管法違法によって貯められた資金と判断され、ビザの取得は不可能です。
また、そもそも基本的には留学生は労働が認められていない点にも注意が必要です。留学生で労働して資金形成を行う場合、事前に「資格外活動許可」を取得してからアルバイトを行いましょう。
まとめ
2022年8月現在、経営管理ビザを申請するにあたっては、500万円の資本金が必要ではありません。しかし、資本金500万円未満の場合は2名以上の常勤スタッフを雇用しなければならず、日本でビジネスを新たに起こすケースでは現実的とはいえません。そのため、実質的には500万円を用意するのがスムーズといえます。
資金については出所の証明が必要です。知人から借りる場合は、貸主がどのように資金形成したのかまで問われるケースもあるため、入念な準備を行いましょう。
他にも、経営管理ビザの取得においては準備すべき書類が多くあります。さむらい行政書士法人では、日本でビジネスを始めたい外国人のサポート業務も承っております。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
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