駐在員事務所は法人格を持たないため営業活動できない?注意点などを解説
近年、日本の技術力や安定したビジネス環境を活かして、日本進出による事業拡大を狙う外国企業が増えてきました。
一方で、外国企業による日本進出は、言語や文化の違いによるトラブル、初期コストの負担や人材確保・雇用維持の難しさといったあらゆる問題も抱えています。
最近では海外進出する前に、事前の徹底した情報収集と現地に適した戦略の構築が必要になりつつあります。進出後の大きなトラブルを避けて「低リスク・低予算で日本進出に向けた準備を行いたい!」という外国企業によって、駐在員事務所の設置が多く用いられています。
ただし、駐在員事務所の設置は手続きが簡単な一方で、日本の市場調査や情報収集、広告宣伝などを行う際に、活動自体が大きく制限される形態でもあります。
そのため、「駐在員事務所では営業活動ができるのか」「駐在員事務所の開設における注意点」について、事前に情報を把握しておきたいとお考えの方も多いのでは?
本記事では、駐在員事務所における営業活動の有無や注意点、ほかの進出形態との違いについて解説します。
駐在員事務所を開設する方法や、ビザ取得の流れについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしながら、自社にふさわしい進出形態を見つけてくださいね!
駐在員事務所を日本で開設したい
駐在員事務所は手続きが簡単で、設置・撤去時の予算やリスクが低いことから、本格的な日本進出を目指す準備段階として、多くの外国企業が活用しています。
しかし、「営業活動ができない」など、活動が大きく制限される形態でもあるため、『支店』『子会社』といったほかの進出形態を検討している企業も多いですよね。
では、駐在員事務所を開設するメリットや、ほかの進出形態とはどのような違いがあるのでしょうか?
ここからは、駐在員事務所の特徴やメリット、他形態との違いについて解説します。
駐在員事務所とは?
駐在員事務所とは、外国法人が日本を拠点としてビジネスを展開する場合に、準備段階として設置されるものです。
市場・ニーズ調査に特化して情報収集を行えることから、日本進出に失敗するリスクを回避しながら、効率的に事業展開を目指せるのが魅力的です。
では、駐在員事務所にはどのような特徴があるのでしょうか?
次からは、具体的な活動内容やメリットについて、一緒にチェックしていきましょう!
駐在員事務所の目的
駐在員事務所を開設する目的は、日本市場やニーズを調査したり、出店先の現地調査などに活用し、日本進出するための足がかりとして設置するのが一般的です。
具体的には、以下のような活動を目的とする場合に設置が認められます。
- ・【市場調査】日本市場の動向や競合状況などを調査
- ・【情報収集】日本の法規制、商習慣、取引先の情報などを収集
- ・【広告宣伝】製品やサービスの認知度を高めるための宣伝活動
- ・【物品購入】事務所の設置や運営で必要となるものを購入
- ・【連絡事務】本社と日本の関係者との連絡窓口としての役割
- ・【その他の活動】セミナー開催、展示会への出店、現地企業との関係性の構築
外国法人から駐在員事務所に社員を派遣し、日本進出の適否を調査することとなります。
ただし、収入を伴う活動ができないため、本格的に事業展開をしていく場合は、支店や子会社を設立しましょう。
登記がなく法人格を持たない
駐在員事務所は日本進出における準備段階で、一時的に開設される拠点であることから、登記の手続きが不要です。
手続きが簡単で、設置や撤退時のリスクが低いことから、日本進出を目指す多くの企業が活用しています。
「日本進出に向けて、現地調査や現地企業と関係性を構築したい!」とお考えの企業は、駐在員事務所の設置を検討されてはいかがでしょうか。
法人格がないため、営業活動はできない
法的な手続きが不要な駐在員事務所は、設置が簡単な一方、収益を伴う営業活動は一切できません。
銀行口座開設や不動産の賃借ができないなど、駐在員事務所名義での直接契約ができません。そのため、日本で雇用される従業員においても、ビザ取得が困難になる可能性があります。
駐在員事務所の活動範囲を超えて、本格的に事業展開をしていく場合は、法人格を持つ支店や子会社を設立する必要があります。
駐在員事務所を開設するメリット
駐在員事務所を開設するメリットは、6つあります。
- ・登記の必要がないので手続きがすばやく進出しやすい
- ・設置や撤退も低コストで可能!市場・ニーズ調査などに活用できる
- ・外国企業の優秀な人材を即戦力として活用できる
- ・新たな人材採用にかかるコストを削減できる
- ・日本進出に失敗するリスクを軽減できる
- ・将来の事業展開に活かせる
次からは、駐在員事務所を開設するメリットについて、詳しく解説します。
登記の必要がないので手続きがすばやく進出しやすい
駐在員事務所を開設する最大のメリットは、ほかの進出形態よりも手続きが簡単で、すばやく設置できることです。
一般的に登記手続きが完了するまでの期間は、法務局の混雑状況によりますが、1週間から1ヶ月程度かかります。
申請が集中する年末年始や年度末や、申請書類の不備があれば、完了までにさらに時間を要するでしょう。
それに比べて、駐在員事務所は法人格を持たないため、法的な手続きもいらず、事務所用の不動産を確保して活動を開始すれば、事実上すぐに設置できます。
実態が伴っていれば、就労ビザ(企業内転勤ビザ)の取得も可能なため、自社グループから優秀な人材をすぐに配置することも容易です。
設置や撤退も低コストで可能!市場・ニーズ調査などに活用できる
駐在員事務所は登記が不要なため、登記費用がかからず、支店や子会社と比べて初期費用や維持費を軽減できます。
収入を伴う活動ができないことから、税金面での負担も少なく、かかった費用は本社で経費を負担する形で済みます。
初めから支店や子会社を設立するよりも、駐在員事務所を設置して市場・ニーズ調査などを徹底的に行う方が、失敗するリスクを軽減できるでしょう。
外国企業の優秀な人材を即戦力として活用できる
駐在員として即戦力となる人材を、1から募集をかけるのは、企業にとっても大きな負担となる可能性があります。
それに比べて、駐在員事務所は「企業内転勤ビザ」などを取得すれば、自社グループの実績がある優秀な人材を直接派遣でき、事業展開に即戦力としても活用できます。
外国人材にとっても、海外での実務経験が1年以上あれば駐在員として従事できます。そのため、社内のグローバルな人材交流を構築でき、柔軟なキャリアパスを描ける点でもメリットといえます。
新たな人材採用にかかるコストを削減できる
駐在員として新たな人材を採用する場合、採用ルートや条件によっては、ローカル採用よりも何倍もの費用がかかるケースもあります。
1から人材を募集するよりも、すでに実績のある既存の人材を活用できるため、採用活動にかかるコストや時間を削減できるでしょう。
「人材採用や設置にかかるコストを抑えながら、迅速に日本進出への準備を進めたい。」とお考えの方は、駐在員事務所の設置が最適です。
日本進出に失敗するリスクを軽減できる
外国法人が日本進出する際には、以下のようなリスクが考えられます。
- ・言語や商習慣、文化による壁
- ・現地の情報不足
- ・人材確保の困難さ
- ・取引先の信用不足
- ・サイバーセキュリティのリスク、など
駐在員事務所は日本進出を本格的に行う前に、市場調査と情報収集に特化して活動できるため、日本進出の失敗や事業開始後の大赤字での撤退リスクなども減らせます。
万が一、駐在員事務所での活動が上手くいかなかった場合でも、小規模で撤退できるため、柔軟な対応ができる点でもメリットのひとつといえます。
将来の事業展開に活かせる
駐在員事務所の設置は、営業活動ができない代わりに、現地市場の調査・情報収集を徹底的に行えることが最大の魅力です。
本格的な法人設立におけるリスクを回避しながら、現地のリアルタイムなビジネス環境を把握することで、将来的な本格進出の可否を判断できます。
情報収集や市場調査、マーケティング活動を通じて、将来の事業戦略に役立つ情報を得られる点でも大きなメリットと言えます。
ほかの進出形態に比べ、低コスト・低リスクで進出できるため、調査結果をもとに、本格的な営業活動が可能な支店や子会社の設立に繋げられるでしょう。
支店・子会社との違い
ここまで、駐在員事務所の特徴やメリットについてお伝えしました。
では、支店や子会社とは、どのような違いがあるのでしょうか?
まずは、駐在員事務所・支店・子会社の違いを表で比較してみましょう。
【駐在員事務所・支店・子会社の比較】
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駐在員事務所 |
支店 |
子会社(株式会社) |
|
|---|---|---|---|
|
設置目的 |
本格的な日本進出に向けた準備段階として、現地の情報収集などを目的とする |
低コストでの日本進出、長期的な営業活動、親会社の節税対策など |
日本市場での地位確立、市場開拓、売上増加など |
|
登記手続き |
不要 |
必要 |
必要 |
|
営業活動 |
不可 |
可能 |
可能 |
|
設立費用 |
なし |
10万円程度 |
約20万円+資本金 |
|
資本金 |
なし |
なし |
1円以上 (投資・経営ビザ取得の場合は、500万円以上) |
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代表・取締役の設置 |
不要 |
支店代表の設置 |
取締役1人以上 |
|
会計処理 |
なし |
本国所得との合算処理 |
日本法人の会計処理で完結 |
|
従業員の雇用 |
可能 |
可能 |
可能 |
|
社会保険の加入義務 |
従業員5人以上から |
義務 |
義務 |
|
就労ビザの取得 |
可能 |
可能 |
可能 |
支店との違いは?
駐在員事務所と支店の大きな違いは、3つあります。
- ・登記の有無
- ・営業活動の可否
- ・事業体として認められるかどうか
駐在員事務所は法的な手続きが不要、売上が発生する営業活動はできないのに対して、支店は登記の手続きが必須で、親会社の一部としてみなされます。メリットは以下の通りです。
- ・収入を伴う営業活動ができるため、収益をあげられる
- ・本社と同じ定款や社内規定をそのまま使えるため、定款の作成や認証などの手続きがいらず、費用を抑えられる
- ・資金の融通が利きやすく、赤字になっても本社の売上でカバーできる
- ・本社の所得から経費として計上できるため、本社の課税対象額を圧縮し、節税につなげられる
支店はあくまでも『外国会社と同一の事業体』となるため、日本支店で発生する債権・債務はすべて外国会社が負担することになります。
子会社との違いは?
続いて、駐在員事務所と子会社の違いをみていきましょう。
駐在員事務所と子会社の大きな違いは、3つあります。
- ・法人格の有無
- ・営業活動の可否
- ・責任の範囲
先ほどご紹介したように、駐在員事務所は法人格を持てないため登記が不要なのに対し、子会社は親会社とは別に、独立した法人格を持ちます。
支店は駐在員事務所と違って、日本で本格的な営業活動ができ、日本市場での地位確立や市場開拓、売上増加などを目指せます。
子会社を設置するメリットは、以下の通りです。
- ・利益を子会社に分散させることで、全体としての法人税額を軽減できる
- ・社会的な信頼性が向上し、取引先や金融機関からの信用を得やすくなる
- ・親会社の規模や実績に応じて、就労ビザの申請が有利になることがある
- ・自社グループの優秀な人材をそのまま活用でき、スムーズな事業承継や事業拡大を実現できる
ただし、子会社の事業活動を通じて債権債務が発生した場合は、子会社が責任を負うこととなり、外国企業には出資者としての責任が課せられる点に注意が必要です。
駐在員事務所の注意点
駐在員事務所はほかの進出形態と比べて、比較的簡単に設置できますが、4つの注意点があります。
- ・法人格を持たないため、事務所名で外部契約ができない
- ・保険の加入義務が従業員の採用によって異なる
- ・税務申告をしなくてはならない
- ・給与口座なども代表の個人名義で行う必要がある
次からは、駐在員事務所の開設にあたって、特に注意したいポイントを4つご紹介します。
法人格を持たないため、事務所名で外部契約ができない
駐在員事務所は法人格を持たないため、事務所名で外部契約ができません。
例えば、
- ・銀行口座の開設
- ・不動産の賃貸借契約
- ・従業員の雇用契約
上記は事務所名義で契約ができないため、「代表者の個人名義」もしくは「海外企業の本社名義」にするケースが一般的です。
保険の加入義務が従業員の採用によって異なる
駐在員事務所で従業員を雇用する場合、状況に応じて保険への加入義務が発生します。
|
【パターン①】 外国法人の本国で雇用され、日本の駐在員事務所へ派遣された場合 |
外国にて保険へ加入すること |
|---|---|
|
【パターン②】 駐在員事務所の代表者との間で、雇用契約を締結する場合 |
日本にて保険へ加入すること |
|
【パターン③】 日本国籍の者が日本で採用され、駐在員事務所で勤務する場合 |
日本にて保険へ加入すること |
なお、日本で勤務する従業員は、国籍を問わず「労災保険」「失業保険」への加入義務がある点に留意しておきましょう。
税務申告をしなくてはならない
駐在員事務所は収入を伴う活動ができないため、日本では法人税や事業税は対象外となります。
ただし、日本の駐在員事務所で働く従業員の給与には、所得税・住民税がかかります。そのため、税務署へ「給与支払事務所の開設届」を提出し、毎月の給与計算を行う必要があります。
確定申告についても、日本国内で勤務する者は申告が必要です。
駐在員事務所に申告義務はありませんが、駐在員個人は申告義務が発生する点を留意しておきましょう。
給与口座なども代表の個人名義になるので注意
駐在員事務所は法人格がないため、銀行口座の開設ができません。
そのため、給与口座や各種契約の口座は、「代表者の個人名義」もしくは「海外企業の本社名義」でなくてはならず、従業員の給与の支払いにおいても、同様の口座から行うことになります。
法人格を持たないことで、手続きがややこしくなることが多いため、代表者は給与のための口座の作成などの手続きが煩雑である点に注意しておきましょう。
駐在員事務所で働く外国人のビザについて
日本の駐在員事務所で働く外国人は、活動内容によって取得できるビザが3種類あります。
それぞれ取得条件や難易度も変わるため、以下の比較表を参考にしてください。
【駐在員事務所で働く外国人が取得できるビザの種類】
|
企業内転勤ビザ |
技術・人文知識・国際業務ビザ |
その他の就労ビザ (告示外特定活動ビザ) |
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|---|---|---|---|
|
特徴 |
海外の企業で働いている従業員が、日本の事業所に転勤・出向する際に必要となるビザ |
大学や専門学校で学んだ知識や技術を活かして、日本で働く外国人向けのビザ |
高度な専門性や特殊な業務に従事する場合に、法務大臣の裁量によって活動を認めるビザ |
|
取得条件 |
海外にある本店、支店、事業所などで継続して1年以上勤務していること、など |
①大学卒業、または日本の専門学校卒業すること ②学んできた専門分野と関連があること、など |
①駐在員事務所の業務内容に必要な専門知識やスキルを持っていること ②日本での滞在費用を自己負担できること、など |
|
在留期間 |
最長5年間 (期間限定であること) |
最長5年間 |
原則1年(更新可) |
|
報酬 |
日本人と同等以上の報酬を得ていること |
日本人と同等以上の報酬を得ていること |
日本人と同等以上の報酬を得ていること |
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難易度 |
比較的簡単 |
比較的難しい |
とても難しい |
駐在員事務所で働くには、「企業内転勤ビザ」を取得するのが最も使い勝手がよいですが、取得における要件がある点には注意が必要です。
企業内転勤ビザ
企業内転勤ビザは、外国法人で働いている従業員が、日本の事業所に人事異動で転勤や出向する際に必要となるビザです。
では、企業内転勤ビザにはどのような特徴があるのでしょうか?
次からは、企業内転勤ビザの概要や取得要件、注意点についてご紹介します。
概要
まずは、企業内転勤ビザの概要をチェックしていきましょう!
概要は、以下の通りです。
|
活動内容 |
技術・人文知識・国際業務ビザと同様の業務 |
|---|---|
|
在留期間 |
最長5年(期間が限定されていることが条件) |
|
家族の帯同 |
配偶者と子のみ可能 |
|
日本語能力 |
問われない(日本語能力試験N1、またはN2レベルあると望ましい) |
|
取得の難易度 |
比較的簡単 |
企業内転勤ビザは、ほかの就労ビザで求められるような学歴や実務経験が不要なことから、比較的取得しやすい就労ビザとなっています。
条件を満たせば家族の帯同も認められるため、慣れない日本での生活における不安が軽減され、駐在員としての業務に集中できるでしょう。
「自社グループから即戦力となる人材を派遣したい」という場合にも、企業内転勤ビザの活用が最適です。
取得要件
企業内転勤ビザの取得要件は、3つあります。
- ・外国にある本店、支店、事業所などで、転勤直前まで継続して1年以上勤務していること
- ・転勤前後ともに、「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する業務であること
- ・日本人と同等以上の報酬を受け取ること
上記①においては、子会社や関連会社などの勤務実績も合算できます。
転勤前後で従事する業務が関連する業務である方が、申請の必要性を裏付ける有利な事実となり、企業内転勤ビザを取得しやすいでしょう。
注意点
企業内転勤ビザは、派遣契約のような異なる法人間の契約には適用されません。
企業内転勤ビザの目的は「特定の日本法人における業務遂行」です。そのため、派遣の場合は不許可となる可能性が高くなります。
派遣で働く外国人は、派遣元の会社との雇用契約に基づいて、「技術・人文知識・国際業務」ビザなどの適切な在留資格を取得しましょう。
就労ビザ|技術・人文知識・国際業務ビザ
技術・人文知識・国際業務ビザは、大学や専門学校で学んだ知識や技術を活かして、日本で働く外国人向けのビザです。
学歴・職務経歴・日本語能力など、複数の要素が審査対象となるため、ほかの就労ビザよりも取得の難易度は高くなっています。
次からは、概要や取得要件をチェックしていきましょう!
概要
概要は、以下の通りです。
|
活動内容 |
①【技術業務】 理科系の分野(理学・工学・その他の自然科学など)の技術や知識を必要とする業務
②【人文知識業務】 文化系の分野(法律学・経済学・社会学・その他の人文科学など)の知識が必要となる業務
③【国際業務】 外国文化に基盤を持つ思考・感受性が必要となる分野 |
|---|---|
|
在留期間 |
最長5年間 |
|
家族の帯同 |
配偶者と子のみ可能 |
|
日本語能力 |
問われない(日本語能力試験N2レベル以上) |
|
取得の難易度 |
比較的簡単難しい |
取得要件
技術・人文知識・国際業務ビザの申請人本人の取得要件は、3つあります。
- ・学歴要件:日本または海外の大学卒業、あるいは日本の専門学校卒業以上の学歴
- ・実務要件:「技術・人文知識」分野では10年以上、「国際業務」分野では3年以上の実務経験
- ・職務内容と専攻分野の関連性
技術・人文知識・国際業務ビザは取得要件が難しいので、駐在員の仕事ではあてはまらないケースもある点に注意しましょう。
その他の就労ビザ
駐在員事務所で働くために取得できるビザは、上記のほかに2つあります。
【経営管理ビザ】
日本で経営者や管理者などの活動を行う場合に取得できるビザ
【告示外特定活動ビザ】
高度な専門性や特殊な業務に従事する場合に、法務大臣の裁量によって活動を認めるビザ
どちらも取得条件が複数あり、厳しい審査が行われることから、ビザ取得の難易度は非常に高めです。
とくに、告示外特定活動ビザは法務大臣の裁量によって判断されるため、駐在員事務所の設置という理由だけでは、取得が難しいでしょう。
駐在員事務所を開設する手続きとビザ取得の流れ
ここまで、駐在員事務所で働く外国人向けのビザについて解説しました。
「スムーズに駐在員事務所を開設して、日本進出に向けた準備を本格的に進めたい!」とお考えの企業の方も多いですよね。
次からは、駐在員事務所設置手続きの流れについて解説します。
外国人を雇う際のビザについて、注意すべき点についてもご紹介しますので、内容をしっかりとチェックして、スムーズに申請を済ませましょう!
駐在員事務所設置手続きの流れ
まずは、駐在員事務所設置手続きの流れをご紹介します。
手続きの流れは、以下の手順を参考にしてください。
1. 代表者の決定
2. 事務所の住所を決定・契約する
3. 滞在する外国人の在留資格を取得する
4. 事業届出書などの届出を行う
次からは、具体的な流れをチェックしていきましょう!
1.代表者の決定
外国企業が日本に駐在員事務所を開設する場合、まずは事務所の代表者を決めましょう。
【代表者の選出方法の例】
- ・パターン①:外国企業から駐在員事務所に派遣されて代表者になるケース
- ・パターン②:外国企業と業務委託契約を行った人が代表者となるケース
代表となる者は、日本人・外国人を問いません。
ただし、代表者に外国人を選出する場合、適切な在留資格(企業内勤ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ)を有している必要があります。
2.事務所の住所を決定・契約する
次に、駐在員事務所の住所を決定します。
短期滞在ビザなどで来日し、駐在員活動を行う独立した事務所を確保しましょう。
駐在員事務所は登記を行う必要がないことから、駐在員事務所の名義で銀行口座の開設や不動産の賃貸借契約の締結はできません。
代表者(日本人の方が無難)の個人名義や、外国企業の名義で契約を行いましょう。
3.滞在する外国人の在留資格を取得する
先程お伝えしたとおり、代表者に外国人を選出する場合は、在留資格の取得が必須です。
在留資格には「企業内転勤」「技術・人文知識・国際業務」があり、企業内転勤ビザの方が取得しやすいでしょう。
なお、日本で採用された外国人が就労制限のないビザ(永住者ビザ、日本人の配偶者等ビザなど)を有している場合は、上記のビザを新たに取得する必要はありません。
4.事業届出書などの届出を行う
日本の駐在員事務所で従業員を雇う場合は、雇用主が外国企業であっても、一定の条件のもとで、労働基準監督署への届出が必要となります。
|
条件 |
届け先 |
必要書類 |
|---|---|---|
|
従業員を雇う場合 |
税務署 |
給与支払事業所等の開設届出書 |
|
従業員が10人以上いる場合 |
労働基準監督署 |
就業規則の届け出 |
|
外国人従業員を雇用する場合 |
ハローワーク |
外国人雇用状況の届出 |
|
残業を行う場合 |
労働基準監督署 |
三六協定書の提出 |
|
健康保険や厚生年金保険に加入させる場合 |
年金事務所 |
被保険者資格取得届 |
ハローワークでは、「外国人雇用状況の届出」に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主の方への助言や指導、離職した外国人への再就職支援を行っています。
そのため、外国人従業員を雇用(離職)する場合は、すべての事業者が「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。
届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、「30万円以下の罰金」の対象となるため気を付けましょう。
外国人ビザを雇う場合
続いて、外国人を雇う際のビザについて、注意すべき点を確認します。
スムーズにビザを取得するために、あらかじめ確認しておきましょう!
企業内転勤ビザを発行するタイミング
企業内転勤ビザの取得要件では、以下の項目が求められています。
- ・転勤の直前に、海外の所属機関(本店、支店など)で1年以上継続して、日本で就労する予定の職務と同等の「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事していること
そのため、企業内転勤ビザは転勤の直前に発行しましょう。
企業内転勤ビザの必要書類は、勤務先の企業規模によって異なる
企業内転勤ビザ申請の必要書類は、勤務先の企業規模によってカテゴリーがわかれています。
ご自身が所属する機関がどのカテゴリーに該当するのか、カテゴリー区分や必要書類を事前に確認しておきましょう。
全カテゴリーに共通する必要書類は、以下の通りです。
- ・在留資格認定証明書交付申請書
- ・証明写真(縦4cm×横3cm)
- ・返信用封筒(切手を貼付)
【カテゴリー区分】
|
カテゴリー1 |
・日本の証券取引所に上場している企業 ・保険業を営む相互会社 ・日本又は外国の国・地方公共団体、など |
【申請人に関わる書類】 全カテゴリー共通の書類
【企業に関わる書類】 日本の証券取引所への上場が証明できる四季報や文書の写しなど |
|---|---|---|
|
カテゴリー2 |
前年分の源泉徴収税額1,500万円以上の企業 |
【申請人に関わる書類】 全カテゴリー共通の書類
【企業に関わる書類】 「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の写し(前年分) |
|
カテゴリー3 |
前年分の源泉徴収税額1500万円未満の企業 |
【申請人に関わる書類】 ①全カテゴリー共通の書類 ②履歴書(関連業務に従事したことがわかる機関・内容・期間が明示されたもの) ③海外の転勤元企業が発行した文書(転勤直前の過去1年間に従事していた業務内容・地位・報酬が明示されたもの)
【企業に関わる書類】 ①申請理由書 ②「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の写し(前年分) ③決算文書の写し( 直近年度) ④事務所の不動産賃貸借契約書の写し ⑤パンフレットやホームページ、会社案内の写しなど(主要取引先と取引実績がわかる沿革や役員、組織、事業内容などの詳細がわかるもの) |
|
カテゴリー4 |
カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人(新設会社など) |
【申請人に関わる書類】 ①全カテゴリー共通の書類 ②履歴書(関連業務に従事したことがわかる機関・内容・期間が明示されたもの) ③海外の転勤元企業が発行した文書(転勤直前の過去1年間に従事していた業務内容・地位・報酬が明示されたもの)
【企業に関わる書類】 ①申請理由書 ②事業計画書(新規事業の場合) ③開設届出書の写し(給与支払事務所などのもの) ④事務所の不動産賃貸借契約書の写し ⑤給与所得あるいは退職所得など、所得税徴収高計算書の写し(直近3ヶ月分) ⑥パンフレットやホームページ、会社案内の写しなど(主要取引先と取引実績がわかる沿革や役員、組織、事業内容などの詳細がわかるもの) |
事業所が変わったときはビザの変更は必要?
駐在員事務所の場所が変わった場合や、異動により日本国内の別の事業所に移る場合は、在留資格変更の申請が必須です。
手続きを怠った場合は、「不法就労助長罪」に問われる可能性があるため、忘れずに申請を行いましょう。
税金・保険の取り扱いに注意する
外国企業から送金される給与は、日本で確定申告し、税金を納めることになります。
保険においても、一定の条件のもとで、加入義務が発生する点に注意が必要です。
【保険手続きの加入義務】
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従業員数が5人未満の場合 |
従業員数が5人以上の場合 |
週20時間以上31日を超えて採用する従業員 |
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|---|---|---|---|
|
健康保険 |
任意 |
義務 |
義務 |
|
厚生年金保険 |
任意 |
義務 |
義務 |
|
労働保険 |
義務 |
義務 |
義務 |
なお、「週20時間以上、31日」を超えて採用する従業員は、雇用保険にも加入が必須です。
申請はできるだけ専門家におまかせしましょう
企業内転勤ビザは、比較的手続きが簡単な就労ビザです。
しかし、事業所開設を伴うケースでは、複雑な必要書類を短期間で作成する必要があり、ビザを取得するまでに時間がかかる可能性があります。
日本の公的な申請書類を集めるのは大変で、作成においてもすべて日本語での記載が求められます。
日本語や日本のルールに詳しくない場合は、書類作成や申請手続きに苦戦する方が多いのが現状です。
「自分だけで企業内転勤ビザの申請ができるか不安…。」と悩まれている方は、ビザに詳しい行政書士に任せるのがおすすめです。
ビザ専門の行政書士に依頼するメリットは、5つあります。
- ・難しい必要書類の収集や作成を一任でき、本来の業務に集中できる
- ・最新情報に詳しいため、スムーズに申請手続きができる
- ・経験が豊富なため、難しい案件でも許可をもらえる可能性がある
- ・申請手続きにかかる精神的・肉体的なストレスを回避できる
- ・申請手続きにおけるミスを回避できるため、ビザ取得までの期間が短くなるケースもある
ぜひビザ専門の行政書士に依頼して、企業内転勤ビザをスムーズに取得しましょう!
まとめ
今回は、駐在員事務所における営業活動の有無や注意点、ほかの進出形態との違いについて解説しました。
駐在員事務所は法的な登記手続きが不要なため、「手続きが簡単」「低コスト・低リスクで設置・撤退できる」というメリットがあります。
一方で、収入を伴う営業活動ができないため、本格的な日本進出を検討している場合は、『支店・子会社』の設置を行いましょう。
駐在員事務所の開設は、本格的な日本進出をする前の準備段階として、市場調査と情報収集に特化して活動できるため、日本進出に失敗するリスクを軽減できると言えます。
ほかの進出形態よりも低コスト・低リスクで進出できるので、本格的な営業活動が可能な支店や子会社の設立といった、将来の事業戦略にも役立てられるでしょう。
駐在員事務所を設置する場合は、「企業内転勤ビザ」の取得がおすすめです。
その理由は、以下の3つです。
1. 海外の事業所と雇用契約があるため、日本で新たな雇用契約を結ぶ必要がなく、申請許可を得やすい
2. ほかの就労ビザで求められるような学歴や実務経験が不要なため、比較的ビザを取得しやすい
3. 学歴要件を満たさない外国人でも、1年以上の海外での実務経験があれば日本で就労できる
ただし、企業内転勤ビザを取得するには、
①「外国会社(本店、支店、事業所など)で、転勤直前まで継続して1年以上勤務していること」
②「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当する業務であること」
③「日本人と同等以上の報酬を受け取ること」
これらが求められます。
「外国企業の優秀な人材を、事業展開の即戦力として活用したい!」
「採用活動にかかるコストや時間を削減しながら、日本進出を目指したい!」という場合は、企業内転勤ビザを取得しましょう。
ぜひ今回ご紹介した「駐在員事務所における営業活動の有無や注意点」を参考にして、日本進出を目指しましょう!
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
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経営管理ビザ
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許認可
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