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対内直接投資における事前届出についてわかりやすく解説

国や地域の経済を活性化するためには、対内直接投資を拡大していくことが望まれます。一方で、安全保障を脅かす取引を未然に防ぐ必要があるため、外為法により、事前届出または事後報告の提出が義務づけられています。

 

「外国人投資家」に当てはまる日本に居住していない個人が、日本での会社設立や日本企業への投資を行う場合、あるいは外国法人が日本に支社・子会社を設立する場合、行おうとする取引行為が

  • ・ 事前届出を必要とするか
  • ・ 事後報告で足りるか

この判断には、専門知識が必要となります。

 

定められている事前届出が必要な取引について届出を怠った場合、

  • ・ 取引が無効となる
  • ・ ペナルティを科される

などの不利益を被ることは避けられません。

 

また、事前届出書の記載に不備があると、審査に時間がかかったり、審査結果が不合格となる可能性もあります。

 

外為法関連業務を専門とする行政書士に相談することで、対象となる投資行為について事前届出の要否を的確に判断できます。

対内直接投資を検討されている外国人経営者の方は、必要な手続きを円滑に進めるため、ぜひ行政書士にご相談ください。

外為法(外国為替及び外国貿易法)とは?

外為法とは、海外投資家からの日本企業への投資を安全に運営するための法律で、日本が不利益を被らないように日本を守るためのものです。

 

経済産業省によると、「外為法は対外取引の正常な発展、我が国や国際社会の平和・安全の維持などを目的に、外国為替や外国貿易などの対外取引の管理や調整を行うための法律」と定められています。

 

ここからはさらに詳しく、どのような取引が外為法の対象となるかを解説します。

外為法について

外国人投資家による日本企業への投資が活発化されることにより、景気の向上や市場の拡大、モノやサービスの移動や向上などが大いに見込まれます。

 

一方で、日本企業が海外の投資家による影響で、我が国が不利益をこうむったり、市場を不作為に揺るがさないために、日本企業や日本の株式市場を守る必要があります。

そのために制定されているのが、外国為替及び外国貿易法(外為法:がいためほう)です。

 

ここでは、外為法及び外為法を管轄する機関についてご説明します。

日本と外国間の取引に適用される法律である

外為法(外国為替及び外国貿易法)は、為替や貿易など、日本と外国との間の資金や財・サービスの移動や外貨建て取引を規制する法律です。

 

この規制は、「安全保障」「国際収支の均衡及び通貨の安定」「我が国経済の健全な発展」などが規制する観点として取り上げられて制定されています。

外為法を管轄する機関は?

外為法は、財務大臣と経済産業大臣が所管し、対象となる取引分野によって財務省と経済産業省が管理しています。

  • ・ 支払等・資本取引等:財務省
  • ・ 対内直接投資等:財務省・経済産業省及び事業所管官庁
  • ・ 外国貿易:経済産業省

 

また、外為法に関する事務のうち、許可申請書・届出書・報告書の受理事務、国際収支統計の作成事務については日本銀行が取り扱っています。

外為法の対象となる取引

外為法の管理・調整対象となる取引として、以下の

  • ・ 8種類の対外取引
  • ・ これらの取引を決済するための支払い

が対象となります。

取引の種類

備考

1.支払手段等の携帯輸出・輸入

現金や小切手、有価証券等を携帯して海外に持ち出すこと

またはそれらを海外から持ち込むこと

2.資本取引

(対外直接投資を

含む)

主に資金の移動のみで物・サービスの移動を伴わない対外的な金融取引

例:預金・金銭の信託・金銭の貸借・債務保証・対外支払手段の売買・金銭債権の売買・証券の取得/譲渡・証券の発行/募集・不動産の取得

3.役務取引

サービス取引(労務・便益の提供を目的とする取引)

4.仲介貿易

外国相互間における貨物の移動を伴う貨物の売買取引

(日本と外国との間での貨物の移動を伴わない)

5.対内直接投資

外国投資家(外国法人等)による日本の会社への出資・金銭貸付や外国法人等による在日支店等の設置

6.特定取得

外国投資家が本邦の非上場会社の株式または持分を他の外国投資家からの譲受けにより取得すること

7.技術導入契約の締結

外国法人等が保有している工業所有権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)や技術情報(ノウハウ)等を居住者が取得したり使用許諾を受けたりすること

8.外国貿易

日本と外国との間における貨物の移動を伴う貨物の売買取引(輸出入)

対内直接投資とは?

「対内直接投資」とは、外国人投資家が国内企業に対して行う投資のことで、この投資によって、日本企業の実質的な経営の権利や影響力を持つような投資のことを指します。

 

本章では、さらに詳しく対内直接投資の定義や、対内直接投資に該当する取引の例、対内直接投資のメリット・デメリットなどを解説します。

対内直接投資の定義

対内直接投資とは、外国人投資家が国内企業に対して行う投資で、当該企業の経営に実質的に影響力を持つものをいいます。

こちらは「直接投資」になるため、投資を通じて経営に直接的にかかわり、参加することを目的としたものを指します。

 

ここでいう「外国人投資家」とは、以下の1~4のいずれかに該当する者を指します。(外為法第26条1項)

・1. 日本に非居住者である個人

・2. 外国法令に基づいて設立された法人
その他の団体または外国に主たる事務所を有する法人
またはその他の団体

・3. 上記1または2に該当する者の子会社

・4. 日本に非居住者である個人が、役員または代表権限を有する役員のいずれかの過半数を占める日本の法人その他の団体

対内直接投資の例

対内直接投資に該当する取引行為は、その取引行為によって、以下の可能性がある取引行為を指します。

  • ・ 投資先の会社の経営を支配しうる
  • ・ 投資先の会社経営に重要な影響を与える可能性があるとみなされる

 

具体的な内容は、外為法第26条2項に列挙されています。

こちらでは、外為法の「対内直接投資」にあたる、具体的な例をご紹介します。

国内の上場企業の株式を取得する

国内の上場企業の株式または議決権を取得し、出資比率または議決権比率が1%以上になる場合、対内直接投資に該当します。(外為法第26条2項3号)

 

この出資比率及び議決権比率には、当該取得者と密接関係者である外国投資家が所有等するものが含まれます。

 

※1 出資比率:所有する株式の数と一任運用(外国投資家が他者から委任を受けて株式を運用すること)の対象とされる株式を合計した株式数の、発行済株式総数に占める割合

※2 議決権比率:保有等議決権の数の、総議決権数に占める割合

※3 密接関係者:対内直接投資の投資主体と永続的な経済関係、親族関係その他の特別な関係にある者(外国投資家に該当する場合に限る)で、対内直接投資等に関する政令第2条19項1号~18号に該当する者をいいます。

国内の非上場会社の株式または持分を取得する

国内の非上場会社の株式または持分を取得することも対内直接投資に該当します。(同条2項1号)

※発行済株式または持分を他の外国投資家から譲り受ける場合は除きます。

居住者として取得した非上場会社の株式または持分の譲渡

個人が居住者であるときに取得した国内の非上場会社の株式または持分(1980年12月1日以降に取得したものに限る)を、非居住者となった後に外国投資家に譲渡する場合も対内直接投資に該当します。(同条2項2号)

外国投資家が国内の会社の重要な決定事項に同意する

外国投資家が、以下の事項について同意する場合、対内直接投資に該当します。(同条2項5号)

・ 国内の会社の事業目的の実質的な変更 ※1

・ 取締役もしくは監査役の選任にかかる議案 ※2

・ 事業の全部の譲渡等の議案 ※2※3

※1 上場会社の場合当該外国投資家が総議決権数の3分の1以上を保有している場合に限る

※2 上場会社の場合、当該外国投資家が総議決権数の1%以上を保有している場合に限る

※3 「事業の全部の譲渡等の議案」に含まれるのは、以下の事項にかかる議案です:事業の全部の譲渡・会社法第2条27号規定の吸収合併・会社の解散・事業の一部の譲渡・子会社の株式または持分の全部または一部の譲渡・会社法第454条1項(剰余金の配当)に関する事項・会社法2条28号に規定する新設合併・同29号に規定する吸収合併

国内に支店や工場その他の事業所を設置する

非居住者である個人または外国法人である外国投資家が、国内に支店、工場その他の事業所(駐在員事務所を除く)を設置することや、その事業所の種類や事業目的を実質的に変更することも、対内直接投資に該当します。(同条2項6号)

国内法人に対して1年を超える金銭を貸し付ける

国内法人に対して、以下の条件を満たす貸付を行う場合も、対内直接投資に該当します。(同条2項7号)

  • ・ 貸付の期間が1年を超えること
  • ・ 当該貸付後における、当該外国投資家から当該国内法人に対する貸付残高が1億円(相当額)を超えること
  • ・ 当該貸付後における当該外国投資家から当該国内法人に対する貸付残高と、当該外国投資家が所有する当該国内法人発行済社債の残高の合計額が、当該貸付後における当該国内法人の負債額の50%に相当する額を超えること

国内の会社の議決権行使権限の取得

他者が所有する上場会社等の株式にかかる議決権を行使できる権限または当該議決権の行使について指図できる権限を取得することも、対内直接投資に該当します。(同条2項4号)

 

ただし、これらの議決権行使または議決権行使について、指図する権限を取得するだけで、対内直接投資とみなされるわけではありません。

 

対内直接投資に該当するのは、「当該権限を取得した後の取得者の実質保有等議決権ベースの議決権比率が1%以上となる場合です。

※取得者の密接関係者である外国投資家の実質保有等議決権を含みます

 

当該権限の取得によって議決権比率が1%以上となれば、会社の経営に重要な影響を及ぼすとみなされるためです。

上場会社等の株式への一任運用

上場会社等の株式への一任運用により、実質株式ベースの出資比率または実質保有等議決権ベースの議決権比率が1%以上となる場合は、対内直接投資に該当します。(同条2項3号)

 

これらの出資比率や議決権比率が1%以上になることで、会社の経営に重要な影響を及ぼすとみなされるためです。

 

この場合の出資比率及び議決権比率には、当該一任運用者の密接関係者である外国投資家が所有等するものが含まれます。

他者が保有する国内の会社の議決権代理行使受任

他者が直接保有する国内の会社の議決権行使につき、当該他者を代理する権限を受任する場合、以下のアまたはイに該当し、かつ1~3のいずれにも該当していれば、当該受任は対内直接投資に該当します。

 

ア 上場会社等の議決権にかかる議決権代理行使受任であって、当該受任の後における受任者の実質保有等議決権ベースの議決権比率が10%以上となるもの

※この比率には、受任者の密接関係者である外国投資家の実質保有等議決権を含みます

 

イ 非上場会社の議決権にかかる議決権代理行使受任であって、議決権を直接に保有する外国投資家以外から受任した場合

  • ・1. 受任者が当該会社またはその役員でないこと
  • ・2. 受任によって得た権限を用いて議決権行使する議案が次のいずれかに該当するこ
  • ・ 取締役の選任または解任
  • ・ 取締役の任期の短縮
  • ・ 定款の変更(目的の変更にかかるもの)
  • ・ 定款の変更(拒否権付株式の発行にかかるもの)
  • ・ 事業譲渡等
  • ・ 会社の解散
  • ・ 吸収合併契約等
  • ・ 新設合併契約等
  • ・3. 受任者が自己に議決権の行使を代理させることの勧誘を伴う(受任者の勧誘によって議決権が委任された)こと

居住者として取得した国内非上場会社の議決権代理行使権限の委任

個人が居住者であるときに取得した国内非上場会社の議決権につき、非居住者となった後に外国投資家に代理行使権限を委任する場合、以下の1・2のいずれの要件も満たす場合は対内直接投資に該当します。

  • ・1. 受任者が当該会社またはその役員でないこと
  • ・2. 受任によって得た権限を用いて議決権行使する議案が次のいずれかに該当すること
  • ・ 取締役の選任または解任
  • ・ 取締役の任期の短縮
  • ・ 定款の変更(目的の変更にかかるもの)
  • ・ 定款の変更(拒否権付株式の発行にかかるもの)
  • ・ 事業譲渡等
  • ・ 会社の解散
  • ・ 吸収合併契約等
  • ・ 新設合併契約等

これは、外国投資家が、元居住者から会社の経営を左右する事項についての議決権代理行使権限を受任することで、当該非上場会社の経営に重要な影響を与える可能性があるためです。

対内直接投資のメリット

現在、多くの国・地域で対内直接投資残高のGDP比が増加傾向にあります。

対内直接投資にはリスクもありますが、国内の経済発展を実現する上で多大な効果が期待できるとされています。

 

一般的には、次のようなメリットがあると考えられています。

生産性の向上や雇用の創出をもたらす

対内直接投資により、経営ノウハウや技術、人材などの外国企業の高度な経営資源が流入し、投資先の企業の生産性の向上や雇用創出がもたらされることが期待されます。

 

海外の投資家が日本に参入することで、新しい経営指針や産業の発達・発展によって日本企業の成長を促す狙いがあります。

 

また、外国人の専門技術者不足への対応や、専門的な知見・ノウハウの蓄積などを得ることで、事業運営の安定化を図るなどの雇用・人件といった面にも影響があります。

地域経済の活性化につながる

個々の企業にとどまらず、地方自治体が対内直接投資を積極的に誘致することで、地域経済の活性化にもつながるでしょう。

 

対内直接投資の増加が地域経済の成長をもたらした例として、北海道のニセコ町が挙げられます。

ニセコ町は外国人の国際交流員などを通じて、地域の多文化共生や異文化理解、国際理解と推進などを測り、外国人観光客を増やすことなどに貢献しています。

対内直接投資の問題点は?

対内直接投資には、技術革新や雇用創出、地域経済の活性化などポジティブな効果が見込まれています。

 

一方で、対内直接投資には、以下のような問題点も指摘されています。

海外からの投資増加に伴う経済や安全保障上のリスク

海外からの投資増加によって、

  • ・ 【経済安保上のリスク】:技術・人材・個人情報の流出など
  • ・ 【安全保障上のリスク】技術の軍事転用・防衛装備品の供給途絶など

などが懸念されています。

【経済安保上のリスクが生じる取引の例】

例1)基盤技術の流出

A国の企業が、半導体製造技術を保有するB社に出資を行い、半導体製造技術の一部を取得。

A国で当該技術を利用して同等の製品を安価に製造可能となり、日本の製品が売れなくなり、日本の半導体産業が衰退。

A国からの輸入に依存するようになった。

例2)人材の流出

人工知能(AI)を研究するA国企業B社が、研究拠点として日本に子会社を設立。

当該子会社の社長として、日本企業C社の技術部長を就任させた。

のちにC社の重要な技術者を引き抜き、AI技術をB社に提供したことで、C社の技術競争力が失われ、B社やA国の技術競争力が向上した。

例3)個人情報等の流出

A国の監視カメラメーカーが、営業拠点として日本に子会社を設立。

子会社を拠点に各所に設置した監視カメラから映像データの入手・解析が行われ、政府要人や企業幹部を含む多数の個人情報がA国に漏れた。

A国はこれらの情報を自国の諜報活動や解析活動に利用した。

【安全保障上のリスクが生じる取引の例】

技術の軍事転用

A国が、軍事転用が可能な機械部品を製造する日本の工作機械メーカーB社を買収し、B社の有する機械部品の設計製造技術がA国に流出した。

A国は当該技術を武器等の設計製造に利用し、これによって日本の安全保障への懸念が増大した。

防衛装備品供給の途絶

A国のファンドが、防衛装備品を製造している日本国内のB社を買収。

A国のファンドはA国政府の支配下にあり、B社製品の卸先を日本国内ではなくA国への優先供給に切り替えたため、日本国内へのB社製品の供給が絶たれた。

さらに、代替品調達に難航したため防衛装備品を国内需要先に卸すことができなくなり、日本の防衛力低下を招いた。

海外と比較して日本の対内直接投資は低い水準にある

日本の対内直接投資は、諸外国と比較して、非常に低い水準にあることも問題とされています。

国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計によると、日本の2021年末の対内直接投資残高は0.35兆ドルで、GDP比はデータが公表されている201の国・地域の中で198位となっています。

 

日本の経済規模に比べて投資残高が極端に少ないことにより、対内直接投資残高の対GDP比が世界最低レベルとなっている現状にあります。

 

日本の対内直接投資が少ない理由は、以下の点が指摘されています。

  • ・ 英語でのコミュニケーションが難しいため、日本のビジネス環境の難易度が高い
  • ・ 日本の事業規制が厳しく、参入しづらい
  • ・ 解雇規制や、労働関係法令による硬直的な雇用法制により、積極的な事業再編を行う外国企業の進出を阻んでいる

このような背景から、日本の競争力を高めるためにも、日本の対内直接投資を増やしていく必要があるとみられています。

外為法で事前届出が必要な事業は?

外為法では、日本国内の企業の経営や株式変動に不作為な影響を与えて、日本の国防や安全を揺るがすことがないように、あらかじめ事前届出や事後報告が必要な事業所が定められています。

 

ここでは、対内直接投資を行う外国人投資家に対して、外為法が事前届出を義務づけている事業について解説します。

対内直接投資は事前届出や事後報告が必要

対内直接投資は、経済活性化や技術革新をもたらすメリットがある一方で、国家の安全にかかわるリソースが流出するリスクもあります。

 

そこで、外国投資家が、一定の事業を営む日本の会社に直接投資を行う場合、事前届出や事後報告が義務づけられています。(外為法第27条1項)

この、事前届出と事後報告をあわせて、「対内直接投資管理制度」と呼ばれています。

 

事前届出と事後報告のどちらが必要となるかは、投資先の業種によって決まります。

日本銀行を通じて事前届出が必要である

事前届出が必要な取引に該当する場合は、日銀を通じて事前届出を行う必要があります。

 

事前届出には、以下の規定があります。

  • ・ 日本銀行国際局(国際収支課外為法手続グループ)を通じて、財務大臣及び事業所管大臣に対して届け出る
  • ・ 当該取引を開始する日の6か月前から、届出が可能
  • ・ 事前届出を受理された日から、原則として30日間は対内直接投資を行うことができない(禁止期間:外為法第27条2項)

この禁止期間については、「国家の安全等重大な利益を損なう事態が生じる投資に該当しない」と判断された場合は、2~3週間程度に短縮されることがあります。

 

また、事前届出が不要な取引についても、原則として事後報告が必要となります。

【事後報告のみ必要な業種】

  • ・ 飲食業・食料品製造業
  • ・ 卸売業・小売業
  • ・ 美容業・理容業
  • ・ 出版業
  • ・ 建設業

 

ただし、以下の取引については、事前届出・事後報告のいずれも必要ありません。

  • ・ 相続、遺贈、株式無償割当て、取得条項付株式の取得事由の発生による株式等の取得
  • ・ 非上場会社の株式(または持分)を所有する法人の合併により、合併後存続する法人(または新たに設立される法人)が、当該株式/持分または当該株式/持分にかかる議決権を取得する場合における当該株式/議決権取得
  • ・ 株式の分割または併合により発行される新株(もしくは当該新株にかかる議決権)の取得または当該新株にかかる株式への一任運用

対内直接投資の事後報告の期限はいつ?

事前届出が不要な場合、原則として、対内直接投資を行った日から45日以内に事後報告を行う必要があります。

 

事後報告の届出先も、事前届出と同じ日本銀行国際局(国際収支課外為法手続グループ)です。

事前届出免除制度

事前届出免除制度とは、一定の免除基準を遵守することを前提として、対内直接投資の事前届出が免除される制度です。(外為法第27条の2)

 

対内直接投資の促進や、外国投資家の負担軽減を目的として、2020年5月の外為法改正により導入されました。

 

免除には、以下の2種類があります。

 

  • ・ 包括免除:一部の外国の金融機関が対象
  • ・ 一般免除:外国の一般投資家、または認証を受けたSWFなどが対象

 

どちらについても、免除されるためには一定の免除基準をクリアする必要があります。

詳しくご紹介していきます。

包括免除

投資主体のうち、事前届出免除の対象となる外国の金融機関が、事前届出の必要な業種を営む上場企業に対して対内直接投資を行う場合、事前届出が免除されることがあります。

 

この「包括免除」を受ける場合、投資先の業種がコア業種に該当するか否かを問わず、事前届出が不要となります。

 

ただし、以下の3つの基準を順守する必要があります。

  • ・ 外国投資家自身またはその密接関係者は役員に就任しない
  • ・ 指定業種(事前届出の必要な業種)の事業譲渡・廃止等を自ら株主総会に提案しない
  • ・ 指定業種にかかる非公開技術関連情報にアクセスしない

 

事前届出包括免除の対象となる外国金融機関は、以下のいずれかに該当する金融機関です。

 

対象となる外国金融機関

・日本において、業法に基づき規制・監督を受けている外国金融機関

・外国において、日本の業法に準ずる法令に基づき規制・監督を受けている外国金融機関

対象となる業態

証券会社・銀行・保険会社・運用会社・運用型信託会社・登録投資法人・金融商品取引法上の高速取引行為者

一般免除

外国の一般投資家または認証を受けたSWF等については、以下の基準をクリアすれば事前届出免除が認められます。

 

投資対象企業の業種

該当する業種

遵守すべき免除基準

コア業種以外

【国の安全等を損なうおそれがある業種』

・農林水産業

・皮革・皮革製造業

・燃料小売業

・倉庫業(石油備蓄業のみ)

・放送事業 等

・外国投資家自身またはその密接関係者は役員に就任しない

・指定業種(事前届出の必要な業種)の事業譲渡・廃止等を自ら株主総会に提案しない

・指定業種にかかる非公開技術関連情報にアクセスしない

(=外国金融機関の包括免除の免除基準と同じ)

コア業種

【国の安全等を損なうおそれ

が大きい業種】

・武器・航空機・宇宙・原子力

・レアアース

・医薬品・高度医療機器

・軍事転用可能な汎用貨物の製造業

・特定重要物資関連の製造業 等

上記の基準すべてに加えて、以下の基準すべてを遵守すること:

・重要な意思決定権限を有する委員会等に参加しない

・取締役会等に期限を付して提案を行わない

 

※外国の一般投資家:過去に外為法に違反した者または外国政府等やその被支配企業等以外の投資家

 

※認証を受けたSWF(Sovereign Wealth Fund):外国政府等やその被支配企業等のうち、財務省が国の安全等を損なうおそれがないことなどを審査し認証した外国ファンド

事前届出免除が厳しく規制される業種(コア業種)一覧

上記のように、遵守すべき基準(免除基準)を満たすことにより、事前届出の提出の免除を受けられる可能性があります。

 

ここでは、特に厳格な免除基準が定められている「コア業種」について、ご説明します。

コア業種とは

コア業種とは、事前届出が必要となる業種(指定業種)のうち、国家の安全を損なう恐れが大きいために重点的な審査が必要とされている業種を指します。

 

コア業種に該当する業種に関わる取引に対しては、コア業種に該当しない指定業種よりも厳格な基準をクリアしなければ、事前届出の免除を受けられません。

 

コア業種への投資を行う場合、前項の免除基準に加えて、「上乗せ基準」をクリアする必要があります。

コア業種一覧

コア業種には、次のような業種が含まれます。

  • ・ 武器に関する貨物の製造業・同機械修理業・同ソフトウェア業
  • ・ 航空機に関する貨物の製造業(ドローン製造業含む)・機械修理業・ソフトウェア業
  • ・ 宇宙開発に関する貨物の製造業・機械修理業・ソフトウェア業
  • ・ 原子力に関する貨物の製造業・機械修理業・ソフトウェア業
  • ・ レアアース等の重要鉱物資源の安定供給に関連する業種(金属鉱業等)
  • ・ 感染症に対する医薬品・高度管理医療機器製造業
  • ・ 軍事転用可能な汎用貨物の製造業
  • ・ 軍事転用可能な技術を保有する製造業・ソフトウェア業・自然科学研究所・機械設計業・商品非破壊検査業その他のサービス業
  • ・ 特定重要物資 ※関連の製造業
  • ・ 原油鉱業・天然ガス鉱業・石油精製業
  • ・ 集積回路製造業、半導体メモリメディア製造業、光ディスク・時期ディスク・磁気テープ製造業、電子回路実装基板製造業
  • ・ 電気業(一般送配電事業者、送電事業、発電事業者のうち最大出力5万kW以上の発電所を有するもの)
  • ・ ガス業(一般ガス導管事業者、特定ガス導管事業者、ガス製造事業者)
  • ・ 情報処理サービス業・ソフトウェア業(SOC、脆弱性診断サービス、デジタルフォレンジック、システムへのセキュリティサービス、ウイルス対策ソフトウェア、日本語キーロガーサービスに該当する者
  • ・ 同上(コア業種に該当する電気業、ガス業、石油精製業等のために用いるもの)
  • ・ 同上(100万人以上の者の個人情報を取り扱うためのソフトウェア業、情報処理サービス業)
  • ・ 石油備蓄業
  • ・ LPガス業(備蓄法に基づく指定を受けたもの)

※特定重要物資:経済安保推進法で、安定供給確保への支援を目的に指定された物資品目。

特定重要物資に関連する業種を外国投資のリスクから保護するため、外為法で特定重要物資関連の製造業が「コア業種」に追加されました。(2023年5月施行)

【特定重要物資関連の製造業の業種】

  • ・ 永久磁石・同素材の製造業
  • ・ 工作機械・産業用ロボット及び同部品の製造業
  • ・ 半導体部素材・同製造装置の製造業
  • ・ 蓄電池・同部素材及び同製造装置の製造業
  • ・ 第一次・第二次の製錬・精製業

【対内直接投資】事前届出の手順を解説

対内直接投資をする必要があるとなった場合、具体的にはどのような流れで手続きを踏めばよいのでしょうか。

 

こちらでは、対内直接投資の

  • ・ 事前届出の流れや手順
  • ・ 事前届出の様式と書き方

を具体的に解説します。

事前届出の流れ

対内直接投資の事前届出の流れは、次の通りです。

  • ・1. 日本銀行のHPから届出様式をダウンロードして届出を作成
  • ・2. 届出書を提出する
    (日本銀行国際局への郵送・持参またはオンライン※)
  • ・3. 日本銀行が届出書の形式面のチェックを行い、必要に応じて届出事業者に連絡をとる
  • ・4. 形式面のチェックが完了したら届出が受理され、受理番号が発行される
  • ・5. 対象となる事業を所管する省庁に届出が送られ、届出内容の審査が行われる
  • ・6. 審査完了後、日本銀行HP上で受理番号が公示された時点で取引が可能となる

 

届出の提出先は以下となります。

窓口

日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ

郵送

〒103-8660 日本郵便株式会社 にほんばし蔵前郵便局私書箱30号 
日本銀行国際局

国際収支課外為法手続グループ宛

オンラインシステム

事前に「利用申込書」を提出してから手続きを行う

https://www.boj.or.jp/about/services/tame/t-denshi/index.htm

【外為法における対内直接投資】事前届出に関するQ&A

ここでは、対内直接投資の事前届出に関してよくある質問を詳しくご紹介します。

  • ・ 「対内直接投資」と「対外直接投資」の違いとは?
  • ・ 対内直接投資に関する問い合わせ先
  • ・ 対内直接投資審査制度とは?

それでは、確認していきましょう。

対内直接投資と対外直接投資の違いは?

両者は、投資主体の居住地と投資対象企業の居住地に違いがあります。

 

  • ・ 対内直接投資:居住地が日本国外にある投資主体から、日本国内の企業に対して行われる直接投資
  • ・ 対外直接投資:日本を居住地とする投資主体から海外の企業に対して行われる直接投資

 

 

投資主体の居住地

投資対象企業の居住地

対内直接投資

外国

日本

対外直接投資

日本

外国

対内直接投資に関する問い合わせ先は?

対内直接投資に関する問い合わせ先は以下の通りです。

 

【財務省問い合わせ先】

財務省対日直接投資総合案内窓口

(INVEST JAPAN MOF)

財務省国際局調査課投資規格審査室

設置場所

〒100-8940

東京都千代田区霞が関3-1-1

電話番号

03-3581-8015(直通)

受付時間

月曜~金曜

9:30~12:00

13:00~17:00

 

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対内直接投資審査制度とは何ですか?

対内直接投資審査制度とは、外為法に基づいた外国投資家が、一定の業種を営む日本の企業に対して、株式取得等の一定の投資行為を行う場合において、事前提出を求め、所管省庁が審査を行う制度です。

 

この制度の目的としては、重要技術の流出による安全保障上のリスクや、日本企業の競争力低下などの経済運営上のリスクを防止するためのものです。いわば、日本の安全のために行われている審査制度です。

対内直接投資審査制度に該当する企業と該当の行為

この審査の対象となるのは、外為法で示されている「外国人投資家」の対内直接投資における、一定の日本企業への該当投資行為だけに与えられるものです。

 

一定の業種を営む日本の企業とは、以下に該当する企業になります。

  • ・ 武器・航空機・宇宙開発・原子力関連の製造業及びこれらの業種にかかる修理業、ソフトウェア業
  • ・ 輸出管理レジームの対象リストの汎用品の製造業、それらの設計・製造技術を保有する一定の業種
  • ・ 医薬製造業、高度管理医療機器製造業、情報処理サービス業、ソフトウェア業、電気業等(国内の子会社等が営む場合を含む)

 

対内直接投資審査制度に該当する直接投資等の一定の行為は、以下になります。

  • ・ 国内の上場企業の株式の取得で出資比率が1%以上となるもの
  • ・ 国内の非上場会社の株式または持分の取得
  • ・ 国内の上場企業の議決権の取得で議決権比率が1%以上となるもの
  • ・ 実質的な事業目的の変更(定款変更)・外国投資家の密接関係者の役員への就任、事業譲渡等の提案にかかる同意の議決権行使
  • ・ 支店の設置
  • ・ 国内法人に対する1年を超える期間の金銭貸付(一定の条件に該当する場合)
  • ・ 外国投資家が株式を取得した後で他の外国投資家から議決権の共同行使の同意を取得する場合(10%以上となるもの)

対内直接投資審査制度が行われるタイミングは?

対内直接投資審査制度に該当する外国人投資家などから事前届出が行われた後に、以下のように審査が行われます。

  • ・ 財務大臣及び事業所管大臣により審査される(対象となる事業を所轄する省庁の大臣)
  • ・ 届出にかかる取引等が国の安全保障の観点から問題がないか否かを審査する
  • ・ 審査期間は原則30日間
  • ・ 最長5か月間まで延長される(外為法第27条2号~6号)
  • ・ 審査結果の通知は原則として、申請受理から90日以内に行われる

審査不合格・届出違反に対する処分や罰則とは?

審査の結果、「国の安全等の重大な利益が損なわれる恐れがある」と認められた場合、投資の変更・中止を勧告する場合があります。

こちらは、財務大臣または事業所管大臣が、財務省に設置された「関税・外国為替等審議会」の意見を聞いた上で決定されます。

 

届出者が変更・中止の勧告を承諾しない旨を通知した場合、財務大臣及び事業所管大臣は変更・中止の「命令」を発令できます。

命令に従わずに投資行為を行った場合、「違反行為の目的物の価額の3倍の額または100万円のうち多い方の額」の罰金が科される可能性があります。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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