【外為法】対内直接投資における事後報告について解説
外為法の手続きが必要な方の中には、
「外為法とは?」
「対内直接投資とは?」
「事前届出と事後報告とは?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、対内直接投資における事後報告について詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
外為法(外国為替及び外国貿易法)とは?
ここでは、外為法の基本情報について見ていきましょう。
外為法の概要
外為法とは、日本における外国為替取引や外国貿易に関する法律です。
正式には「外国為替および外国貿易法」と呼ばれ、1949年に制定されました。
外為法は、対外取引の正常な発展、日本や国際社会の平和と安全の維持を目的としています。
具体的な内容は、下記のとおりです。
- ・ 外国為替の管理と調整
外国為替市場の安定を維持するために、外国通貨との取引についての規制を定めています。
例えば、外貨の売買・大きな金額の送金などの取引が対象です。
- ・ 輸出と輸入の管理と調整
特定の貨物や技術の輸出・輸入に規制を定めています。
例えば、危険物や軍事技術の輸出などの取引が対象です。
- ・ 資本取引の管理と調整
外国投資家が日本の企業の株式を購入したり、日本から海外に資本を移動したりする際の規制を定めています。
- ・ 経済安全保障の強化
特定の国や企業が、日本の技術や資源を不正に取得することを防ぐための規制が定められています。
外為法で報告義務のあるものは?
取引の内容によっては、報告義務があるものがあります。
外為法が報告を義務付けているのは、経済安全保障を強化するためです。
健全な投資を促進しつつ、国の安全に関わる技術などの流失を防ぐために、一定の取引をする場合に、事前届出や事後報告を求めています。
報告義務があるのは、下記のような取引です。
- ・ 外国為替の取引
例えば、一定の金額を超える外貨の取引や海外送金などです。
- ・ 外国投資
例えば、外国人投資家が日本企業の株式を取得するケースなどです。
- ・ 製品や技術の輸出
国家の安全保障や国際条約に基づく規制を遵守するために、海外へ特定の製品や技術を輸出するケースでも、報告の義務があります。
- ・ 外国との貿易取引
例えば、一定の金額を超える外国との貿易契約や取引などです。
対内直接投資とは?
ここでは、対内直接投資について見ていきましょう。
外国企業が日本国内に対して行う投資のこと
対内直接投資は、外国人投資家が日本国内の企業の経営に影響力を持つような投資です。
例えば、下記のような取引は、対内直接投資に当てはまります。
- ・ 日本の上場会社の株式や持分の取得
- ・ 日本の非上場会社の株式や持分の取得
- ・ 日本の会社の事業目的の実質的な変更の同意
- ・ 日本に事務所を設置、または種類や事業目的の実施的な変更
- ・ 一定の金額を超える金銭の貸付
- ・ 居住者からの事業の譲受け、吸収分割および合併による事業の承継
- ・ 出資証券の取得
- ・ 議決権代理行使受任
- ・ 議決権行使等権限の取得
ここで言う外国人投資家とは、下記のように定義されます。
- ・ 1.非居住者の個人
日本に住所、または居所を有する居住者以外の個人です。
- ・2. 外国法人
海外の法令に基づいて設立された法人・そのほかの団体、または海外に主たる事務所を有する法人・その他の団体です。
- ・3. 上記1.および2.が、直接または間接に議決権の50%以上を持つ子会社や孫会社
- ・ 4.非居住者の個人が役員または代表権限を持つ役員の過半数を占める日本の法人・そのほかの団体
対内直接投資の意義
対内直接投資の意義は、下記のとおりです。
海外の高度な技術や人材が日本国内に流入する
対内直接投資は、海外の企業の高度な技術や優秀な人材が日本に流入する機会を増やします。
日本の企業は、技術力を高められるので、競争力の強化が可能です。
加えて、優秀な人材が日本の企業に流入すれば、人材のスキルアップや育成も進みます。
人材のスキルが向上することで、産業全体のレベルアップにもつながります。
日本国内の雇用を生み出す
対内直接投資は、新規企業の設立や既存事業の拡大を通じて、日本国内の雇用の創出が可能です。
海外の企業が日本に新規企業や支店などを設立すると、その地域での雇用の機会が生まれます。
雇用の機会が増えれば、地域経済が活性化するので、経済成長の発展にもつながります。
対内直接投資には事前届出や事後報告が必要
ここでは、対内直接投資における「事前届出」と「事後報告」について見ていきましょう。
外為法では、外国投資家の対内直接投資が日本の安全保障を脅かす恐れがないかを審査するために、事前届出や事後報告を義務付けています。
コア業種の例
事前届出の対象業種のうち、日本の安全に関わる対内直接投資に当てはまる恐れが大きい業種は、コア業種として指定されます。
コア業種の例は、下記のとおりです。
- ・ 製造業(武器・航空機・宇宙開発・原子力など)
- ・ 武器・航空機・宇宙開発・原子力の機械修理業
- ・ 武器・航空機・宇宙開発・原子力のソフトウェア業
- ・ 核原料物質に係る金属鉱業
- ・ 軍事転用可能な汎用貨物の製造業
- ・ 軍事転用可能な製造業・ソフトウェア業・自然科学研究所・機械設計業・商品/非破壊検査業・そのほかの技術サービス業
- ・ 感染症に対する医薬品・高度管理医療機器製造業
- ・ レアアースなどの重要鉱物資源の安定供給に関連する業種
- ・ 原油鉱業・天然ガス鉱業
- ・ 石油精製業
- ・ 集積回路製造業・半導体メモリメディア製造業・光ディスク/磁気ディスク/磁気テープ製造業・電子回路実装基板製造業
- ・ 電気業
- ・ ガス業
- ・ 情報処理サービス業・ソフトウェア業
- ・ 石油備蓄業
- ・ LPガス業
事後報告が必要なケース
事前届出に当てはまらない対内直接投資のケースでは、事後報告をしなければなりません。
具体的には、下記のケースです。
- ・ 外国投資家の国籍および居住国が、日本または直投命令別表1に掲げる国・地域である
- ・ 投資先が営む事業が指定業種以外である
- ・ イラン関係者により行われる告示第1号に掲げる行為以外のもの
外為法では、取引の正常な発展や、国際収支の均衡および通貨の安定のために、取引の当事者に対して事後報告を義務付けています。
例外として、下記のケースでは事後報告が不要です。
- ・ 株式や持分などの相続・遺贈による取得
- ・ 事後報告業種の非上場会社の株式取得で、議決権比率が密接な関係者と合わせて10%未満
事前届出が不要でも原則45日以内に事後報告が必要
事後報告は、取引や行為を行った日から45日以内にしなければなりません。
外国人投資家が日本に非居住の場合は、居住者である代理人が手続きを行います。
手続き方法や書類の様式については後述するので、ぜひ参考にしてください。
事後報告は日本銀行を通じて行う
事後報告は、日本銀行を通じて、財務大臣および事業所管大臣に対して行います。
書類の提出方法は、下記の3パターンです。
- ・1. 日本銀行の窓口
日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ(50番窓口)
- ・2. 郵送
〒103-8660
日本郵便株式会社 にほんばし蔵前郵便局私書箱30号
日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ宛
- ・3. オンラインシステムを利用
● 事後報告の様式や記入例
報告書の様式や記入の手引きは、https://www.boj.or.jp/about/services/tame/t-redown2014.htm(報告書様式および記入の手引き)からチェックできます。
報告内容によって、使用する書類が異なるため、間違いのないように注意してください。
郵送により「報告書控」を希望する方は、返信用封筒に宛名を記入し、返信用の郵便切手を添付して送付してください。
「報告書控」への押印は、取引内容の真正性を証明するものではないため、注意しましょう。
【外為法】対内直接投資における事後報告Q&A
ここでは、対内直接投資における事後届出のQ&Aについて見ていきましょう。
外為法による対内直接投資の事後報告とは?
外国人投資家は、日本国内に対して行った直接投資について、取引後にその内容を報告しなければなりません。
事後報告は、国家安全保障や経済の安定性を維持する目的があり、外国の資本が日本経済に与える影響を監視する役割を担う手続きです。
対内直接投資の報告期限はいつ?
報告の期限は、事前か事後かで下記のように異なります。
- ・ 事前届出:取引や行為を行おうとする日の前6カ月以内です。
- ・ 事後報告:取引や行為を行った日から45日以内です。
届出や報告は義務のため、期限内に必ず行いましょう。
外為法で報告漏れの罰則は?
外為法では、報告義務に違反した場合に罰則を設けています。
違反内容によって規定は異なりますが、例えば下記のような罰則に処されるため、注意しましょう。
- ・ 「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科」
- ・ 「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」
まとめ
この記事では、外為法の対内直接投資における事後報告について解説しました。
外国人投資家が対象の取引をした場合、事前届出または事後報告をする義務があります。
外為法は制度が複雑で、どの手続きが必要なのかの判断が難しいです。
事前届出・事後報告のどちらにも期限があるため、計画的な準備をしましょう。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
外国人会社設立・支店設置
経営管理ビザ
経営管理ビザ
許認可
許認可
会社運営サポート
会社運営サポート
ご利用案内
ご利用案内
サイト運営者
サイト運営者












