スタートアップビザの制度とは?分かりやすく解説
外国人の方が日本で起業をするには「経営・管理」の在留資格が必要ですが、要件が厳しく、取得の難易度は高いとされています。スタートアップビザ制度を利用すれば、取得までのハードルを下げることが可能です。
スタートアップビザの取得を考えている外国人の方の中には、
「スタートアップビザ制度とは?」
「対象の自治体と事業は?」
「取得の方法は?」
と疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、スタートアップビザ制度について詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
スタートアップビザ制度とは
スタートアップビザとは、短期間で成長を目指す会社を起業する外国人を対象に、一時的な在留資格を認めるビザを指します。
近年、欧州や南米を中心に世界中で整備が進んでいる制度の1つです。国際的な潮流に乗って、日本でも一部の地域で取り入れられています。
制度の概要
日本のスタートアップビザは、外国人の方が起業に向けた準備をするために、一時的な在留資格を与える制度です。
内閣府の「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」と経済産業省の「外国人起業活動促進事業」が管轄となって運営しています。
管轄 |
内閣府 |
経済産業省 |
---|---|---|
制度の開始 |
2015年7月 |
2018年2月 |
在留資格 |
「経営・管理」 |
「特定活動」 |
在留期間 |
6カ月 |
最長1年(6カ月で更新) |
証明書 |
創業活動確認証明書 |
起業準備活動確認証明書 |
対象地域 |
10自治体(2021年8月時点) |
16自治体 |
上記どちらかの制度を利用すれば、起業をする際の準備期間として、6カ月間の「経営・管理」もしくは最長1年間の「特定活動」が得られます。
取得のメリット
通常、外国人の方が日本で起業をするには「経営・管理」の在留資格が必要です。しかし、「経営・管理」の取得要件は厳しく、申請のハードルは高いと言えます。
例えば、事業所の確保・500万円以上の資本金や出資金・2名以上の常勤職員の雇用などの要件を満たしていなければいけません。
今まではすべての要件を満たし、会社設立の準備が整った状態でなければ申請ができませんでした。スタートアップビザを利用すれば、本来の「経営・管理」に必要な要件が整っていなくても、一時的な在留期間が得られます。
ただし、あくまでも創業のための準備期間を作るのが目的です。就労などの報酬を得る活動はできないため、注意してください。
スタートアップビザ取得の要件
スタートアップビザは「経営・管理」の取得を目的としているため、最終的に「経営・管理」の要件を満たせる見込みがあるかが重要なポイントです。
「経営・管理」の要件は以下のとおりです。
- ・事業を営むための事業所が日本に存在する
事業が開始されていない場合は、その事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されている
- ・申請に係る事業の規模が以下のいずれかに当てはまる
1.経営または管理に従事する者以外に、日本に居住する2名以上の常勤職員がいる
2.資本金の額または出資の総額が500万円以上
3.上記1・2に準ずる規模であると認められる者
審査ポイントは以下のとおりです。
- ・「経営・管理」の要件を満たす見込みがある
- ・事業の内容が具体的である
- ・起業準備の計画が具体的に決まっている
- ・日本滞在中の生活費が賄える
スタートアップビザ制度の対象自治体と事業
内閣府の「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」を取り入れているのは、2021年8月時点で以下の10自治体があります。
東京都・神奈川区・京都府・新潟市・福岡市・北九州市・仙台市・愛知県・広島県・今治市
以下は、経済産業省の「外国人起業活動促進事業」を取り入れている自治体と対象事業をまとめた表です。
自治体 |
対象事業 |
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新潟県 |
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1.次世代輸送用機器 2.健康・医療 3.新農業 4.環境・エネルギー 5.光・電子 6.デジタル 7.ロボティクス
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※各自治体のホームページを参照
多くの自治体が、地域の国際競争力の強化や雇用の拡大が期待できる産業を対象としています。
日本だけではなく海外でも、経済成長や雇用の拡大の観点からスタートアップビザを取り入れている国は多いです。
例えば、少子高齢化が進むカナダでは、外国人起業家が経済成長や雇用拡大のキーパーソンとされています。外国人起業家に対して永住権の付与を認めており、期待値の高さがうかがえます。
スタートアップビザを取得するには?
対象地域によって利用できる制度は異なります。開業場所を決めてから、手続きの準備を進めるようにしてください。
ここでは、手続き方法について見ていきましょう。
自治体に連絡し、事業計画など書類を提出する
起業を決めたら、開業予定の自治体に申請をしなければいけません。
必要書類を集めて、各自治体の受付部署に提出をしてください。
提出書類は以下のとおりです。
自治体によって必要書類が異なるケースもあるため、事前にホームページなどでチェックしておきましょう。
- ・起業準備活動確認申請書(内閣府の制度を利用する方は、創業活動確認申請書)
- ・起業準備活動計画書(内閣府の制度を利用する方は、創業活動計画書)
- ・申請者の履歴書
- ・誓約書
- ・上陸後または在留資格の変更後1年間の申請者の住居を明らかにする書類
- ・陸後または在留資格の変更後1年間の申請者の滞在費を明らかにする書類
- ・卒業証書の写し・就労証明書など
- ・申請者のパスポート
起業準備活動確認証明書が発行されたら入管へ提出
審査で認められれば、「起業準備活動確認証明書」が交付されます。
内閣府の制度を利用する方は、「創業活動確認証明書」が交付されます。
受領した証明書を出入国在留管理局へ提出し、在留資格の認定申請をしてください。
認定されれば、創業の準備期間として「経営・管理」または「特定活動」が得られます。
起業ができればビザを更新する
「特定活動」の場合は、最初に付与される6カ月を過ぎたら、期間の更新が可能です。起業する見込みが認められる方は、さらに6カ月の期間が与えられます。更新ができれば、最長で1年間を起業の準備に充てられる計算です。
6カ月または1年の期間で起業の準備を終え、要件を満たせるようになったら、正式に「経営・管理」の手続きを行ってください。
まとめ
この記事では、スタートアップビザ制度について詳しく解説しました。
スタートアップビザは、日本で起業する外国人に一時的な在留期間を与える制度です。
自治体によって特徴や対象事業が異なるため、注意してください。
手続きをお考えの方は、各自治体のホームページで詳細をチェックしてから行いましょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
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