技人国ビザから経営管理ビザへの変更申請方法と必要書類を解説
技術・人文知識・国際業務ビザから経営管理ビザへ変更するためには、どうすれば良いのだろう。今回は、そういった疑問にお答えします。ビザの変更申請方法から、必要な書類までを丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
技術・人文知識・国際業務ビザと経営管理ビザの特徴と違い
技術・人文知識・国際業務ビザは、企業と契約をして業務を行うことを許可された在留資格です。それぞれの頭文字をとって「技人国ビザ」と略されます。
経営管理ビザは会社の経営や、役員として管理業務を行うことを許可された在留資格です。日本で起業する際は、経営管理ビザが必要になります。
技人国ビザを取得している方が会社を経営する場合、技人国ビザの資格外の活動になるため、経営が活動内容に含まれている経営管理ビザに変更をしなければいけません。
経営管理の仕事が一部の業務に含まれているが担当者に対して業務量が少ない場合は、安定性や継続性が証明できず、経営管理ビザの必要性が認められないこともあります。そういった場合は、技人国ビザの要件を満たしていることで業務を行うことができる可能性があります。
技術・人文知識・国際業務ビザのまま会社を経営することは不法就労になる
技人国ビザを取得している方が会社の経営を行う場合、経営管理ビザへ変更をしなければいけません。ビザの変更をせずに経営を行うことは、資格外活動と見なされ不法就労として摘発される可能性があります。
技人国ビザは、企業と契約して働くことができるビザです。そのため、会社経営をすることや会社経営を目的で在留資格外の活動を行うことはできません。会社経営をする際は、先に経営管理ビザへ変更を行ってから始めるようにしましょう。
在留資格の期間が残っているからという理由でそのまま会社経営を始めてしまうと、その後に変更申請をしても不許可になり、現在のビザが取り消されます。こういったことにならないように、正しい手順で申請を行うようにしましょう。
経営管理ビザへ変更するときは、タイミングが大切です。勤務先の会社を辞めてから手続きや準備を行うこともできますが、辞めてから変更までの期間が在留資格の活動をしていない期間になってしまいます。技人国ビザは、3ヶ月以上の活動期間がない場合、資格が取り消しになることもあります。
取り消しにならないためにも、会社設立の手続きや準備を会社を辞める前に済ませることをおすすめします。
技術・人文知識・国際業務ビザから経営管理ビザへの変更の流れ
会社を経営するために技人国ビザから経営管理ビザへの変更は、どういった手順で行われるのでしょうか。ここでは、変更の流れを順番にご説明します。
会社設立
新設会社の経営をするために経営管理ビザへ変更するためには、会社を設立しなければいけません。個人事業主として取得することも可能ですが、審査は厳しくなります。
会社を設立するには、事業を行う事務所や店舗を用意し、設立に必要な費用を準備する必要があります。事業を行う場所や資本金に関しては、経営管理ビザを取得する際にもチェックが入りますので一時的に事業所を借りたり、資本金の出どころを誤魔化したりすることのないようにしましょう。
税務署や役所への届出を行い会社の設立登記が完了後、許認可が必要であれば許認可の取得、必要なければ経営管理ビザの申請へ進みます。
許認可が必要な場合は取得
経営する業種によっては、営業の許認可が必須になります。許認可とは、特定の事業を行うために警察署、保健所、都道府県などの行政機関から取得しなければいけない許可・認可のことです。
許認可には「届出」・「登録」・「認可」・「許可」・「免許」の5つの区分があります。区分は業種によって決められ、審査の厳しさや資格の有無などが異なります。日本で経営をする場合、1万種類以上のビジネスで許認可が必要です。
外国人が日本でビジネスをするときに、取得することが多い許認可は下記になります。
•マッサージ店
•旅行業
•飲食店
•リサイクルショップ
•中古自動車貿易
•人材紹介派遣業
•建設業
•不動産業
仕事内容によっては、一定数の有資格者を事務所におかなければいけません。飲食店であれば食品衛生責任者、不動産業であれば宅地建物取引士などの資格が必要になります。ビジネスによって異なりますので、適切な人材を揃えることが不可欠です。
原則として経営管理ビザを申請する前に許認可を得なければいけませんが、どうしても経営管理ビザを取得した後でなければ取得できない場合、入国在留管理局や申請先の役所と相談した上で進めていくことも可能です。
経営管理ビザの申請
会社の設立と許認可の取得が完了すれば、次は経営管理ビザの申請です。審査期間は申請が受理されてから1〜3ヶ月かかります。入国管理局が忙しい時期や、追加で書類の提出が必要になると3ヶ月以上の期間がかかってしまう可能性があります。
仮に不許可になってしまった場合、再申請の審査は厳しくなります。不許可になった理由を入国管理局に聞くことはできますが、事細かく説明してもらえるわけではないようです。そのため、不許可になった理由を予想し、質問ができるように準備をしておくことが大切です。
不許可になる可能性はゼロではありません。必要な書類をしっかりと準備し、申請に臨むようにしましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザから経営管理ビザへ変更申請するための必要書類
技術・人文知識・国際業務ビザから経営管理ビザへ変更申請するために必要な書類は、申請人によって異なります。ここでは、共通して必要な書類やカテゴリーによって必要になる書類などをご説明します。
共通して用意する書類は、下記になります。
•在留資格変更許可申請書
•証明写真(縦4cm×横3cm)
•返信用封筒(定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を添付)
•パスポート及び在留カード
•申請理由書
申請理由書を提出する場合は、経歴・起業の理由・出資金の形成過程の説明・共同経営者と知り合ったきっかけ・共同経営者との役割分担・起業準備中に行ったこと・自分の強み・経営にかけるいきごみ・会社の概要・将来の事業展望などを記入すると良いでしょう。
カテゴリー1に該当する所属機関の場合、必要になる書類は下記のいずれかになります。
•四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
•主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
•高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する補助金交付決定通知書の写しなどの文書
•上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する認定証等の写しなどの文書
カテゴリー2に該当する所属機関の場合、必要になる書類は下記のいずれかになります。
•前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
•在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
カテゴリー3、4に該当する所属機関の場合、必要になる書類は下記になります。
•前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
•申請人の活動内容等を明らかにする次のいずれかの資料
■日本法人である会社の役員に就任する場合
•役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
■外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
•地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書(派遣状、異動通知書等)
■日本において管理者として雇用される場合
•労働基準法第15条第1項及び同法試行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書(雇用契約書等)
•日本において管理者として雇用される場合、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有することを証する文書
〇関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書
〇関連する職務に従事した期間を証明する文書(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む)
•事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
〇当該事業を法人において行う場合には、当該法人の登記事項証明書の写し(法人の登記が完了していないときは、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し)
〇勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む)等が詳細に記載された案内書
〇その他の勤務先等の作成した上記に準ずる文書
•事業規模を明らかにする次のいずれかの資料
〇常勤の職員が2人以上であることを明らかにする当該職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票その他の資料
〇登記事項証明書 ※事業内容を明らかにする資料として提出していれば提出不要
〇その他事業の規模を明らかにする資料
•事業所用施設の存在を明らかにする資料
〇不動産登記簿謄本
〇賃貸借契約書
〇その他の資料
•事業計画書の写し
•直近の年度の決算文書の写し
カテゴリー4に該当する場合、上記に加えて下記の書類が必要になります。
■前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料
〇源泉徴収の免除を受ける機関の場合
•外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
〇上記を除く機関の場合
•給与支払事務所等の開設届出書の写し
■次のいずれかの資料
〇直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)
〇納期の特例を受けている場合は,その承認を受けていることを明らかにする資料
この他にも、飲食店を開業する場合は営業許可のコピーやメニューのコピーなどが提出する書類として求められることもあります。審査の際に追加で書類の提出をしなければいけなくなると、審査が遅れてしまう可能性もありますので、不安な方は専門家に相談しましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザから経営管理ビザへの変更の注意点
技人国ビザから経営管理ビザへの変更をする際に、注意しなければいけない点があります。
経営管理ビザへの変更は、ビジネスを実際に始められる状態にしてからでなければ申請が通りません。会社の設立が必要であれば会社設立を行い、営業の許認可が必要であれば許認可を得て、ビザの変更が完了した時点で経営を始められる状態にした後にビザの申請をしましょう。
また、在留期間が残っているからといって、変更を行わずに経営を始めることは、不法就労と見なされます。その後に経営管理ビザへ変更を申請しても、申請が許可されることはありません。不法就労を咎められた場合、現在取得している技人国ビザが取り消しになり、会社設立や事務所の不動産費用などが無駄になってしまいますので注意してください。
経営管理ビザへの変更が許可された場合、経営が安定するまで以前の業務に勤めるといったことはできませんので、しっかりとプランを立てて行動をするようにしましょう。
まとめ
今回は、技人国ビザから経営管理ビザへの変更申請方法と必要書類について、ご説明いたしました。技人国ビザから経営管理ビザへ変更するのは難度が高く、専門的な知識が求められます。また、会社を辞めてから手続きを行うと、時間に追い詰められてしまいます。
新設会社の場合は、会社の設立にお金がかかるため、不許可になると更に苦しくなってしまうでしょう。そのため、早い段階で専門家と相談し、申請の作業を進めることをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
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