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コロナウイルスと遺言書の作成増加

世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症によって身近にならざるを得なくなった「死」を感じる方も多いのではないでしょうか。また、これを機に残される家族のことを考えて何をすべきなのかとお困りの方もいらっしゃると思います。

 

今回は、コロナウイルスと遺言書の作成増加についてお話しをしていきたいと思います。

 

連日のように、ニュースでは新型コロナウイルスの感染者数を報じていると思います。そして、新型コロナウイルスを機に、自分自身の死後のことについて真剣に考える人が増えてきていると感じています。

 

自分自身の死後のことについて真剣に考えれば、まず頭に浮かぶのは相続のことだと思います。そして、相続についてできる1番身近な対策というのは、遺言書を作成することになります。そうして遺言書のことを調べることに繋がっていくのだと感じています。したがって、今回は遺言書について具体的に見ていきましょう。

1、遺言書には3種類ある

そもそも遺言書には通常3種類あります。それは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」といわれるものになります。

 

①自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、読んで字のごとく自分で書く(自筆する)遺言書のことになります。2019年まではすべてを自分で書かなければいけませんでしたが、2019年1月13日以降からは、財産目録の部分については、パソコンでの作成が認められるように法律が改正されました。また、当然のことながら誰かが代筆したり財産目録以外の箇所をパソコンで作成したりすると無効となります。

 

自筆証書遺言を作成する場合には、法律の要件を満たさなければ無効となってしまいます。法律上の要件とは次の4つになります。

 

・本人が、自分自身で書かなければならない(自筆)

・日付を記載しなければならない

・署名をしなければならない

・捺印をしなければならない

 

1番手軽で紙とペンさえあれば手数料もかからないので遺言書の中では作成する人が最も多い遺言書になります。なお、2020年7月1日からは、自分で作成した遺言書の保管を、法務局が代わりに保管してくれる制度が始まりました。自筆証書遺言の保管場所はほとんどが自宅でありましたが、亡くなった後に遺言書が見つからなかったり、捨てられたりする危険がありました。

 

また、自筆証書遺言は見つかった場合には家庭裁判所で検認という手続きが必要ですが、この法務局が保管してくれる新しい制度、「自筆証書遺言の保管制度」では、紛失や破棄されるといった危険がなく、家庭裁判所での検認手続きも不要となるというメリットもあります。さらに、法務局での保管制度を利用しなくても、法改正によって2022年4月からは、自筆証書遺言の家庭裁判所での検認手続き自体が不要になる見通しですので、今後作成する人はますます増えていくことでしょう。

 

②公正証書遺言

公証役場で公証人が作成し公証役場で保管してくれる遺言書になります。1番確実で間違いがないのが公正証書遺言ですが、手数料がかかることや証人が2人必要となるなどがあります。公正証書遺言は、原本を公証役場で保管してもらえるので、紛失する可能性がありませんし、偽造されたり作り変えられたりするおそれもなくなります。

 

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、そもそも法律的に正しく作成されていないことが多くて無効になりやすいですし、相続人が隠してしまったり、破棄されてしまうことも残念ながらあるので、それと比べると公正証書遺言には強力な効果があるものになります。

 

③秘密証書遺言

自分で作成した遺言書を公証役場で公証人に「遺言書を作成したという事実」を証明してもらう遺言書になります。遺言書の中身について公証人は確認しないので、現在ではほとんど使用されていないものでもありますね。

2、おすすめは公正証書遺言

1番のおすすめはやはり公正証書遺言です。自筆証書遺言も法改正によってどんどん便利にはなってきていますが、1番確実で内容についての信ぴょう性と有効性が担保されているのが公正証書遺言だからです。公証役場にて公証人が作成し、証人2人もつけて遺言書を完成させますので、相続を争族にしないための1番の対策になると思います。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、コロナウイルスと遺言書の作成増加についてお話しさせていただきました。相続を争族にしないための1番の対策とは、遺言書を作成することだとどの専門家もいうでしょう。

 

しかし、いざ遺言書を作成するとなるそれなりに大変だと思います。自分で時間をかけてじっくり作成できれば良いですが、もしそのような状況にないと感じるような場合には行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によってある程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。