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遺言書は自筆と公正証書どちらがいい?

遺言書は作成方法によっていくつかの種類がありますが、主に使われるのが、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

 

ここでは、自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて説明しながらどちらを選ぶべきなのかの判断基準についても説明していきたいと思います。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い【作成時編】

自筆証書遺言

 

公正証書遺言

本人

作成する人

公証人

なし
(ペン、紙、印鑑があればOK)

必要書類

作成にかかる手間や時間

作成にかかるコスト

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、その名のとおり遺言者が自筆で作成した遺言書のことです。つまり、自筆証書遺言の作成は、基本的に全て手書きで作成します。

【自筆証書遺言作成のポイント】

①遺言者が自筆すること

自筆証書遺言では、全文を遺言者が手書きで作成しなければなりません。(財産目録についてのみパソコンでの作成可)遺言者が口述した内容を他の人が代筆することはできませんので、注意しましょう。

 

②日付を記載すること

③氏名を記載すること

④押印すること

⑤訂正した場合は署名および訂正印を押すこと

 

自筆証書遺言は以上のようなポイントを満たしていれば基本的に自筆証書遺言の効力が発生し、その他の細かいルール等はありません。

 

このように、自筆証書遺言の作成は簡単です。ただ、文字が書けない方は作成できません。

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは公証役場で公証人に遺言書を作成してもらう遺言書のことです。

【公正証書遺言作成のポイント】

①公証人によって作成する

②証人2名以上が必要

③数多くの書類を準備する必要がある

 

自筆証書遺言は基本的なルールに則って作成すれば、ご自身の意思だけで簡単に遺言書を作成することができましたが、公正証書遺言はそういうわけにはいきません。

 

公正証書遺言を作成するためには、公証人に作成を依頼する必要があるだけでなく、2名の証人や数多くの戸籍謄本等の必要書類を集める必要がある等、手間がかかります。

 

また、必要書類の収集にかかる手数料だけでなく、公証人や証人に支払う報酬等、コストもかかります。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い【死亡後編】

自筆証書遺言

 

公正証書遺言

原則必要
※法務局で保管する場合は不要

裁判所による検認

不要

自由

保管場所

公証役場

無効になる可能性

 

公正証書遺言は作成が面倒な分、確実に遺言を伝えることができます。

 

①裁判所による検認

自筆証書遺言は遺言者が亡くなられた後、相続人が勝手に内容を確認することはできず、裁判所で内容を確認する必要があります。これを検認と言います。これは、その遺言が亡くなられた方本人によって作成されたことを確認するための手続です。検認の手続きは弁護士等専門家にご依頼することをお勧めします。

 

一方、公正証書遺言は証人2名の面前で公証人によって作成されていますから、それが亡くなられた方本人が作成した遺言であることは確認済みですから、こうした検認手続きは必要ありません。

 

また、自筆証書遺言であっても、2020年7月10日から開始された遺言書を法務局で保管できる制度を利用する場合は、検認の必要はありません。

 

②保管場所

公正証書遺言の場合は、原本は公証役場で保管されています。自筆証書遺言については、保管場所に決まりはなく、自宅や貸金庫等に保管することが多いです。そのため、相続人が遺言書を見つけることができず、遺言書を作成したにもかかわらず、その遺志が伝わらないという可能性もあります。

 

ただ、2020年7月10日以降開始された自筆証書遺言を法務局で保管する制度を利用することも可能です。

 

③無効になる可能性

公正証書遺言は、公証人が作成しているため、書類の不備によって無効になる可能性は極めて低く、また、公証人および証人2名が確認しているため、遺言能力がないこと等を理由に無効となる可能性も低いです。

 

自筆証書遺言の場合は、第三者が書類の中身を確認することは必要ありませんので、書類上の不備によって無効になってしまうこともあります。

 

また、認知症を患っていたこと等を理由に遺言能力がないとして、無効になってしまう可能性もあります。

確実に遺言を遺したい方は公正証書遺言!

とりあえず遺志を書き留めておきたいという場合は自筆証書遺言でもOK

いかがでしたでしょうか。自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて説明してきましたが、絶対にどちらかにしなければならないということはありません。

 

どちらにもメリット・デメリットがあります。ご自身の状況に応じてどちらか合う方を選択するようにしましょう。

 

 

どちらの方法で遺言書を作成する場合でも、行政書士等の専門家に依頼すれば、遺言書の作成をサポートしてもらえます。ご自身で作成するのが難しいと感じる場合は、行政書士に相談してみると良いでしょう。