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自筆証書遺言書とは
遺言書を作成しようとした際に1番多く作成されるのが自筆証書遺言と呼ばれるものになります。
遺言書は3つ形式がありますが、今回は自筆証書遺言書とはについてご説明していきたいと思います。
1、自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、読んで字のごとく自分で書く遺言書のことになります。2019年まではすべてを自分で書かなければいけませんでしたが、2019年1月13日以降からは、財産目録の部分については、パソコンでの作成が認められるように法律が改正されました。
また、当然のことながら代筆したり財産目録以外の箇所をパソコンで作成したりすると無効となります。
自筆証書遺言を作成する場合には、法律の要件を満たさなければ無効となってしまいます。法律上の要件とは次の4つになります。
①本人が、自分自身で書かなければならない(自筆)
②日付を記載しなければならない
③署名をしなければならない
④捺印をしなければならない
ひとつずつ具体的に見ていきましょう。
①本人が、自分自身で書かなければならない(自筆)
すべてを遺言者である本人が自筆で書かなければなりません(財産目録は除く)。字が汚いからとか、疲れるからなどの理由で、代筆をすることは禁止です。
自筆証書遺言に1箇所でも代筆した形跡が見つかれば、その遺言書は無効となりますので、必ず自分で書くようにしましょう。なお、書くペンに指定はないですが、鉛筆やシャープペンシルなどは、薄くなったり消えたりすることもあるため極力避けましょう。できれば油性のボールペンで書くのが良いと思います。あと、消えるボールペンというものもありますが、こちらもやめましょう。特殊なものではなく、通常のボールペンで書くようにしましょう。
②日付を記載しなければならない
自筆で遺言の内容を書きましたら、必ず日付を入れるようにしましょう。日付も具体的な年月日を入れましょう。下記に良い例と悪い例を記載しておきますので参考にしてください。
悪い例
令和2年6月
令和2年6月吉日
遺言者の80歳の誕生日
良い例
令和2年6月30日
西暦2020年6月30日
令和2年6月末日
③署名をしなければならない
これも必ず自筆で署名をしましょう。自筆による署名がなければ無効となります。
④捺印をしなければならない
署名と一緒に捺印もしましょう。実印ではなく認印や拇印でも構いませんが、できれば実印を押印するとより良いものと思います。
この4つを守っていなければ有効とはなりませんので、注意して作成するようにしましょう。
2、自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言のメリットとはなんでしょうか。これは、なんといっても一番手軽に作成できるものであることだと思います。紙とペンさえあれば、自分自身の思いで遺言書を作成できますし、手数料もかかりません。
そして、2020年7月1日からは、自分で作成した遺言書の保管を、法務局が代わりに保管してくれる制度が始まりました。
自筆証書遺言の保管場所はほとんどが自宅でありましたが、亡くなった後に遺言書が見つからなかったり、捨てられたりする危険がありました。また、自筆証書遺言は見つかった場合には家庭裁判所で検認という手続きが必要ですが、この法務局が保管してくれる新しい制度、「自筆証書遺言の保管制度」では、紛失や破棄されるといった危険がなく、家庭裁判所での検認手続きも不要となるというメリットもあります。
さらに、法務局での保管制度を利用しなくても、法改正によって2022年4月からは自筆証書遺言の家庭裁判所での検認手続き自体が不要になる見通しですので、こちらもあわせてメリットといえるでしょう。
3、自筆証書遺言のデメリット
デメリットは、なんといってもすべてを自分で作成する必要があるので、法律的な間違いが多くて無効となる確率がとても高いという点でしょう。あとは、紛失してしまったりとか、遺言書の存在自体を相続人に発見されない、といったケースもありえます。なかには、悪い相続人であればその自筆証書遺言を破棄したり、改ざんしたりする人もいるようですので、デメリットといえるでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は自筆証書遺言書とはについてご説明させていただきました。1番手軽に作成できる自筆証書遺言ですが、1番無効となることも多いのは自筆証書遺言でもあります。せっかく作成したのに無効となるのは悲しいものですので、書き方やメリット・デメリットを理解したうえで計画的に遺言を作成しましょう。もしご自身で難しいと感じるような場合には行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によって数万円程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。