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わざわざ贈与契約書はなぜ必要なのか?

贈与をするさいに、贈与契約書を作成したほうがよいという話を聞くことがあると思います。そもそもなぜ贈与契約書は必要なのかと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、わざわざ贈与契約書はなぜ必要なのか?という疑問にお答えさせていただきます。

1、贈与とは

贈与とは、自分自身の財産をタダで他の人に与えることをいいます。与える人のことを贈与者(ぞうよしゃ)といい、もらう人のことを受贈者(じゅぞうしゃ)といいます。法律的には、贈与というのは契約になりますので、贈与する人が、「あげます」と言い、もらう人が「もらいます」と言った場合に成立するというものになります。

2、贈与契約書のメリット

贈与契約書を作成するメリットは下記の3つです。

 

①後々の紛争の防止

②撤回ができなくなる

③税務署対策

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

①後々の紛争の防止

法律的には口頭で、「あげます」「もらいます」と言えば成立します。しかし、あとになって言った・言わないの水掛け論になることもありますので、きちんと贈与契約書として書面に残しておくのが大切です。

 

②撤回ができなくなる

口頭で贈与することが成立した場合には、いつでも撤回することができます。つまり、あとから「やっぱりあげるのやめた」とか「やっぱりもらうのやめた」ということが原則いつでもできてしまうのです。しかし、贈与契約書として書面にすることで、この撤回ができなくなりますので、言ったことは守りましょう、という原理原則に則り安心して贈与契約を成立させることができるのです。

 

③税務署対策

これは、贈与には贈与税と税金が課されます。いくらから贈与税が課されるのかというと、年間で110万円を超える場合に贈与税が課されるのです。税率は贈与された金額によって10%~55%まで幅があります。

 

贈与契約書を残しておくことで、税金が発生しない金額なのか、発生する金額なのかが明確となり、税務調査の際には証拠として提示することができるのです。とくに税金が発生しない範囲の金額で贈与したにも関わらず、それが証明できずに贈与税が発生してしまったということは避けるべきですね。

 

さらには、相続税対策として贈与を使う方もいます。税金が発生しない範囲で毎年贈与をおこなって、相続する財産を減らすということですね。

 

しかし、注意点としては、毎年の贈与がひとつの贈与を分割したとみなされないように、毎年別個の贈与をおこなっていたことだと税務署に対して言えるようにするためにも、毎年贈与契約書を作成することをお勧めいたします。

3、贈与契約書の作成のポイント

贈与契約書の様式は自由です。決められた様式があるわけではありませんので、WordやExcel、はたまた手書きでも大丈夫です。ただし、最後の日付や名前は手書きで書くほうが良いでしょう。

 

作成する際には、下記のことを具体的かつ正確に記載しましょう。

 

「誰が(贈与者)」

「誰に(受贈者)」

「何を(贈与するもの)」

「いつ(時期)」

「どのように(方法)」

 

とくに贈与するものについては、1円単位、1ミリ単位で所在までしっかりと正確に記載しましょう。たとえば、現金の場合に「約100万円」とか、不動産の場合に「約50㎡」というのはアウトです。この場合、たとえば現金なら「103万円」、不動産なら「50.13㎡」などと正確に記載します。

 

なお、あげるものが不動産の場合には、200円の収入印紙を贈与契約書に貼り付けする必要がありますが、不動産以外でしたら収入印紙は不要です。仮にあげる現金が1000万円だとしても収入印紙は不要なのです。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、わざわざ贈与契約書はなぜ必要なのか?という疑問にお答えさせていただきました。贈与契約書があることで、後々になにかあったときの証拠として活用できます。あとから贈与契約書を作っておけばよかったと後悔をしないためにも、贈与をする場合には必ず贈与契約書を作成しておきましょう。

 

もし贈与契約書の作成が難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は契約書の内容により数万円~数十万程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。