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婚した前配偶者との子供に相続させたくない場合の遺言書

離婚した前の配偶者との間に生まれた子供にも相続権ってあるの?前の配偶者との間に生まれた子供は元配偶者が引き取って、離婚以来会ってもいないし、連絡も取っていないんだけど、それでも自分が死んだ後に財産を渡さないといけないの?

 

その疑問の答えとしては、(残念ながら)「前配偶者との間に生まれた子供は、仮に離婚以来一度も会った事がないとしても、相続権はあります。」ということになります。

 

また、仮に遺言書を作成して「前の配偶者との間の子供には相続をさせない」と記載したとしても、相続を全くできない様にすることはできません。

 

なぜなら「遺留分」という物が、その子供にはあるからです。

 

「遺留分」と言うのは、分かりやすく言うと法律で認められた「最低限の取り分」のことで、自分の配偶者や子供や孫、両親や祖父母に認められているものです。

 

「遺留分」は「遺言書」に優先する。つまり「遺留分」は「遺言書」より強いのです。そのため、前の配偶者との間の子供にも「遺留分」は認められるので、遺言書でその子供に相続をまったくさせないようにすることはできません。

 

ただ、遺言書を作成して遺留分を無くす方法が100%無いわけではありません。

 

確実に保証とまではいかなくとも、ある程度の効果を見込める遺言書の書き方というもあるにはあります。

 

下記に「離婚した前配偶者との子供に相続をさせたくない場合の遺言書」のポイントを記載します。

ポイント①「前婚の配偶者との子供以外」の相続人で遺産を分け合う遺言書にする

遺言書を作成するうえで、その遺言内容を、前婚の配偶者との子供以外の他の相続人に分け合うかたちの内容にする。

 

例えば、遺産の中に預貯金と不動産があるとした場合、「不動産は今の妻に相続させる。

 

預貯金は全額今の妻との子供に相続させる。」という様に、前の配偶者との子供には相続させる財産を無くすように記載します。つまり遺留分を無視した内容の遺言書にするのです。

ポイント② 遺言書に「付言事項」を記載する

「付言事項」とは、簡単に言うと「遺言者の想い」です。「付言事項」は遺言書に必ず書かなければいけないという決まりもありませんし、書いたからといって法律的に何か効果があるわけではないです。

 

「じゃーなんで書くの?」 と思われるかもしれませんが、それは「遺言者の想い」だからです。

 

なぜこのような遺言書を書いたのか? なぜこのような遺言書の内容にしたのか?その理由を交えて遺言者が残された遺族に対しての説明する部分になります。

 

以上の2つの点がポイントになります。

 

なぜこの2つがポイントになるかというと、「遺留分」というものは、自動的に貰えるというわけではなく、遺留分の権利のある人が「遺留分が欲しい。遺留分よこせ!」と遺産を相続した他の相続人に対して自分で請求をするものになります。

 

そのため、遺留分をもらう権利のある人が遺留分の請求をしなければ、遺留分は実質無い事になります。

 

また、遺留分請求には「時効」があります。 遺言者が亡くなってから10年間か、相続が始まった事を知ってから1年のどちらかで「遺留分請求」が出来なくなります。

 

ですから、遺言書を前配偶者の子供には相続をさせない内容の遺言書にしておき、最長でも、相続が始まってから10年が経過した場合は、前配偶者との子供に遺産を渡さなくてもよくなります。

 

また、「付言事項」の内容を「なぜ前の配偶者の子供に相続をさせないのか!?」の理由を書いた文章にしておくことで、前の配偶者の子供が遺留分請求をすることを思いとどまる可能性もあります。

 

以上が理由になりますが、どちらも「前の配偶者との子供に相続をさせないようにできる」可能性のある方法になります。

あくまで可能性の範囲であり、保証までには至りません。

 

実務的な話をすると、「遺留分」を無視した遺言書の場合、「遺留分請求」を受ける可能性は高いです。

 

その為、遺言書を作成する段階から「前配偶者との子供」の「遺留分請求」を考慮した遺言書を作成する方が多いですし、後々のトラブルの可能性を回避することができます。

 

遺言書を作成する一番の目的は自分が死んだあと、残された家族の手間を少しでも軽減できるように、相続トラブルが起こらない様にするためというのがあると思います。

 

遺言書はただ書けば良いという物ではなく、書き方にもコツが必要になります。遺言書を作成する前に、行政書士のような専門家に相談することをお勧め致します。