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付言事項で遺言書に気持ちを込めることが可能

遺言書の内容の中で、「付言事項」というものがありますが、ご存知ですか?

 

「付言事項」は簡単にいうと、遺言書を作成した人の「想いや気持ちの部分を書いたもの」と言えると思います。

 

ですから付言事項を遺言書に記載することにより、遺言書の気持ちを込める事が可能になります。

 

「付言事項」について詳しく解説をしていきます。

①「付言事項」は無くても問題にならない

遺言書にはいくつかのルールがあり、そのルールを守らないと、遺言書自体が無効になってしまう可能性もあります。

 

「付言事項」に関しては別に遺言書の中に書かれていても、書かれていなくても自由!

 

付言事項があろうがなかろうが、それだけでは遺言書が無効になることはありません。

 

だって遺言者の「想いや気持ち」ですから自由です。

②「付言事項」に法的拘束力はない

遺言書の内容の中で、例えば「AにXXを相続させる」と書かれていれば、AはXXを相続する権利を得る事ができ、通常誰もこのことを邪魔することはできなくなります。

 

これは遺言書によって「AはXXを相続する事ができ、だれも邪魔できない」という法律で守られた拘束力が発生し、仮にAを邪魔した人がいると、その人は罰せられることもあるという事になります。

 

ただ「付言事項」にはそのような法的拘束力は一切ありませんから、「付言事項」の内容を仮に無視した人がいたとしても、罰せられる事はありません。

③「付言事項」の内容は自由

「付言事項」には法的拘束力はありません。逆に言うと、「付言事項」は法律で定めていない事を遺言書に書いたものとなります。

 

そのため、内容は遺言者の自由に書くことができます。

 

例えば、残された遺族への感謝の気持ちや、自分が死んだ後の家族の過ごし方、何か事業をされている方だと、その事業の今後の方針を書く人もいますし、自分の葬儀の仕方や骨を海に散骨してほしいとか、臓器提供を希望と書く人います。

 

「付言事項」の内容は自由です。遺言者の想いや気持ちを書けばいい部分になります。

 

「付言事項」の内容については以上の説明になりますが、「付言事項」が遺言者の想いや気持ちの部分であることが分かっていただけたかと思います。

 

ただ、「付言事項」が遺言者の想いや気持ちであることは分かったけど、法的拘束力を持たない「付言事項」って書く意味はあるのか?と思われる人も実は少なくはないと思います。

 

実は「意味はある」のです。 その理由を記載していきます。

 

「付言事項」は遺言者の想いや気持ちになります。法的拘束力はなくても、「付言事項」を書く事によって、相続上のトラブルを未然に解決できる可能性もあるのです。

 

例えば、遺言書には、「AにXXを相続させる。」とか「Bに〇〇を相続させる」などの遺産の分配方法を記載することが一般的です。

 

ただ、その遺産の分配方法だとか、割合に納得のいかない相続人も出てくる可能性があります。そのような事を想定して、「付言事項」にあらかじめ、何故そのような遺産の分配になったのかを遺言者が相続人にあてて、その理由や自分の想い、気持ちを書いておけば、相続人が納得する可能性が高くなるという効果が期待できるのです。

 

同じように、例えば、相続人が複数名いたとして、その中の1人に対して「全財産をXXに相続させる」と遺言書に書いたうえで、付言事項にその理由を書いておいて、全財産をXXに相続させることができる可能性も出てきます。

 

この場合「遺留分」を無視した遺言書になりますが、「付言事項」で遺言者の気持ちや想い、他の相続人が納得するであろう理由を記載することによって遺産を相続できない相続人が「遺留分」を請求しなくなる可能性も出てきます。

 

法的拘束力はないので、あくまで可能性ですが!

 

また、遺言書を書くことにより本来は相続権の無い人に、遺産を残すこともできます。その場合「付言事項」にその理由を書くことによって、他の相続人に納得してもらうこともできると思います。

 

「付言事項」には法的拘束力もありませんし、万能な道具でもありません!ただただ「遺言者の想いや気持ち」部分になります。

 

しかしながら「付言事項」があることによって、仮に一見不平等に思える遺産の分配内容であったとしても、相続人がその理由や遺言者の想いを知る事によって、内容に納得し、未然に相続人同士のトラブルを防ぐことになっているのも事実です。

 

この様に付言事項で遺言書に気持ちを込めることが可能になりますので、遺言書を作成するのであれば「付言事項」は必ず記載しておくことが良いと思います。

 

 

付言事項の内容について、遺言書にどのように書けば良いのかお悩みの方は、行政書士のような専門家にお早めに相談されることをお勧めいたします。