不動産を贈与する場合の贈与契約書作成のポイント
生前贈与としてマンションや土地等の不動産を贈与したいと考えたとき、贈与についての契約書を作成した方が良いの?どのように作成すればいいの?とお悩みの方もいるかと思います。
ここでは、不動産を贈与する場合の贈与契約書作成のポイントについて説明していきます。
贈与契約書の必要性
贈与すること、されることが決まったら、必ず契約書を作成しておきましょう。
これには、次のような目的があります。
確実に贈与を行ってもらうため
贈与は物をあげる、もらうという合意さえあれば成立する契約ですので、契約書の作成自体は要件になっていません。つまり口約束だけでも有効にするのですが、口約束だと後になって「やっぱりやめた」と撤回されてしまったり、当初もらえるはずだったものが一部だけの贈与にされてしまったりする可能性があります。
この点、贈与契約書を作成しておけば法律上撤回することができなくなりますので、確実に贈与してもらえるようになり、後々争いになるのを防ぐことができます。
税務署への提出資料
税務署が贈与税について調査を行うのは、相続が発生したときが多いです。
亡くなる前に不正に贈与しておいて相続税を免れようとしているのではないかと疑われたときに、きちんと贈与契約を作成しておくことで税務署への説明をすることができます。
贈与契約書作成の流れ
①契約の内容を当事者間で協議する
「だれが」「何を」「いつ」「誰に」「どうやって」あげるのかを双方の話し合いで決めます。
負担付贈与といって、「マンションをあげるかわりに残りのローンを払ってね」というような契約にすることも可能です。
②贈与契約書を作成する
契約の内容が決まったら次は契約書の作成です。贈与契約書にきまった形式はなく、パソコンで作成しても手書きでも構いません。
贈 与 契 約 書
贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。
記
第1条 甲は、甲の所有する下記の財産を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(土地)
所在
番地
地目
地積 平米
持分 10分の1
(建物)
所在
家屋番号
種類 住宅
構造
床面積 平米
第2条 甲は、第1条に基づき贈与した財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙へ引き渡すとする。
この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印
のうえ、各1通を保有するものとする。
令和__年__月__日
(甲) 住所
氏名 印
(乙)住所
氏名 印
③署名押印した契約書を1通ずつ保管する
贈与契約書の作成ができたら、双方の署名押印をして契約書が完成です。
また、マンションや土地に関する贈与契約書には200円の収入印紙を貼付する必要があります。(不動産価額の記載をした場合にはその金額によって収入印紙の額も変わります。)
署名押印と収入印紙の貼付ができて完成した贈与契約書は当事者全員が1通ずつ保管しておくようにしましょう。
住宅ローンが残っている場合は?
住宅ローンが残っているが、マンション等を贈与したいと考えた場合はどうすればよいのでしょうか。
例えば以下のような方法があります。
①ローンはそのまま払ってあげてマンションの権利だけを譲る方法
②マンションを譲る代わりに残りのローンは払ってもらう方法(負担付贈与)
③残りのローンの額を支払う代わりにマンションを譲る方法(これは売買契約になります。)
②の負担付贈与にする場合には、お金を借りている金融機関の同意も必要ですので注意が必要です。
贈 与 契 約 書
贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。
記
第1条 甲は、甲の所有する下記の財産を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(土地)
所在
番地
地目
地積 平米
(建物)
所在
家屋番号
種類 住宅
構造
床面積 平米
第2条 甲は、第1条に基づき贈与した財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙へ引き渡すとする。
第3条 本件不動産に課税される公租公課については、所有権移転登記完了の日を基準として、登記の日までの分を甲、登記の日以降の分を乙の負担とする。
第4条 乙は贈与を受けた負担として、当該不動産に附帯する金銭債務を返済しなければならない。
第5条 乙が前条の義務を履行しないときは、甲は本契約をただちに解除することができる。
この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印のうえ、各1通を保有するものとする。
令和__年__月__日
(甲) 住所
氏名 印
(乙)住所
氏名 印
いかがでしたでしょうか?もし、贈与契約書の作成を依頼したいと考えている場合は、行政書士等の専門家に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続の金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。