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贈与契約書作成の疑問を解決(実印・消印・印紙・記名・署名)

贈与契約書を作成するときにどのように作成すればいいのかわからないと方も多いのではないでしょうか?押印する印鑑や印紙・記名とか署名の違いなどなど、細かいところはどうすればいいのかとお困りの方もいらっしゃると思います。

 

今回は、贈与契約書作成の疑問を解決(実印・消印・印紙・記名・署名)と題してご説明していきたいと思います。

 

贈与契約書の中身についてのサンプルは、調べればたくさん出ていることが多いですが、細かい箇所についての説明は少ないと思います。押す印鑑や印紙、消印・署名などについてそれぞれ具体的に見ていきたいと思います。

1、押す印鑑(実印)について

贈与契約書に押す印鑑について、どの印鑑を使用すればいいのだろうかと迷う人もいるかと思います。結論としては、シャチハタ(スタンプ印)以外でしたらどれを使用しても構いません。しかし、できることなら実印を押印したほうが良いでしょう。あえて優先順位をつけるならば下記になります。

第1位:実印(印鑑証明書添付)

やはりなんといっても実印の押印が1番信ぴょう性がありますのでお勧めです。さらに印鑑証明書も添付すれば完璧でしょう。

第2位:認印(一般的には既製品として販売していないもの)

一般的に既製品として販売されていないお認印も実印の次にお勧めです。例えば名前が逆側から読む形で刻印されているもの(例「藤佐」「木鈴」など)です。これはあえて注文して作成しなければならないものとなり、既製品としてはなかなかないものになります。

第3位:認印(既製品)

既製品として販売しているものですね。こちらでももちろん有効ではありますが、あまりお勧めはしません。やはり、押印する以上、自分自身で押印したという意味と後々の紛争防止という観点があります。後々の紛争防止という観点から、当事者で合意した内容であることの証としての押印です。紛争の際に、私が押印したものではない、などと虚偽の発言を封じ込める意味合いとしては、既製品の認印は効果が低くなりがちです。

2、印紙は貼る必要があるのか?

贈与契約書の際には、収入印紙を貼る必要があるものとないものがあります。それは、贈与するものが不動産なのか、現金や株式などの金融商品なのかの違いになります。贈与するものが不動産であるならば、原則200円の収入印紙を貼る必要があります。それ以外は不要となりますので、貼る必要はありません。収入印紙を貼る位置に明確な規定はありませんが、文書の左上の部分(贈与契約書という題名の左側)に貼り付けるのが一般的です。

3、消印とは

贈与契約書に収入印紙を貼った場合には、それが使用済みであるとして消印をしなければなりません。消印は、収入印紙の模様部分と文書にまたがって押す形になります。なお、消印に押す印鑑は、必ずしも贈与契約書で使用した印鑑でなくても大丈夫です。シャチハタでもスタンプ印でも構いません。

4、記名と署名はどっちがいいの?

贈与契約書の最後に当事者として住所・氏名を記載して押印することになるでしょう。その際に、住所の箇所は記名(つまりWord等であらかじめ打ち込んでおくこと)でも構いませんが、氏名の箇所は署名してもらうのが良いでしょう。お互いに合意したことの証として贈与契約書として作成するのですから、氏名の箇所は署名してもらったほうが安全です。そして、押印に使用する印鑑は実印で、なおかつお互いの印鑑証明書を添付すれば完璧です!

5、贈与契約書作成のポイント

贈与契約書の様式は自由です。決められた様式があるわけではありませんので、WordやExcel、はたまた手書きでも大丈夫です。ただし、最後の日付や名前は手書きで書くほうが良いでしょう。

 

作成する際には、下記のことを具体的かつ正確に記載しましょう。

 

「誰が(贈与者)」

「誰に(受贈者)」

「何を(贈与するもの)」

「いつ(時期)」

「どのように(方法)」

 

とくに贈与するものについては、1円単位、1ミリ単位で所在までしっかりと正確に記載しましょう。たとえば、現金の場合に「約100万円」とか、不動産の場合に「約50㎡」というのはアウトです。この場合、たとえば現金なら「103万円」、不動産なら「50.13㎡」などと正確に記載します。

6、贈与契約書のメリット

最後に贈与契約書のメリットを説明させていただきます。メリットは下記の3つです。

 

①後々の紛争の防止

②撤回ができなくなる

③税務署対策

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

①後々の紛争の防止

法律的には口頭で、「あげます」「もらいます」と言えば成立します。しかし、あとになって言った・言わないの水掛け論になることもありますので、きちんと贈与契約書として書面に残しておくのが大切です。

 

②撤回ができなくなる

口頭で贈与することが成立した場合には、いつでも撤回することができます。つまり、あとから「やっぱりあげるのやめた」とか「やっぱりもらうのやめた」ということが原則いつでもできてしまうのです。しかし、贈与契約書として書面にすることで、この撤回ができなくなりますので、言ったことは守りましょう、という原理原則に則り安心して贈与契約を成立させることができるのです。

 

③税務署対策

これは、贈与には贈与税と税金が課されます。いくらから贈与税が課されるのかというと、年間で110万円を超える場合に贈与税が課されるのです。税率は贈与された金額によって10%~55%まで幅があります。

 

贈与契約書を残しておくことで、税金が発生しない金額なのか、発生する金額なのかが明確となり、税務調査の際には証拠として提示することができるのです。とくに税金が発生しない範囲の金額で贈与したにも関わらず、それが証明できずに贈与税が発生してしまったということは避けるべきですね。

 

さらには、相続税対策として贈与を使う方もいます。税金が発生しない範囲で毎年贈与をおこなって、相続する財産を減らすということですね。

 

しかし、注意点としては、毎年の贈与がひとつの贈与を分割したとみなされないように、毎年別個の贈与をおこなっていたことだと税務署に対して言えるようにするためにも、毎年贈与契約書を作成することをお勧めいたします。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、贈与契約書作成の疑問を解決(実印・消印・印紙・記名・署名)と題してご説明させていただきました。中身の記載方法についてはたくさんサンプルがあるかと思いますが、細かいところについての説明はなかなか少ないのではないかと思います。

 

贈与契約書を作成する以上、正しい形で作成する必要があります。贈与契約書があることで、後々になにかあったときの証拠として活用できますし、あとから贈与契約書を作っておけばよかったと後悔をしないためにも、贈与をする場合には必ず贈与契約書を作成しておきましょう。

 

もし贈与契約書の作成が難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は契約書の内容によりある程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。