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贈与契約書がポイント!定期贈与と連年贈与の違い

生きているうちに贈与としてお金をあげれば、1年間に110万円以下は贈与税がかからないので相続税対策になる、と考えておられる方もいるかと思います。

 

ところが、この生前贈与は「定期贈与」と税務署にみなされてしまうと贈与税がかかってしまいます。ここでは、贈与税がかからないように定期贈与と連年贈与の違いについて説明していきます。

連年贈与とは

連年贈与とは、毎年贈与を行うことです。連年贈与として贈与をする場合、贈与額から110万円を引いた金額に以下の表の税率がかかります。

 

そのため、例えば1000万円を一括で贈与したときは、30%の贈与税と90万円の控除額となりますので、

(1000-110)×30%-90=177万円が贈与税額となります。

 

この点、毎年100万円を10年間に渡って連年贈与したときは、贈与税額は0円ですので税金面でのメリットになります。

 

贈与の金額

税率

控除額

200万円以下

10%

200万円超〜400万円以下

15%

10万円

400万円超〜600万円以下

20%

30万円

600万円超〜1,000万円以下

30%

90万円

1,000万円超〜1,500万円以下

40%

190万円

1,500万円超〜3,000万円以下

45%

265万円

3,000万円超〜4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

 

定期贈与とは

これに対し、定期贈与とは、「毎年一定の決まった金額を贈与すること」をいいます。一見、連年贈与と何が違うの?と思われるかもしれませんが、定期贈与の場合は、贈与する金額の合計額について贈与税額が決定されるという特徴があります。

 

つまり、10年間、毎年100万円を贈与したいと思っていても、これを定期贈与とみなされてしまうと贈与合計額の1000万円について贈与税がかかりますので、177万円の贈与税額がかかってしまいます。

定期贈与とされないためには?

余分な贈与税を支払わないようにするために、税務署に「定期贈与じゃないですか?」と疑われたときに、定期贈与ではなく連年贈与ですとはっきり主張できる証拠を残しておく必要があります。

 

このために必要なのが「贈与契約書」です。

 

毎年贈与をするたびに契約書を作成することで、定期贈与ではないと主張することができます。

贈与契約書作成のポイント

それでは、定期贈与だと疑われないための契約の実例を、作成上のポイントとともに見ていきましょう。

 

 

贈 与 契 約 書

 

贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。

 

第1条 甲は、現金〇〇円を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。

 

第2条 甲は、第1条に基づき贈与する財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙の指定する下記銀行口座へ引き渡すものとする。

○○銀行○支店  普通預金  口座番号00000000 

この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印のうえ、各1通を保有するものとする。

令和__年__月__日

(甲)住所         

氏名        印

    

(乙)住所         

氏名        印

 

ポイント①

あくまでも1回限りの贈与として取り扱ってもらう必要がありますので、「総額1000万円を10回に分けて」とか、「毎年100万円を」といった記載は定期贈与とみなされてしまうのでアウトです。

 

また、金額については110万円以下にするのはもちろんのこと、毎年同じ金額を贈与していると定期贈与と思われる可能性がありますので、ある年は95万、ある年は105万、というように110万円の範囲内で金額を変えることも有効です。

ポイント②

贈与を受ける人の口座に必ず振り込むようにしましょう。別の人の口座に振り込むと、「そもそも贈与じゃないのでは?」と疑われてしまいます。

 

現金の手渡しではなく、記録の残る振込で支払うようにしてください。

ポイント③

作成年月日を必ず記載する必要がありますが、これも毎年同じ日とすると定期贈与と思われてしまいますので、月日をずらして贈与を行うのが良いでしょう。

ポイント④

きちんと記録として残るように、署名押印した契約書を1通ずつ保管するようにしてください。

 

 

いかがでしたでしょうか。もし、贈与について悩んでいたり、契約書の作成を依頼したいと考えている場合は、行政書士等の専門家に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続の金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。