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自筆証書遺言書では遺留分に注意!

自筆証書遺言を作成する際に、遺留分(いりゅうぶん)についての注意事項をよく耳にする人も多いのではないでしょうか?

 

遺留分がなんのことかわからないで遺言書の作成に踏み切れないとお困りの方もいらっしゃると思います。今回は、自筆証書遺言書では遺留分に注意!と称して遺留分についてご説明していきたいと思います。

 

結論からいいますと、遺留分(いりゅうぶん)とは法律で最低限もらえる相続財産のことになります。たとえ遺言書であったとしても、この遺留分を侵害していた場合には、遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)をすることが可能となるのです。

それでは具体的に見ていきましょう。

1、自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、読んで字のごとく自分で書く遺言書のことになります。2019年まではすべてを自分で書かなければいけませんでしたが、2019年1月13日以降からは、財産目録の部分については、パソコンでの作成が認められるように法律が改正されました。また、当然のことながら代筆したり財産目録以外の箇所をパソコンで作成したりすると無効となります。

 

自筆証書遺言を作成する場合には、法律の要件を満たさなければ無効となってしまいます。法律上の要件とは次の4つになります。

 

①本人が、自分自身で書かなければならない(自筆)

②日付を記載しなければならない

③署名をしなければならない

④捺印をしなければならない

2、遺留分とは

相続人には、法律で最低限もらえる相続財産が決められているのです。その名も「遺留分(いりゅうぶん)」です。

 

この遺留分とは、亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人に対して定められています。配偶者や子供、亡くなった人の親が相続人になるときには、この最低限もらえる遺産があるのです。では、どのくらいが法律で決められているかというと、下記の表とおりとなります。

相続人のパターン

全体の遺留分

各相続人の取り分(遺留分)

配偶者

子供

父母

兄弟

配偶者のみ

2分の1

2分の1

配偶者+子

4分の1

4分の1

配偶者+親

6分の2

6分の1

配偶者+兄弟姉妹

2分の1

なし

子のみ

2分の1

親のみ

3分の1

3分の1

兄弟姉妹のみ

なし

なし

 

実際にこの最低限もらえる遺産の額を算定するには、相続財産をすべて把握したうえで、相続する権利を有する人をすべて確定して算出していきます。たとえ遺言書という、亡くなった方の最後の意思表示で最も尊重されなければならないものでも、この遺留分を侵害することは認められておりませんので、遺言書を作成する場合には、遺留分を侵害しないように注意して相続財産の分配を決めていきましょう。

 

3、遺留分侵害額請求とは

遺留分を侵害されてしまった場合には、遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)といって、侵害された遺留分を取り戻す請求をすることが可能です。ただ、この遺留分侵害額請求をさせないようにする方法もあるのです。

 

①付言事項

遺言書には法定遺言事項といって、遺言書に記載することで法的効力が認められるもの以外のことを書くこともできるのです。これを付言事項といい、法律的な効力はないのですが、この付言事項で、遺言内容の趣旨を説明することで、遺留分侵害額請求を思い留まってもらえる可能性もあるので、なぜそのような分配にしたのかの気持ちの部分をしたためるのも良いと思われます。

 

②遺留分の放棄

遺留分の放棄とは読んで字のごとく、遺留分侵害額請求をする権利を放棄することです。つまり、この請求ができなくなるということです。遺留分の放棄は、相続開始前(つまりまだ生きている状態のとき)に家庭裁判所に遺留分放棄の申し立てをおこない、認められることでおこなうことができます。家庭裁判所はおもに次のことを考慮して、遺留分の放棄を認めるかどうかを判断しているようです。

 

・放棄が本人の自由意思によるものかどうか

・放棄の理由に合理性と必要性・納得性があるかどうか

 

なんといっても、遺留分の放棄は本人の自由意思によるものでなければなりません。無理やり遺留分の放棄の申し立てをさせたところで、家庭裁判所は認めないでしょう。そして、放棄の理由に合理性や必要性・納得性があるのかどうかも重要です。

 

放棄することの合理性や必要性を説明したうえで、放棄の見返りとして十分な見返りをすることが必要になることが多いです。これだけの見返りを受けたのだから、遺留分を放棄するという合理性や必要性・納得性が生まれるということですね。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、自筆証書遺言書では遺留分に注意!と称して遺留分についてご説明させていただきました。少しでも遺留分(いりゅうぶん)についての理解が進んで、相続を争族にしないための遺言書を作成してほしいと考えております。

 

それでもなかなか法律的に正しい遺言書の作成が難しいと感じるような場合には、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によって数万円程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。