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妻に全財産を残したい場合の遺言書の書き方

自分が亡くなったあと、自分の全財産を今まで共に人生を歩んできた妻に相続をさせたい。

 

円満な夫婦の方ほど、そう思う気持ちはよくわかります。

 

では遺言書を作成して自分の全財産を妻に相続をさせることはできるのでしょうか?その答えとしては、「やり方しだいではできます!」というのが答えになります。

 

この記事では、自分が亡くなった後に、妻に自分の全財産を相続させる遺言書の書き方を解説していきます。

遺言書の書き方のポイント①

まず、「妻に全財産を相続させる」という内容を遺言書に書いた場合、基本的には遺言書の様式を満たしている場合であれば遺言書は有効に成立します。

 

遺言書の様式とは、簡単に言えばルールの様なもので、例えば、作成した時に認知症でない事。他の人が書いたものでない事。日付や署名や捺印があること。などの遺言書のルールがちゃんと守られていることが必要になります。

遺言書の書き方のポイント②

「妻に全財産を相続させる」とのみの記載だけではなく、詳細を書くようにしましょう。

 

例えば、妻の「氏名」「生年月日」「現住所」は必ず記載するようにしてください。遺言を作成する人が、今の奥様とは再婚で、前妻さんがいる場合、前妻さんも「妻」になります。そのため「妻」が今の妻なのか、前妻の事なのかで後々トラブルにならないようにしっかりと指定した書き方をしてください。

遺言書の書き方のポイント③

「全財産」の内容も記載しましょう。ただ単に「全財産」と書いただけでは、後々調査をする手間もかかりますし、残された遺族も知らない財産があると、発見されない事になる可能性もありますから、財産の内容も遺言書に記載しておきましょう。

 

例えば、全財産の中に不動産がある場合は、「土地」「建物」の別や、「所在」「地番」「家屋番号」「地積」などの情報を記載しておくようにしましょう。

 

不動産に関する情報は遺言書を作成する前に、法務局で不動産の登記簿謄本を取得してそれを見ながら記載するのがおすすめです。

また、遺産の中に預貯金がある場合は、金融機関ごとに、「銀行名」「支店名」「口座番号」「口座名義人」を遺言書に記載するようにしましょう。

以上のことをポイントに遺言書を作成すれば「妻に全財産を相続させる」ことは限りなく可能に近づきます。

 

「限りなく可能・・?これだけでは足りないの?」と思われたかもしれませんが、じつは「完全に、100%保証される」わけではないのです。

 

なぜ100%保証されないのか? それは強敵「遺留分」という物があるからです。

 

「遺留分」というのは、残された遺族の中でも「亡くなった人の奥さん、子供、両親」などの相続人に認められた「最低の取り分」の事になります。

 

「遺留分」は「遺言書」に優先するということが法律で決められていて、例えば「妻に全財産を相続させる」という遺言を書いたとしても、亡くなった方の子供などの遺留分を貰う権利のある人が「遺留分よこせ!」と言ってきた場合、「遺留分」にあたる価格は渡さなくてはならないのです。

 

では「遺留分」を遺言書でなくすことはできないのか?と気になると思いますが、可能性としては次の方法あります。

遺言に付言事項を記載する

この方法は確実というわけではないのですが、ある程度の効果は期待できると思います。

 

「遺留分」は自動的に貰えるというものではなく、遺留分を貰う権利のある人が「遺留分欲しい!」と請求する事ではじめて貰えるものになります。

 

そのため、遺留分を請求するしないの自由は、遺留分を貰う権利のある人にあるのです。

 

「付言事項」とは、簡単に言うと「遺言者の想い」です。「付言事項」は遺言書に必ず書かなければいけないという決まりもないですし、書いたからといって法的な拘束力は全くありません。

 

ただただ「遺言者の想い」を記載する物になります。

 

例えば「自分の死後、全財産を妻の●●に相続させる。その理由はXXXXXX、子供の△△には自分で収入があるので、お金がなくても困らないと考えている。●●は今後一人で暮らしていかなくてはならないので、私の財産をその資金として使ってもらいたい。△△には私のこの気持ちを是非とも理解し、遺留分の請求はしないで欲しい」と記載をして遺留分請求をしないように「お願い」することはできます。

 

ただし、付言事項には法的な拘束力は全くないので、書いたとしても遺留分を請求されてしまう可能性は残り、全財産を妻に100%相続させられる保証までには至りません。

 

以上が妻に自分の全財産を相続させる遺言書の書き方になりますが、遺言書だけでは、100%の保証まで行かないということがお分かりいただけたかと思います。

 

ただ、遺言書を作成する際に「付言事項」を書き添えて、遺言者が亡くなる前に遺留分を請求できる人に対して、自分の気持ちを直接しっかり話しておくことで残された妻に全財産を相続させる事も可能であると思います。

 

 

遺言書の作成には状況に応じて色々なポイントがあります。遺言書の作成は例えば行政書士のような専門家にサポートしてもらうことも可能です。まずが行政書士に相談されることをお勧めします。